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【8月米雇用統計】貿易戦争で米経済は崩れるか? 不安な夜は「戻り売り」で=ゆきママ

今の相場はまさに貿易戦争が市場のテーマとなりつつありますが、大前提としてアメリカの経済が強いということが根幹にあります。ここが崩れるようだと、これまでの解釈に修正が入ることになるので、警戒したいですね。

さて、そんな中で迎える雇用統計は果たしてどんな結果になるのか、市場の状況や先行指標を確認しながら、考えて行きましょう。(『ゆきママのブログでは書けないFXレポート(無料板)』『お値段以上!?ゆきママの「週刊為替予測レポート」(有料板)』FXトレーダー/ブロガー・ゆきママ)

今夜は1ドル=109.8~111.0円を想定。有効なトレード戦略は?

ついに日米貿易戦争? 引き続き動向を注視!

昨日から今日にかけて、大きく円高が進みました。背景には、米中貿易摩擦で対中関税第3弾へ、カナダとの新NAFTA交渉、そして日米貿易戦争という「経済戦争」が今の市場のテーマがあります。

早朝には、いよいよ次のターゲットは日本ということが報じられており、トランプ大統領が「日本がどれだけ(米国に)払わなければならないかを伝え次第、(良好な関係は)終わる」とし、二国間の自由貿易協定(FTA)の締結などを含め厳しい態度で交渉に臨と伝えられています。

もっとも、トランプの発言については一定の解釈の余地を残しています。つまり、「貿易赤字解消のために強い姿勢で望めば、日本との良好な関係が終わってしまう…」と思い悩んでいると好意的に捉えることも可能で、今後の動向は注意深く見ていく必要があるでしょう。

日米の関係を踏まえると、20日投開票の自民党総裁選までは、そこまで露骨な日本批判をしないと考えられます。そのため、日米貿易戦争のテーマは徐々に緩和されていきそうですが、20日以降は特に警戒したいトピックですので、しっかり確認しておきたいですね。

また、ある程度は織り込みが進んでいるとはいえ、対中関税の第3弾は2,000億ドル規模と非常に大きいですから、嫌気して株価が急落するようだと、一段と円高が進みますので、こちらも意識しておきましょう。

貿易問題は雇用に影響をもたらすか?

今回の雇用統計におけるテーマは、大きく2つあるでしょう。1つは「9月と12月の年内残り2回の利上げへ向けて」ということ、もう1つは「貿易問題が雇用にどう影響するか」ということです。

利上げに関しては、これまでも繰り返しているので言うまでもないですが、9月の利上げに関してはほぼ100%確実視されていますので、今回の結果でどうこうということはないでしょう。

むしろ、12月利上げについては市場関係者の間でも見方が割れていますから、そこへ向けて弾みとなるような結果が出るかどうかということになります。

そして、懸念材料として貿易問題が企業活動に影響し、ひいては雇用情勢にも響いてくるのではないかということがあります。

仮に貿易問題が雇用情勢にも悪影響を及ぼせば、貿易問題そのものに加え、この問題が加熱するにつれて米経済も悪化するということでダブルパンチとなります。

ドル円相場の一段安には警戒したいところでしょう。

Next: 平均時給は低調予想だが…。気になる先行指標や事前予想値は?



先行指標はまずまずだが、平均時給は低調予想

それでは、先行指標事前予想値を確認していきましょう。

先行指標の結果(青は改善・赤は悪化、数値はいずれも速報値)

ISM(供給管理協会)の調査による雇用指数を見る限りでは、製造業・非製造業ともに良好で力強い数字が続いており、貿易摩擦の影響を過度に懸念する必要はないように思われます。

しかしながら、相変わらず平均時給については、期待を裏切り続けたこともあってか、低調な予想となっており、ここでサプライズがなければ、なかなか現状ではドル買いに結びつきにくそうです。

悪ければ素直に下を試しそう!

テクニカル的には89日移動平均線(110.677円)を割り込んでしまい、ドル円はやや苦しい状態にあるといえます。

ただ、引き続きモミ合いレンジの範囲内ですので、過度に下値不安が高まる可能性は、それほど高くないでしょう。

ドル円チャート

昨日から今日にかけての下落が目立ちます。先にも書いたように、貿易戦争の中でも米景気が強いということが前提としてあり、リスクオフ(回避)の流れでもドル高になったことがドル円相場を支えてきましたので、これが崩れるようだと素直にドル安という流れになりそうです。

つまり、とりわけ平均時給が予想を下回った場合は、110.00円ラインという大台を試す動きになりそうですから、警戒しておきましょう。

逆に平均時給が予想を上回れば、21日移動平均線(110.936円)を試すことになるでしょうが、前月比+0.4%・前年比+2.9%となるようなサプライズレベルの強い結果にならない限り、上値もそこまでというところです。

Next: 今夜は1ドル=109.80~111.00円を想定! 有効なトレード戦略は?



今夜は1ドル=109.80~111.00円を想定!

なので、今日は109.80~111.00円というレンジを見込んでいます。

個人的に、日米貿易戦争ネタの解釈は、ちょっと強引さも感じられるので、市場としては無理矢理にでも下げたかったのかなという印象があります。

それを踏まえると、短期的には戻り売り安定なのかなと思います。

日米貿易戦争への懸念が吹き飛ぶような発言、報道があれば別ですが、懸念がある限りは上値が重そうです。

なので、よほど良好な結果が出なければ、111.00円を天井目処としてショート(売り)で入りたいと思います。
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本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2018年9月7日)
※太字はMONEY VOICE編集部による

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