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子孫も迷惑? 不動産投資家が「ワンルームを買ってはいけない」2つの理由=姫野秀喜

世の中の著名な不動産投資家のほとんどは「ワンルーム区分所有は買うな」と言います。なぜ買ってはいけないのか? 今回はその根拠となる2つの問題点を解説します。(『1億円大家さん姫ちゃん☆不動産ノウハウ』姫野秀喜)

プロフィール:姫野秀喜(ひめの ひでき)
姫屋不動産コンサルティング(株)代表。1978年生まれ、福岡市出身。九州大学経済学部卒。アクセンチュア(株)で売上3,000億円超え企業の会計・経営計画策定などコンサルティングに従事。合間の不動産投資で資産1億円を達成し独立。年間100件以上行う現地調査の情報と高い問題解決力で、顧客ごとに戦略策定から実行までを一貫してサポートしている。

得をするのは業者だけ?不動産投資で成功するための唯一の方法は

著名な不動産投資家は「ワンルーム」を避ける

世の中の著名な不動産投資家の人のほとんどが、「ワンルーム区分所有は買うな」と言っています。そのため、最近ではワンルームを買う日本人は減っているようです。

それでも、利回りの良くない新築や中古のワンルームを買う人がいないわけではありません。

今回は、なぜワンルームはダメなのか、その理由を2つ述べます。

ダメな理由その1:利回りの低さ

まず、1つ目の理由です。

有名な不動産投資家も含め、ワンルームがダメといっている最大の理由は「利回りの低さ」です。

東京都内では、広さ16~19平米くらいで、表面利回り5%~8%のものがよくみられます。5%~8%というと、普通預金の利率と比べると高いような気がしますが、不動産投資では低い利回りです。

私は23区内であれば、そもそも表面利回り8%未満は検討に値しないと言っています。利回りが8%未満のものは、1棟ものでもワンルームでも、検討するだけ時間の無駄だと考えています。

なぜかというと、計算した結果、8%未満のものでは手取りがほとんど残らないからです。

銀行の返済や税金などを考慮して35年分を厳密に計算すると、利回り8%が分水嶺になるからです。

自分が生きている間は、不動産投資からキャッシュが入ってこなくてもよく、自分の子孫に良い物件を残すことを投資の目的としているのであれば、利回りが低いものを買ってもよいでしょう。

ですが、自分の生きているうちから、キャッシュを稼ぎ出し、資産を形成し、人生を謳歌し、最終的に子孫に良い物件を残すことを目的とするのであれば、利回り8%未満を購入するのはアクションとして適切ではありません。

ダメな理由その2:将来「負動産」になる

次に、2つ目の理由です。

ワンルームを買ってはいけない2つ目の理由、それは、将来「負動産」になる恐れがあるからです。

これはワンルームに限らず、区分所有全般に言えることです。マンションのような区分所有の物件は、持ち主がたくさんいます。

マンションの大規模修繕や、取り壊し、建て替えなど、重大なことは、区分所有者の総意で決めなくてはなりません。

そのために、管理組合の会合などがあるわけです。

どんなマンションも、いつかは朽ち果て、取り壊しもしくは建て替えが必要になります。そして、この建て替えというのが問題なのです。

Next: ワンルームで得をするのは業者だけ? 絶対に避けるべき根拠は



建て替え費用は、1戸あたり200万円~1000万円以上

現在、日本にはマンションが633万戸あり、都内だけでも5~6万棟はあると推測されています。

そのうち、うまく建て替えができたのは、推定でおおよそ0.4%程度です。つまり、1,000棟のマンションがあったら、そのうち4棟くらいは、運よく建て替えができるという計算です。

なぜ、建て替えが難しいのでしょうか。

それは、建て替え時に多大な追加費用がかかるからです。マンションの建て替えは、戸数や規模にもよりますが、1戸あたり200万円~1000万円以上かかるといわれます。

マンションが老朽化した約50年後は、すでに所有者も高齢化していたり、相続して子どもの世代、孫の世代が所有していたりするようになります。

たいして思い入れもない人や、お金もない人たちが集まった区分所有の建て替えにおいて、そういった費用をはたしてマンションの住民全員が公平に負担することができるのか、はなはだ疑問が残ります。

「建て替えできないなら売ればいい」に潜む誤算

建て替えができないなら、売ればよいと思うかもしれません。

ですが、法定耐用年数を超えてしまったマンションに対して、金融機関はどれくらいの融資を出してくれるでしょうか。

融資が出ないということは、買える人が大幅に減るということになります。買いたい人、買える人が減るということは、需要が減るということです。

需要が減るということは、売買価格が下がるということです。最悪の場合、売れないということになります。

要するに、出口が見えないということなんです。

ワンルームで得をするのは業者だけ

総じて、ワンルームは利回りが低く、区分所有は最終的な建て替えや取り壊しに不確定要素が残るという点で、1棟ものよりも不利だと思うのです。

1棟ものであれば、最終的に取り壊して土地にするのも、自分自身の意志だけで決定できます。戸建などであれば、次も戸建用地にするなり、建て替えるなりしやすいと思います。

ワンルームのメリットは、売買単価が安く、業者が売りやすいということです。

一生懸命探せば、23区内で1000万円以下の戸建なども存在します。同じ1000万円を支払うのであれば、土地付きの戸建を買ったほうが、将来的な資産になると私は考えています。

Next: 何のツテもない一般人が不動産投資で成功するための唯一の方法は?



競争を勝ち抜いて良い物件を買うしかない

だからこそ、都内23区にある土地付きの戸建(再建築できて、所有権もの)は、めったに出てこなくて、出てもすぐに売れてしまうように競争も激しいわけです。

あなたが地主や資産家のように特別な立場でない限り、不動産投資で取りうる戦略はただ1つ。

激しい競争を勝ち抜いて良いものを買うことです。それこそが、不動産投資で成功するための唯一の方法なのです。

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1億円大家さん姫ちゃん☆不動産ノウハウ』(2018年6月5日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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