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情報拡散を防ごうとする中国当局 上海株式市場の問題は、もはや政治問題、人権問題に発展!

このところの市場を騒がせている話題と言えば何と言っても中国。日経平均も7月14日の大引けでは20,385円と2万円台を回復していますが、一時は19,000円台前半の値を付けるなど影響を受けました。『落合王子のマネーアカデミー』を配信するファイナンシャルプランナーの落合陽平さんは、上海株式市場の問題はもはや政治問題、人権問題に発展していると語ります。

わずか3週間で約490兆円が吹き飛んだ上海株式市場

今年上半期の目玉ニュースといえば、「ギリシャ崩壊」(一応まだしていないが…)と「上海株式の大暴落」であろう。

上海株式市場は、この1年で約2.5倍まで膨れ上がり、2015年6月12日の高値を契機に3週間で30%も下落した。これは金額にすると、約490兆円が吹き飛んだとされ、これは日本のGDPに相当するレベルである。

日本の株式市場も当然影響を受け、それまで2万円台で推移していた日経平均も、一時19,000円台前半まで落ち込んだ。

その後は、自由主義経済無視の政府介入で反発に転じ、7月13日の上海総合株価指数は、前週末の終値から2.39%高い3970.39ポイントで取引を終え、3営業日連続で値上がりした。
中国では重要事項の発表を控えた場合などに、企業が自社株の取引停止を申請できるのだが、株価が急落した8日まで「重要なプロジェクトがある」「海外の買収案件がある」となどの理由(ウソ)をつけて申請が殺到。全上場企業のほぼ半数にあたる約1400社が取引できない異常事態になったほど、混乱極まる相場となった。

上海株式市場の約8割は個人投資家といわれている。この1年で2.5倍となった上海総合指数は、この個人投資家たちによる「信用取引」の拡大の結果だといわれている。
信用取引というのは、現金や株式を担保として、自己資金の数倍以上の取引をすることである。
日本では、FXが個人投資家の間で流行っているが、イメージとしてはFXのレバレッジと同じである。

信用取引は、値上がり局面であれば、非常に大きな利益を得ることができ、実際この1年間で富を得た個人投資家は多くいる。買いが買いを呼び、バブルが醸成されるのだ。
ところが、値下がり局面に入ると、信用取引は非常にリスクが大きくなる。少しの値下がりでも、自己資金は大きく下落するため、追証(おいしょう)と呼ばれる、追加の保証金を入金しないと自動的に株が売られてしまい、損が確定してしまうのだ。
中国には追証の制度がないようだが、値下がりにより保証金が底をつくと自動的に売られてしまうのは同じようである。

Next: 結果として、バブルは崩壊する


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結果として、バブルは崩壊する。信用取引が増えすぎたことに政府が危機感を強め、売買制限を強化したのがきっかけだと言われているが、信用取引で株式を買っていた個人投資家が売りに走り、それを見た別の投資家が売りに走る。そうして市場が売り一色になった結果である。

[自殺者続出…9000万人が損失「上海株暴落」で中国は暴動前夜]

上海株が暴落した中国。いつ暴動が起きてもおかしくない状態だ。上海市内は警察官も増え、いっそう物々しい雰囲気となっている。

自殺者も続出している。自殺第1号は、6月10日。32歳の男性が、「カネ儲けをしたい屍」と題した遺書をネットにアップした後、湖南省のタワーマンションの22階から飛び降りている。

以後、全財産を失った個人投資家たちが、次々に「跳楼」(飛び降り自殺)するケースが中国全土で相次いでいる。「跳楼」という言葉は、流行語になっているほどだ。(後略)

(日刊ゲンダイ 2015年7月14日)

中国の個人投資家は約9000万人いるといわれている。不動産投資に失敗し、株式市場に流れてきた投資家も少なくはないだろう。彼らの不満が習近平体制に悪影響がないとは言えない。

[中国当局、人権派弁護士ら50人超拘束 締め付け強化]

複数の人権団体によると、中国当局は人権団体に対する締め付けを強化しており、ここ数日で50人超の人権派弁護士や人権活動家を拘束・尋問している。

国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは11日、この2日間で北京、上海、広州で少なくとも52人もの弁護士や活動家が拘束されたり、尋問を受けたりしていると明らかにした。

米国務省は12日、こうした措置を非難し、中国側に「市民の人権保護を訴えたことで拘束された全ての人々を解放するよう」強く求めた。(後略)

(ロイター 2015年7月13日)

もはや奥の手というよりは、開き直りに見えてくるが、お得意の人権弾圧で、情報拡散を防ごうという手段に出ている。彼らを通じて訴訟や暴動の画策などが起きかねないと考えたのだろうが、世はグローバルな時代となり、海外にはダダ漏れである。

上海株式市場の問題は、もはや経済ではなく政治問題、人権問題に発展し始めている。習近平体制としては、矛先を日本に向けてくる可能性も否定できない。

日本にとって、これは決して対岸の火事ではないのだ。

落合王子のマネーアカデミー』2015/7/13号より抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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