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日経平均は新たな上昇局面、一気の「21000円超え」を目指しはじめた=伊藤智洋

日経平均は、取引が裏目に出やすい値動きが続きましたが、押し目底を確認した後の上昇局面へ入っている公算です。このまま、21000円以上を目指す可能性が出てきました。(『少額投資家のための売買戦略』伊藤智洋)

プロフィール:伊藤智洋(いとうとしひろ)
証券会社、商品先物調査会社のテクニカルアナリストを経て、1996年に投資情報サービス設立。株や商品先物への投資活動を通じて、テクニカル分析の有効性についての記事を執筆。MS-DOS時代からの徹底したデータ分析により、さまざまな投資対象の値動きの本質を暴く。『チャートの救急箱』(投資レーダー社)、『FX・株・先物チャートの新法則[パワートレンド編]』(東洋経済新報社)など著書多数。

※本記事は有料メルマガ『少額投資家のための売買戦略』2017年2月12日号を一部抜粋・再構成したものです。只今、2016年9月までのバックナンバーも無料公開中!ご興味を持たれた方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。

日経平均はこのまま21000円トライも。パワー・トレンド理論で分析

値動きの読み方の基本

日経平均は、1月下旬にいったん戻り高値を超えて、強気の展開になると見ていたら、すぐに価格が下落して、天井型を形成中だと思わせて、2月10日に急反発しています。なんの根拠もなく、単純にチャートのパターンだけを追っていけば、すべて裏目に出てしまう場面です。

このようなときに騙されないためには、値動きの読み方の基本を知っておく必要があります。今回は、まず、値動きの読み方の基本を紹介してから、日ごとの判断の仕方の変化を実際に追ってゆきます。

値動きを読むためには、まず、勢いの強い流れがあるか否かを判断します。

勢いの強い流れがある場合、上下どちらでも反対へ向かう動き――上げなら上値・下値を切り下げる、下げなら上値・下値を切り上げる動き――を作らないことが前提となります。

反対方向の動きは、その前の反転した場面での値幅が目安になります。上昇している価格が、上値・下値を切り下げた時点で、反対方向への動き、下降の流れができる可能性を考えます。

下降の流れができている可能性がある場合、下げ余地が十分にあるなら、すぐに価格が下げ幅の大きな動きになります。すぐに下げなければ、下値堅い可能性を考えます。

下値堅い場合、上げるまでの時間を待っているか、上昇の流れになるかのどちらかが考えられます。

のどれかに変わるわけです。

上昇から下降、下降から上昇の場合、その方向への強さを示す動きとして、すぐにその方向へ大きな動きがあらわれます。そうならなければ時間待ちということになります。

日経平均の1月下旬からの読み方

下図は、1月から2月にかけての日経平均株価日足です。

日経平均株価 日足(1~2月)

図の1月31日、2月1日は、1月26日に上値、下値を切り上げる動きを作った後の反落場面です。まだ、反転してから日柄が短く、上値、下値を切り下げる動きがあらわれていないため、1月18日以降、上昇の流れができている可能性を考えておきます。

2月2日は、2月1日の安値を割れて、上値、下値を切り下げる動きを作っています。この時点で、1月27日の反落は、1月5日の高値が意識されたことによる下げで、1月5日以降が下降の流れへ入っている可能性を考えておきます。

1月5日の高値19615円が戻り高値になって、その後、下降の流れへ入っているなら、1月18日から1月27日までの反発幅が大きくなった分だけ、下げ余地が十分にあるという見方ができます。

だとすれば、2月2日の弱気確認後は、下降の速度が速くなると推測できます。

一方で、そのような動きがあらわれなければ、下値堅い状態であり、時間待ちか、日柄を経過してから、反転上昇する展開を考えておけます。

2月3日、4日の反発、2月8日の反発は、上値を切り下げる格好で抑えられています。2月3日以降のもみ合いの日柄や、上値、下値を切り下げる流れ、2月9日に価格が下放れて、陰線で引けた動きなどを考慮すると、もう十分に上値の重さを確認しているので、2月10日は、いよいよ、下げが勢いづかなければいけない場面でした。

2月10日の価格が下げるなら、当然、9日の夜間取引で、先物価格が上値重い動きになるか、大きく下げる展開になると判断できます。それにもかかわらず、9日夜間の225先物は、寄り付きで反発して、その後、堅調に推移して、上げ幅を拡大しています。

9日の夜間の時点で、1月以降のもみ合いは、1月18日の安値18650円で下値堅い状況で、上がるまでの時間を待っている状態だったと判断できます。

Next: 結果論ではない、夜間先物を利用した日経平均株価の正しい読み方



結果論ではない、夜間先物を利用した日経平均株価の正しい読み方

このように経過を追っても、所詮、結果を言っているだけだと感じるかもしれません。しかし、その時々で判断の基準があれば、損失を出さずに利益を得られる取引ができるようになります。

2月9日の夜間は、225先物が下げる可能性があり、下げなければ、時間待ちか、上げ幅の大きくなるかのどちらかになる可能性があります。

時間待ちではないなら、2月7日の安値が押し目になって上昇を開始するはずなので、その場合、これまでの弱さを払しょくするような上げ幅になる必要があります。

当然、夜間で大きく上げて、10日が上放れて始まる展開になると考えておけます。だとすれば、9日の夜間は、早い時間帯に押し目をつけて、上げ幅の大きくなる可能性を考えておくことができます。

夜間の寄り付き値が上放れたので、まず、その時点で強気の可能性を考えて、仕掛けます。上げ幅が大きくなる展開以外のすべてを捨てる、下げてから上げる展開になっても、利益にできないとあきらめるなら、早い時間帯に仕掛けて、それまでの安値を掘り下げた時点で諦めるというやり方ができます

そのときの状況を把握できていれば、あとは、どのような展開になれば利益になるという展開を絞り、それ以外をあきらめるという取引ができます。そうすれば、あまり損を出すことなく、動いた時だけ乗ることのできる取引になります。

日経平均は、押し目底を確認した後の上昇局面へ入っている公算です。このまま、21000円以上を目指す可能性が出てきました。

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日米首脳会談雑感。トランプの「矛盾」を手っ取り早く解決する秘策

日米首脳会談後の記者会見では、「偉大な国」とはどういう国なのかという質問がありました。

それに対し、安部首相は、これまでの通り、米国が(軍事的、経済的なリーダーであるという意味での)偉大な国であり続けることが、同盟国である日本の利益につながる、そのための協力を行うという内容の発言をしました。

トランプ氏は、自国の問題を取り上げ、それらを解決することで、米国を今まで以上に偉大な国にするという内容の発言をしました。

安倍首相とトランプ氏の偉大な国という意味が異なるように感じます。満面の笑みで歓待されるほど、両者の意見が一致しているわけではないにもかかわらず、今回の対応は変だと疑いたくなります。

トランプ大統領の戦略に乗せられて、日本は、さまざまな譲歩を強要されるのではないかと考えている方が多いのではないでしょうか。

2人の言葉の時間軸の違いに気づけば、安部首相の考えている米国が偉大な国になるという言葉には、トランプ大統領の偉大な国という意味である、近未来の米国像として、経済的に発展した米国が含まれていることがわかります。

前回、世界経済の発展に伴い、基軸通貨を維持するうまみがなくなってきたことで、米国民がトランプ大統領を生み出したと書きました。米国のかかえる借金は深刻であり、現状を維持できないのは必然です。

米国が国内での生産性を高め、内需を拡大させて、税収を増やし、プライマリー・バランスを均衡させることこそ、経済的、軍事的に強いアメリカを取り戻すための優先事項なのです。

日本は、共通したルールのもとで、アジア圏で自由な貿易を行うのであれば、共産党だけが莫大な利益を手にできるルールを押し付けてくる中国と対抗しなければいけません。日本単独では、その力がありません。

長期戦略を考えれば、これから数年の期間、米国と共に発展してゆくよう、日本が積極的に貢献してゆくことは、日本にとっての最重要課題だと言えます。その間に憲法改正を行い、自主防衛へ向けた準備を整えればいいのです。

ところで、トランプ大統領の政策は、ドル高を誘導するものであるにもかかわらず、貿易赤字が拡大するから円安になるのが気に入らないと言っています。明らかに矛盾があるのですが、手っ取り早く解決する方法があります。

米国からシェールオイルを大量に購入すればいいのです。精製が間に合わないなら、製品ではなく、原油のまま輸入し、日本で精製すればいいだけです。日本は、2020年のオリンピックへ向けて、次世代エネルギーへの転換を目指しています。原油が安いままでは、なかなか技術開発が進みません。

ばかな意見だと思うかもしれませんが、日本が高いシェールオイルを買い、原油価格を引き上げることで、次世代エネルギーへの移行が早まるなら、丸損にはなりません。

将来ビジョンが明確で、そこへ向かっているなら、その途中で生じる不都合な事象は、我慢できるのではないでしょうか。我慢できる国だからこそ、日本は長く文化を継承し、発展してきたのではないでしょうか。
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※本記事は有料メルマガ『少額投資家のための売買戦略』2017年2月12日号を一部抜粋・再構成したものです。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。本記事で割愛した、ゴールド相場の分析「金は今年から3年続く上昇局面へ入っている」を含む全文もすぐ読めます。

【関連】2017年 日経平均株価の読み方・儲け方。向こう1年の有力シナリオ=伊藤智洋

『少額投資家のための売買戦略』』(2017年2月12日号)より一部抜粋・再構成
※太字はMONEY VOICE編集部による

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値動きには理由があります。一般的に言われているような確率や、需給の変化を見るだけでは、先のことなどわかりません。確率論や、統計データ分析をやりつくし、挫折を味わった経験があるからこそ、理解できた値動きの本質を書いてゆきます。

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