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この感じは1997年の再来か…強すぎる米ドルが呼び込む「アジア通貨危機」=児島康孝

4月24日のアジア通貨の為替レートを見て「あれっ」と思ったのですが、一斉に下落する様子が伺われました。どうも雰囲気がアジア通貨危機の頃に似てきています。(『『ニューヨーク1本勝負、きょうのニュースはコレ!』連動メルマガ』児島康孝)

※本記事は有料メルマガ『『ニューヨーク1本勝負、きょうのニュースはコレ!』連動メルマガ』2018年2月28日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

1997年「アジア通貨危機」当時にジャカルタで起きた珍現象とは

為替レートを見て感じる違和感

1997年から数年にわたって続いた、アジア通貨危機。このときも、ドル高=ドルの金利上昇によって、ドルが本国のアメリカへと戻っていく中でおきました。

昨日(4月24日)アジア通貨の為替レートを見て「あれっ」と思ったのですが、一斉に下落する様子が伺われました。

どうも、雰囲気が、アジア通貨危機の頃に似てきているのです。

「アジア通貨危機」当時に起きた珍現象

私はアジア通貨危機の頃にシンガポールに立ち寄ったのですが、当時のインドネシア・ジャカルタでの変わった話を聞きました。

ジャカルタにも多くのブランドショップがあります。アジア通貨危機によって、インドネシア・ルピアが暴落

為替レートが、あれよあれよという間に下がり、ブランド品の現地通貨建て(ルピア建て)価格が、その日のうちに対ドルで相対的に大幅安に。

お店は値札を変更するのが間に合わず、ルピア建てでブランドのバッグやアクセサリーを買う人が殺到。ブランドショップは、午後には店を閉めてしまったということです。

ルピア建てで「お買い得」だったのは、その日の午前中だけ。翌日にはしっかりと値札が変更されていて、ブランドショップは営業を再開していたということです。

Next: 強すぎるドルが「通貨危機」を呼び込む。円安を狙う日本は?



「米ドル」の影響力は強い

アメリカのドルの影響力は強く、世界中に流通しています。

うっかりアメリカ財務省の要人が「ドル安を望む」と発言して、その後に、「強いドルはアメリカの国益」と言い直すケースはしばしば起きています。

これは、影響力が大きい裏返しです。

トランプ政権でも、ムニューシン財務長官が「ドル安歓迎」のような意味の発言をして、トランプ大統領が「強いドルはアメリカの国益」と言い直しています。

米ドルは世界各地で広く使われているので、それだけ、ドルの信任は重要なわけです。

強すぎるドルが「通貨危機」を呼び込む

その米ドルの影響力はとくに途上国で強いわけですが、アジア通貨危機のようなケースは、ドルが強すぎるケースでおきます。

アメリカの景気回復でドルの金利が上昇し、アメリカ本国へとドルが還流するからです。

それまで景気対策でじゃぶじゃぶに供給されていたドルが、一斉に、途上国からアメリカへ戻るわけです。

このときに、アジア各国の通貨は暴落します。

日本は円安にならずに困っていますが、アジア各国の場合は、通貨安になると、自国通貨を防衛するために大幅な利上げを迫られます。

大幅に利上げしないと、通貨安・暴落が止まらないためです。

そして、アジア通貨危機のようなことが起きれば、アメリカのダウにも影響します。ですから、アメリカの景気サイクル(中期)が、ピークを通過した頃に、起きやすいということになります。

Next: 最近よく見かける「アジア通貨」の一斉安。いよいよ通貨危機か…



最近よく見かける「アジア通貨」の一斉安

暴落するほどのレートにはなっていないものの、最近、ドルの金利が上昇するとともに、ドル高・アジア通貨安がしばしば起きています。

インドネシア・タイ・マレーシア・韓国などです。先進国と同様に見えるシンガポールでも、通貨安の兆候がみえます。それだけアメリカのドルの影響は大きいということです。

ドルの金利上昇がアジア各国に影響しないか、当面、要注意でしょう。

image by:mark reinstein / Shutterstock.com

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ニューヨーク1本勝負、きょうのニュースはコレ!』(2018年4月25日号)より抜粋、再構成
※太字はMONEY VOICE編集部による

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