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本当に佐川氏が悪いのか? 森友問題「4人の容疑者」を投資家が見抜く=東条雅彦

森友問題はかれこれ1年も続いています。決裁文書で消された11名の人物と内容を時系列でまとめながら、4つの仮説について1つずつ整理してみましょう。政局の行方を読むことは、今後の投資戦略も立てるうえでも重要です。

メディアに出回っている情報をまとめると、
仮説1:籠池氏がすべて悪い説
仮説2:佐川氏がすべて悪い説
仮説3:財務省忖度説
仮説4:昭恵夫人が関与していた説
概ね上記の4つの仮説に集約できると思います。(『ウォーレン・バフェットに学ぶ!1分でわかる株式投資~雪ダルマ式に資産が増える52の教え~』東条雅彦)

「安倍退陣」はありえるか? 投資家が注目する森友問題の真犯人

森友学園問題の本質

森友学園問題がいつまでも続いています。もうかれこれ1年です。国会は一体、いつまでこの問題に時間を費やすつもりなのでしょうか? テレビでもネットでも森友問題のニュースばかりが流れており、大騒ぎになっています。

森友学園問題の元々の発端は、「国が2016年6月20日に8億2000万円の土地を森友学園に実質200万円で売り払った」ことに起因しています。

時系列は前後しますが、森友学園は大阪府豊中市に小学校を建設するために2015年5月に国と借地契約を結びました。そして、2016年3月、杭打ち工事中に大量のゴミが見つかったとして、学園側は国に対してゴミの撤去費用を要求します。国はこの要求に応じます。

(1)2016年4月6日
国が森友学園にゴミの撤去費用として1億3,200万円を支払う。そして、森友学園は借地契約ではなく、やっぱり土地(国有地)を購入したいと国に申し出ます。

(2)2016年6月20日
国は森友学園に土地を1億3,400万円で売却する。(1)との差額は200万円

森友学園は国から1億3200万円を受け取ってから、土地を1億3400万円で手に入れました。国は大幅に値引きした理由は「ゴミの撤去費用として8億2000万円を控除したため」だとしています。

なぜいつまでも森友学園問題が長引いているのか?

国会では野党はこの1年、「なぜ国は森友学園に国有地を格安の値段で払い下げたのか? その経緯を教えてほしい」と財務省に要求していました。

当時、財務省の理財局長だった佐川宣寿氏は、この国有地の値段は適正価格で不正なことは一切していないと言い張っていました。佐川氏の国会での発言をまとめると、次の通りです。

2017年2月17日
「国有地は時価で売るのが基本で、適正な価格で売っている」

2017年3月19日
「売買契約締結をもって事案は終了しているので、記録が残っていない。速やかに事業終了で廃棄していると思う」

2017年4月10日
「(電子データは)短期間で自動的に消去されて、復元できないようなシステムになっている」(※このトンデモ発言は後で訂正されています。「自動証拠隠蔽システム」のような機能があったら、それはそれでヤバイ話です)

2017年12月4日
「価格につきまして、こちらから提示したこともございませんし、先方からいくらで買いたいといった希望があったこともない」

佐川氏は森友学園に土地を格安で売った、極めて不適切な資金の流れを「問題なし」と主張し続けていました。この超強気の姿勢に感銘を受けたのか、麻生太郎氏は高い評価を下しています。

麻生太郎氏「(佐川氏は国会で)丁寧な説明に努めてきた。適材だ」(2017年7月22日)

一体全体、どこが丁寧なのだろうか?「自動証拠隠蔽システム」という架空のシステム仕様を真顔で唱える佐川氏は一般人から見たら、「この人は変なことを言う人だな~」という印象しかありません。

佐川氏は2017年7月、安倍首相から国税庁長官に任命されて、財務省の理財局長ではなくなりました。野党からは佐川氏の国会招致を要求していましたが、その要求から佐川氏を守るような人事を行いました。安倍首相や麻生氏は佐川氏を高く評価していたのです。

佐川氏は「自動証拠隠蔽システム」に代表される奇妙な持論を振りかざして、森友学園問題を棚上げし続けました。

Next: 振り返って明らかになった佐川氏の虚偽答弁まとめ



流れが変わった2018年3月2日の新聞報道

森友学園問題は大阪地検特捜部(検察)も調査を進めている案件です。財務省は大阪地検特捜部に対して、森友学園への国有地売却に関する決裁文書を提出していました。国会にも同様の文章を「後から見つかった」として提出しています。

2018年3月2日、朝日新聞は「この決裁文書は改ざんされている」と報じました。当初、この報道は多くの識者からフェイクニュースだと指摘されていました。しかし、この報道はフェイクニュースではなく真実でした。

実は去年のうちに、大阪地検特捜部は決裁文書が書き換えられていることを把握しており、改ざん前の決裁文書も入手していたのです(朝日新聞は大阪地検特捜部にあった決裁文書を元に報じた模様)。

この報道があった5日後の3月7日、近畿財務局の職員が自殺しました。そして、3月9日、佐川国税庁長官が突如、辞任しました。

改ざん前の決裁文書には「森友学園とのやり取りの経緯」が記されていたため、佐川氏が国会で主張していた次の2点がすべて虚偽答弁だったことが明らかになってしまいました。

(虚偽答弁1:2017年3月19日の国会答弁)

森友学園関係の記録は残っていない(⇒「自動証拠隠蔽システム」なるものは存在しておらず、記録=改ざん前の決裁文書が残っていた)。

(虚偽答弁2:2017年12月4日の国会答弁)

森友学園と価格交渉はしていない(⇒ 改ざん前の決裁文書には細かい経緯が記載されていた)。

なお、佐川氏の「適正価格で売った」という発言は会計検査院の検査で崩れています。つまり、佐川氏の国会答弁はすべてウソだったことが明らかになったのです。

財務省が決裁文書の公開に踏み切った

財務省はHP上で2018年3月12日に森友学園関係の改ざん前と改ざん後の文章を公開しました。今では誰でも閲覧できるようになっています。

財務省は、現在、「佐川局長の国会答弁に合わせるため、理財局の一部のものが、決済文書を書き換えていた」と述べています。

ちなみに、財務省は「書き換え」と表現していますが、新聞社によっては「改ざん」と報道しています。

<各用語の意味>

削除:文章などの一部を、けずりとること。
書き換え:書き改めること。通用する別の文字で書くこと。
改ざん:悪用するために勝手に直すこと。

<各新聞社によって見解が異なっている ※当初報道>

「削除」と報道 ⇒ 読売
「書き換え」と報道 ⇒ 産経、日経
「改ざん」と報道 ⇒ 朝日、毎日、東京

「削除」や「書き換え」という言葉はより適切な文章にするために修正したというニュアンスが強い。

一方、「改ざん」という言葉は犯罪の匂いがします。実際に、財務省の一連の行動は虚偽公文書作成、公文書偽造などの罪に当たると指摘している識者も多い。

まったく同じ現象を見ても、人によって解釈が異なるため、表現も違ったものになるのでしょう。

Next: 財務省が文書から消した11名の人物とその内容とは?



財務省は何を書き換えたのか?

書き換え前と書き換え後の文章を見比べると、森友学園へ国有地に売却した過程で登場する人物に関する記述がすべて消されています(その意味では、読売新聞の「削除」という表現が最も適切なのか!?)。

書き換えまたは削除された部分は14の文章で合計78ページ、およそ310ヶ所にのぼります。消された人物は以下の通りです。

書き換え前の文章は多くの政治家が登場しており、財務省や近畿財務局が森友学園と政治家などとのつながりを強く意識していたことが伺えます。しかし、文章の書き換え(改ざん、削除)によって、登場する人物は全員、削除されてしまいました。

通常、この手の決裁文書に政治家の名前が載ることはないそうです。森友学園への国有地売却は財務省の中でも特殊な案件だったのでしょう。

そして、消された文章の中で、特に重要だと思われる内容(要約)は次の通りです。

<1>

森友学園から言いなりで、「土地を国が森友学園に貸しその後に買う」という前例のない契約形態を受け入れた。

<2>

国が損害賠償請求をしないと森友学園に約束した。

<3>

鑑定評価も価格設定も森友学園側の希望を受け入れるとした。

そして、これらをまとめて、「特段定めのない特例的な処理となる」(⇒もちろん、この文章も削除された)という文言で表現されています。

やはり森友学園への国有地売却は特例だったのです。

元々「三権分立」に反していた森友学園案件

この森友学園案件に関して、最初から内閣が国会に介入していて、財務省が国会に提出する資料を制限してきました。これは立法、行政、司法の三権分立を崩壊させる行為です。

我が国では残念ながらこの三権分立が機能しておらず、財務省は元々、森友学園問題に対してまともに向き合ってきませんでした。詳しくはこちらの動画をご覧ください。

財務副大臣が「与党が許可しない資料は出せない」とさも当然のことのように主張しています。

4つの仮説から森友学園問題を考える

なぜ財務省は森友学園に国有地を売却する際、約8億円の値引きを行ったのか? 今の所、はっきりとした真相はわかっていません。メディアに出回っている情報をまとめると、概ね次の4つの仮説に集約できると思います。

<仮説1:籠池氏がすべて悪い説>

籠池氏(森友学園の元理事長)が格安で国有地を買い取るために、近畿財務局を不当にゆすった。

<仮説2:佐川氏がすべて悪い説>

佐川氏が暴走して森友学園に関係する決裁文書を改ざんするように指示した。森友学園との取引について、政治家は何も知らないし何も関与していない。

<仮説3:財務省忖度説>

財務省は安倍首相や昭恵夫人に忖度して、森友学園へ国有地を大幅に値引きした。

<仮説4:昭恵夫人が関与していた説>

森友学園の教育理念に共感していた昭恵夫人が、財務省に何らかの働きかけを行った。

仮説1⇒2⇒3⇒4の順番で、安倍政権へのダメージがより大きくなります。安倍政権にとって最も望ましいのは、仮説1で食い留めることでした。しかし、今回、「決裁文書の書き換え」が明らかになったことによって、仮説2、3と真剣に向き合わなければいけない状況になっています。

野党としては、仮説4に踏み込んで検証したい所ですが、与党は昭恵夫人を証人喚問にかけることを拒否しているという構図です。

仮説1~4について、ひと通り検証していきます。

Next: 仮説1:籠池氏がすべて悪い説~不当にゆすったとは言い難い?



仮説1:籠池氏がすべて悪い説

籠池氏(森友学園の元理事長)が格安で国有地を買い取るために、近畿財務局を不当にゆすった。

籠池氏は2016年3月11日、小学校建設中に地中からゴミが出たと国に連絡しました。業者は深さ3.8メートルの地点にゴミがあったとする報告書を提出し、国交省大阪航空局がゴミ撤去費を約8億2,000万円と積算しました。国は2016年6月、土地評価額から撤去費を引いた1億3,400万円で学園に土地を売却しました。

そして、2年後の2018年3月16日、建設業者が「ゴミが実際より深くにあると見せかけた虚偽の報告書を作成した」と、大阪地検特捜部の調べに証言したと毎日新聞などが伝えました。

つまり、国交省大阪航空局はその嘘の報告書を鵜呑みにして確認を行わずに、ゴミ撤去費を約8億2,000万円としてしまった。

さらに、このゴミ問題についてはもう1つ特殊な背景があります。

森友学園は元々、この土地にごみがあることを承知していて、「深さ3mまでの浅い部分」の土壌を処理していました。

ところが、近畿財務局と森友学園側の建築業者は費用上の問題から有害汚染土と大きな障害物は除去したものの、それ以外のゴミは同じ用地内に「埋め戻し」をしていました。このことは籠池氏には伝えていませんでした。

そのため、2016年3月11日に、出るはずのない「新たなゴミ」(=これは新たなゴミではなく、埋め戻した既存のゴミ)が見つかって、籠池氏は怒り心頭になったのです。

そして、「国有地を安価に買い受けることで、(設立できるように)問題解決を図りたい」「無理であれば、事業を中止して、(ゴミと設立の遅れからの)損害賠償請求をせざるを得ない」と近畿財務局に迫りました。

今後、大阪地検特捜部の調査で籠池氏に新たな容疑がかけられる可能性はあるものの、籠池氏が全面的に悪いという説はかなり強引に思えます。

また、財務省を不当にゆすったとも思えません。なぜなら、建築業者、大阪航空局、近畿財務局の3者にもそれぞれに落ち度があったためです。

Next: 仮説2:佐川氏がすべて悪い説~麻生氏は苦しい言い逃れをしている?



仮説2:佐川氏がすべて悪い説

佐川氏が暴走して森友学園に関係する決裁文書を改ざんするように指示した。森友学園との取引について、政治家は何も知らないし、何も関与していない。

この佐川氏がすべて悪い説は、現在、安倍政権が「これが真実です」と主張している説です。麻生財務相は2018年3月12日の記者会見で次のように述べています。

麻生氏「佐川の答弁に合わせて理財局の指示で書き換えた」「最終責任者は(当時の)理財局長である佐川」(2018年3月12日)

麻生氏のこの説明は論理的に破綻しています。まず財務省の発表によると、決裁文書を最初に改ざんしたのが2017年2月下旬(2月21~28日)だったとしています。

この改ざんに着手したタイミングというのはとても重要です。本来、やってはいけない行為に着手するのだから、強い動機や必要性があったはずだと推測します。

<財務省のHP>

2月下旬から過去を振り返ると、佐川氏は国会で次のように答弁していました。

2017年2月17日
「国有地は時価で売るのが基本で、適正な価格で売っている」

この答弁1つで改ざんに着手する必要があったのでしょうか?「国有地は適正価格で売っている」という発言だけでは「あの決裁文書はまずいから書き換えよう」とはならないはずです。そもそも、この時点で佐川氏が「森友学園に売った国有地の価格は適正ではなかった」と発言するはずもなく、改ざんに着手する動機としてはあまりにも弱すぎます。

決裁文書の改ざんが必要になったであろう発言は2017年3月、4月に入ってからの話です。ここから佐川氏が暴走し始めました。以下、佐川氏の国会答弁を再掲します。

2017年3月19日
「売買契約締結をもって事案は終了しているので、記録が残っていない。速やかに事業終了で廃棄していると思う」

2017年4月10日
「(電子データは)短期間で自動的に消去されて、復元できないようなシステムになっている」

記録を破棄していると言いつつ、決裁文書に森友学園との取引経緯が書いていたら、整合性が取れなくなります。だから、整合性を理由に文章を改ざんするのなら、2017年3月下旬以降でなければ辻褄が合わないのです。

また、佐川氏を証人喚問にかけたわけでもなく、何も真実が明らかになっていない今の状況でイキナリ最終責任者が佐川氏だと断定できるのでしょうか?

佐川氏が財務省の理財局長だった期間は、2016年6月17日から2017年6月17日までの1年間です。森友学園へ国有地を払い下げた際の決裁文書は、2016年の3月から6月に作成されています。つまり、佐川氏は森友学園との契約にはノータッチでした。

国民が知りたいのは本来、森友学園とは無関係だった佐川氏が「森友学園関係の記録は残っていない」と虚偽の答弁をした動機です。

仮に「文章を改ざんした最終責任者が佐川氏だった」としても「森友学園問題の最終責任者が佐川氏だ」ということにはなりえません。…いずれにしても、麻生氏は苦しい言い逃れをしていると思います。

Next: 仮説3:財務省忖度説/仮説4:昭恵夫人が関与していた説



仮説3:財務省忖度説

財務省は安倍首相や昭恵夫人に忖度して、森友学園へ国有地を大幅に値引きした。

主に野党が中心になって訴えている説です。国民の中にも「森友学園に忖度したんじゃないの?」と見ている人は多い。しかし、忖度があったことを客観的に証明するのはほとんど不可能な話に思えます。

まず、現時点では財務省の忖度を示す直接的な証拠が何も出てきていません。改ざん前の文章には多くの政治家が登場しており、森友学園との取引の経緯が書かれていますが、削除された文章をもって、「忖度があった」とは言えません。

それでは、決裁文書を書いた担当者や承認した責任者の口から「私が忖度しました」と発言するのでしょうか? いえ、絶対にそんなことは言わないでしょう。

財務省忖度説を客観的に立証するのは現時点では不可能。そもそも、与党が「この資料は出してよい」とか「この資料は出すな」とかコントロールしている状況ではなおさら立証はできません。

仮説4:昭恵夫人が関与していた説

森友学園の教育理念に共感していた昭恵夫人が、財務省に何らかの働きかけを行った。

今回、問題になった決裁文書の改ざん前には次のような文章が記されていました。

<削除された文章その1>

打合せの際、「本年4月25日、安倍昭恵総理夫人を現地に案内し、夫人からは『いい土地ですから、前に進めてください。』とのお言葉をいただいた。」との発言あり(森友学園籠池理事長と夫人が現地の前で並んで写っている写真を提示)。

少し注意しなければいけないのが、「いい土地ですから、前に進めていください」という発言は籠池氏が「昭恵氏がそう言っていた」という話として掲載している点です。そして、安倍首相は昭恵氏はこんな発言はしないと否定しています。(3月19日の国会答弁)

おそらく籠池氏に確認したら、「いや、言っていましたよ」となるでしょう。水掛け論になる可能性が高いのです。

もう1つ削除された文章があります。下記の内容です。

<削除された文章その2>

産経新聞社のインターネット記事(産経WEST産経オンライン【関西の議論】)に森友学園が小学校運営に乗り出している旨の記事が掲載。記事の中で、安部首相夫人が森友学園に訪問した際に、学園の教育方針に感涙した旨が記載される。

「昭恵夫人も森友学園の小学校設立を望んでいます」ということを暗に示したかったのか? この文章を書いた担当者に直接、その真意を確認しなければよくわかりません。

いずれにしても、上記の削除された2つの文章をもって昭恵夫人が森友学園との土地取引に関与していたことにはならないはずです。

昭恵氏は開校予定だった小学校「瑞穂の国記念小学院」の名誉校長に就任するぐらいなので、学園の教育方針には大いに賛同していたのでしょう。でも、そのことと国有地売却の件は直接、結びつきません。

問題は、なぜ近畿財務局の担当者がそもそも上記2つの文章を決裁文書に書き込んだのかです。まるで「この森友学園案件は昭恵夫人も関わっているので、特別な計らいが必要なんですよ」と、財務省内部の人間に訴えかけているようにも見えなくもない。謎めいた文章だと思います。

Next: 命を落とした職員がいるという事実。しかし迷宮入りになる可能性が高い…



結局、真相は不明である

森友学園に格安で国有地が売られた真相は、結局、不明なのです。仮説1~4のどれも決定打にかけます。もしかしてこの件については迷宮入りになる可能性が高い

ただ、財務省や麻生財務相が現在、出している情報には何か匂うものがあります。最も違和感があるのは時系列的な論理が破綻しているにもかかわらず、「佐川氏1人の責任」にしようとしている点です。

むしろ、決裁文書の改ざんに着手するきっかけになったのは、安倍首相の次の発言だったと考える方が自然です。

安倍首相「私や妻が関係していたということになれば、首相も国会議員も辞める」(2017年2月17日)

この2017年2月17日の発言が改ざんのきっかけであれば、2017年2月下旬から文章を改ざんしたとする財務省の発表と時系列的な辻褄は合います。

森友学園の決裁文書には安倍首相を含む多くの政治家の名前が登場していました。すべて削除しておけば、関係性を疑われる外形的な証拠はなくなります。

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一人の命が犠牲になってしまったことの意味

2018年3月7日、財務省近畿財務局で森友学園との国有地売買を担当していた男性職員が、神戸市内の自宅で自殺しました。

その男性職員は「決裁文書の調書の部分が詳しすぎると言われ上司に書き直させられた」「勝手にやったのではなく財務省からの指示があった」「このままでは自分1人の責任にされてしまう」等のメモを残していたそうです。(NHK)

そして、親族によると昨年夏、電話で「常識が壊された」「異動できずつらい」と漏らしていたそうです。(神戸新聞)

もう滅茶苦茶な話だと思います。明確な証拠はないし、真相が今後明らかになることはないでしょうが、状況証拠からすれば、森友学園への国有地売却に関して、普通ではないイレギュラーなことが行われたのは明白です。

もう関係していると思われる人間は全員、証人喚問にかけて真相を明らかにしなければ命を落とした職員が可愛そうだと思います。

日本はこういうことが起きない民主主義国家であってほしい。

行政はAさんもBさんもCさんも平等に扱うことが大前提のはずです。「Cさんだけをえこひいきしますよ」ということがまかり通ってはいけません。

民主主義の仕組みやルールを再整備する時期に差し掛かっているような気がしてなりません。

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ウォーレン・バフェットに学ぶ!1分でわかる株式投資~雪ダルマ式に資産が増える52の教え~』(2018年3月20日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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