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意味のない保険見直しこそ無駄使い。加入者が知るべき必要十分な安心とは=牧野寿和

意味のない保険見直しほど、無駄なものはありません。そこで今回は、ベストな保険とはどんなものか、保険の契約・見直し前に試算しておくべき内容を解説します。(『【人生の添乗員(R)】からのワンポイントメッセージ』牧野寿和)

プロフィール:牧野寿和(まきの ひさかず)
ファイナンシャルプランナー、牧野FP事務所代表。「人生の添乗員(R)」を名乗り、住宅取得計画やローンプラン、相続などの相談業務のほか、不動産投資、賃貸経営のアドバイスなども行う。著書に『銀行も不動産屋も絶対教えてくれない! 頭金ゼロでムリなく家を買う方法』(河出書房新社)など。

必要なお金から逆算すれば、あなたにとってベストな保険がわかる

意味のない保険の見直しこそ「無駄」

「保険は複雑でわからない」という声をよく聞きます。ではなぜ、何十年も支払続けて総額が何百万円にもなる保険に加入したのでしょう?

その答えの多くは、「よくわからないまま申し込んだ」というものです。そして、「保険の見直しの相談をしたい」という方がいます。これこそ無駄使いです。

加入中の保険がその人にとって無駄な保障もついてなく、保険料もお手頃な状態で加入していれば、当然、何も見直すことはありません。

そこで今回は、その人にとって、加入している保険が「良い状態」とはどんな状況なのかを考えてみます(※本稿では、個人が加入する保険についてお話をします。法人については、ほかの機会でお話をいたします)。

なぜ保険に加入する?

保険とは、貯蓄と保障を兼ね備えた金融商品のひとつです。

・死亡保険
・医療保険
・がん保険
・火災保険
・自動車保険
など、さまざまな保険商品があります。

例えば「死亡保険」であれば、夫が亡くなった場合、遺族や夫が指定した人に、契約した死亡保険金が支払われます。

また「自動車保険」であれば、車を運転して事故を起こしてしまった場合、被害者に補償として、保険金が支払われます。

つまり、交通事故や火事などに対応するいわゆる「損害補償」の部分で、自身の蓄えから支払えない莫大なお金を補てんするために、保険に加入することは重要です。

また、掛け捨ての保険は論外ですが、貯蓄性を持った商品もあり、そのために保障と貯蓄を兼ね備えた金融商品と言うこともできるのです。

保険の見直し相談に来る人の特徴

私の業務経験から、保険の見直しの相談にみえる人の中には、
・毎月の保険料が高いのではないか
・私や家族にとって適切な保障内容の保険なのか
・加入している商品の内容がわかっていない
という、疑念や商品内容を理解していない人もいます。

上述のような、死亡保障や他人への補償のために、保険に加入することは必要です。とはいうものの、保険商品は多彩で、それこそ、素人には商品内容がよくわからないこともあります。

公的な社会保障制度が守ってくれる

夫婦と子ども2人の4人家族で、もし夫が亡くなった場合、次のような公的な制度で、残された家族に支援がされます。
・遺族基礎年金
・遺族厚生年金
・母子手当(自治体によって名称は異なる)
・その他の制度

また、夫や妻の勤め先からの援助がもらえるのか、もらえるのならばいつまでいくらもらえるのか?

また、もし病気やケガで入院したとしても、公的な健康保険の高額療養費で1カ月に約9万円(所得により金額は変わる)の医療費は負担してもらえるし、勤務先から福利厚生の制度から援助があるかもしれません。

このような様々な社会保障制度によって、私たちの生活は守られている部分もあります。

もし夫が亡くなったら、我が家ではどのくらいの額がいつまで受給できるのか? 家族が入院したら、我が家の高額療養費はいくらだろう?

金額と受給時期を調べることで、追加で任意に死亡保険や医療保険に加入するのであれば、死亡保険金の保険金額や医療保険でも入院した時の1日の給付額を決めて、保険会社に相談することができます。

そうすることで初めて、保険商品の専門的な知識を持った保険営業マンと対等の立場で相談できて、保険商品の正しい選択ができるでしょう。

Next: 保険に加入しないという選択もある。あなたが望む安心とは?



保険に加入しない選択

特に、医療保険について、例えば、掛け捨ての医療保険に加入するのであれば、

・保険会社に支払う保険料の総額
・保険会社から受け取ることのできる入院給付金などの総額

この2点を計算して、

・定期的に貯蓄する
・株式などの金融商品で運用する

というような方法で対処することも可能です。

もし入院したとしても、前述の「高額療養費」などの制度も利用しつつ、自身でお金を用立てることができれば、生活に大きな支障はありません。

貯蓄は目的があってするものですが、例えば、老後用の貯蓄から入院費を一時的に流用しても、また老後の資金は貯め直せばよく、老後資金用の貯蓄額には大きな影響はでないというケースもあります。

しかし、保険に加入すれば、支払ったお金は保険商品にのみに使われ、家計内での柔軟な運用はできません

何でもかんでも保険に入ればよいと言うことはない

このように考えてみますと、やはり保険に加入するには目的が必要です。

また、万一の時に「いくら保険金をもらえばいいのか」という計算をしてから、保険に入ることが重要です。

従って、保険を見直す前にこの作業をしてから保険に申し込めば、保険を見直すこともなく、必要以上に保険料を支払うこともないのです。

保険に加入する時は、必ず保険に加入する目的を明確にしてから、保険会社の人と話しましょう。そうすることで、保険会社の営業マンと対等に向き合えます。

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【人生の添乗員(R)】からのワンポイントメッセージ』(2018年6月6日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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