相続税の申告作業は、税金のプロである税理士でも間違えることが少なくないと言われます。その避けられない理由と、私たちができる申告ミス対策を解説します。(『FPが教える!相続知識配信メルマガ☆彡.。』小櫃麻衣)
事実、多くの税理士は相続税申告の経験がほとんど無かった…
相続税の申告ミスが多発するワケ
今回は、相続税の申告業務にミスが生じやすい理由について解説いたします。
相続税の申告作業は、税務のプロである税理士でも間違えることが少なくないと言われています。それはいったいなぜなのでしょうか。
実は、年間の相続発生件数を税理士の登録者数で割った数は、1にも達しません。つまり、税理士1人当たり、年間1件の相続業務を行うか行わないかという数なのです。
税理士の多くは、企業顧問や確定申告作業などを主軸に活動している方が多いため、相続業務に不慣れな税理士が多いのです。
税理士は不動産評価の専門家ではない
そして、相続税申告を行ううえで必ず必要となるのが、不動産の評価です。
不動産評価に不慣れな税理士が評価額を算出すれば、当然ミスが生じる可能性が高くなります。
さらに、日本人の相続財産の半数以上は不動産で占められていることから、少しのミスであっても誤差が大きくなってしまうのです。
税理士はあくまで税務のプロであって、不動産評価のプロではありません。つまり、“相続税の計算”を行う専門家ではありますが、専門外である“不動産評価”を行わなければならないというギャップが生じてしまうのです。
税務調査の立ち合いもネックになる?
そして、もう1つ大きな理由は、税務調査の対象となることへの恐れです。
税務調査では担当税理士が立ち会うことになりますが、その際に調査員から“不動産評価があまりにも低い”ということを追及される可能性があります。
調査員からの追及は、されて嬉しいものではないですよね。つまり、税務署からの追及を避けるために、不動産評価を高めに設定してしまう税理士もいるのです。
このような理由から、“税務のプロである税理士であっても、相続税申告を間違える”と言われているのです。
Next: 税金を払い過ぎててしまう恐れも? 私たちができる対策は…
税金を取り戻すために時間とお金がかかる
申告ミスと聞くと、“相続税を過少に申告していた”といったイメージを持たれるかもしれません。
しかしそれだけではなく、“相続税を多く支払っていた”というケースも考えられます。
納め過ぎていた相続税の還付手続き、つまり更正の請求によって還付された相続税額は1,200万円にもなると言われています。
更正の請求が認められれば、当然、納め過ぎていた相続税が還付されることになります。ただし、その手続きをご自身で行うことは難しいため、専門家へ依頼するのが一般的でしょう。
そうなると、その専門家へも報酬を支払わなければならず、2度にわたって、時間とお金を費やさなければならないのです。
「相続税のプロ」に頼もう
こういった手間を増やさないためには、相続問題に精通した税理士へ依頼することが大切です。
相続業務に不慣れな税理士に依頼すると、相続財産の評価に誤りがあったり、適用できる控除や特例を適用させなかったりと、本来納めるべき相続税より少なかった・多かったという状況に陥る確率が上がります。
しかし、“長年の付き合いだから”“近所にあるから”といった理由で、身近にいる税理士へ相続業務を依頼してしまう方も多いのが現実です。
こういった気持ちになるのも分かりますが、そこはグッとこらえ、相続に詳しい税理士へ依頼した方が身のためなのではないでしょうか。
残された家族が困らないようにするためにも、相続が発生したらどこの税理士に依頼して欲しいのかなどの要望を遺言書に書き記しておくのも、1つの相続対策につながるでしょう。
『FPが教える!相続知識配信メルマガ☆彡.。』(2018年8月27日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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