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「いま米国債を買うならこんなふうに」一か八かに頼らない賢い投資術=田中徹郎

全ての投資家が悩む、米国債をいつ買うべきか問題。最近の金利上昇を見るとそろそろ…という気がしますが、買ってすぐに含み損を抱えては面白くありません。(『一緒に歩もう!小富豪への道』田中徹郎)

プロフィール:田中徹郎(たなか てつろう)
(株)銀座なみきFP事務所代表、ファイナンシャルプランナー、認定テクニカルアナリスト。1961年神戸生まれ。神戸大学経営学部卒業後、三洋電機入社。本社財務部勤務を経て、1990年ソニー入社。主にマーケティング畑を歩む。2004年に同社退社後、ソニー生命を経て独立。

全ての投資家を悩ませる「アメリカ国債をいつ買うべきか」問題

現状は「歴史的な低金利(債券高)」

ここのところアメリカの金利が上がってきましたので、そろそろアメリカ国債への投資を、お考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

金利と債券価格はコインのウラオモテの関係にあります、ですから今のような金利の上昇局面では、国債の価格は徐々に下がってゆくことになります。

ですから今すぐに買えば105ドルだけど、もう少し金利の上昇を待てば98ドルで買えたりするわけです。

このような金利の上昇局面では、債券を買ったハナから含み損を抱えることになり、これは決して気持ちのいいものではありません。

ではどのようなタイミングで私たちは米国債を買えばよいのでしょうか

長らくアメリカは低金利政策をとってきましたし、FRB(アメリカの中央銀行に相当)は市場で米国債を買い続けて来ました。ですから現状は、歴史的な低金利(債券高)状態にあるといってよいでしょう。

このような状況下で、皆さんが例えば10年後に満期が来る新発の米国債(注)を10,000ドル買えばどうでしょう。

注)新規に発行される国債です、アメリカ国債の額面は100ドルですから、新発国債の発行価格は額面通り100ドルです。

現在の10年債利回りは2.4%ほどですので、私たちは毎年240ドル(注)の利息をアメリカ政府から受け取ることができ、これは約束されたものです。

注)10,000ドル×2.4%=240ドル

一方でこの国債の本体価格のほうはどう動くでしょう、国債は日々市場で売買されていますので、債券の価格も日々変化します。

先ほど申しましたように、現在のアメリカは歴史的な低金利状態で、言い換えれば債券高です。仮にですが、今後アメリカ経済の正常化に伴って金利が上昇すればどうでしょう。

金利高は債券安……したがって皆さんが買った債券10,000ドルは、買った瞬間から下がり続けることになるわけです。

満期まで持てば額面での償還は約束されていますし、先ほどのように利子は半年ごと定額で入金されます。でも買ってからソクの含み損常態は、精神衛生上けっしてよくありません。ではこのようなメに合わないで済むための、債券を買うタイミングはあるのでしょうか?

Next: 長期金利が上昇中の米国債を上手に買う2つの方法



方法その1:時間軸を分散する

モノは安く買って高く売ればもうかりますが、逆ならソンです。債券も同じで極力安いときに買わなければなりません

債券価格と金利は表裏ですから、いまのような金利の上昇局面で買いますと、かならずソンをしてしまいます

逆に金利がある程度上昇し、安定局面に到達してから買えば、すくなくとも購入後ソク含み損といった、ひどい状態にはなりにくいものです。

ただし相場の読みはそう簡単ではありません。すでに金利が上がりきったとみて債券を買ったとしても、そこからさらに金利が急騰するなんてことはよくあります。

ですから債券を極力安いときに買うといっても、そう簡単にはゆかないのです。

一か八か自分の予想にかけてみるものいいですが、投資の王道は時間軸の分散で、一般には購入時期を分散して少しずつ買ってゆくという方法が有効ではないかと思います。

上記の例では10,000ドルを一気に買うのではなく、例えば2,000ドルずつ5回に分けて買うという方法です。

方法その2:金利をトリガーにする

あと金利をトリガーにして、買う時期を分散するのもいいでしょう。

例えば現状を金利の上昇局面と読み、少なくとも米国の長期金利(10年債利回り)が2.5%を超えない限り買わない。その後は2.7%、2.9%、3.1%、3.3%といった、ご自分で設定したトリガーを超えるごとに、2,000ドルずつ機械的に買ってゆく方法です。

トリガーになる金利水準の決定には、皆さんのライフプランから、必要とされる利子収入を逆算するアプローチが有効でしょう。どういうことかといいますと、例えば皆さんが10,000ドルをもっておられた場合、10,000ドルで平均利回り2.5%の国債を買えば、年あたり税引後で200ドル(約22,000円)の利息がもらえます。

注)10,000ドル×2.5%×80%=200ドル

仮に皆さんが年あたり200ドルの収入上積みで、問題なく生活できるとすれば、購入する債券の、金利の平均値は2.5%で十分だということになるわけです。

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あとは平均利回りが2.5%になるよう、金利のトリガーを設定して買ってゆけばOKです。この場合、金利に対する長期の見通しは求められますが、少なくとも短期の値動きに、右往左往することからは解放されるでしょう。米国の長期金利(10年債利回り)はここのところ急上昇中ですが、購入予定のある方は、このような方法をお試しになるといいかもしれません。

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一緒に歩もう!小富豪への道』(2017年10月27日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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