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11/4はいよいよ郵政上場だ!ソフトバンク&トヨタ決算、米雇用統計も注目=山本伸一

11月4日(水)、いよいよ日本郵政グループ3社が上場します。超大型IPOとあって需給悪化が懸念されるものの、うまく利益確定売りをこなせば市場ムード一変の可能性も?直接売買しない方も郵政3社の値動きは要チェックです。

同じく4日(水)はソフトバンク、ホンダ、5日(木)はトヨタの決算発表。また6日(金)には米国の年内利上げを左右する注目の米雇用統計があります。その他、11月2日週の注目ポイントと前週の振り返りを『プロの視点。今、乗るべき銘柄が見えてくる。』を配信する株式評論家・山本伸一さんが解説します。

「買い安心感」は広がるか?郵政3社は売買せずとも要チェック

まずはこの1週間(10月26日週)の相場動向を振り返り

10月26日週の株式相場は、週半ばから強気に傾いた前週の流れから、月曜日も買いが優勢に。火曜日に売り直されたものの、水曜日は持ち直し。木曜日も利益確定売りをこなすと、金曜日も買い気を強めており、底堅い展開となっています。

日経平均株価は、先週末の1万8800円台から、米国市場での企業決算好調の流れを受けて、月曜日に大台1万9000円台乗せ。火曜日には米国のFOMCの結果を見極めたいとの思惑から1万8700円台まで押したあと、水曜日には米アップルの決算評価や日経平均株価構成比率上位のファナック<6954>の決算人気も追い風となり1万8900円台まで戻す展開。

FOMC政策声明では、米利上げは見送られたものの堅調な景気認識となり、12月会合での利上げ可能性示唆が政策進展として確認され、木曜日には再び大台1万9000円の攻防に。日銀金融政策決定会合を控えて伸び悩む局面も見られました。

注目された日銀金融政策決定会合では、30日金曜日の前引け後に政策声明で「現状維持」が伝わり、一部緩和期待の失望を誘い売り圧力が強まったものの、売り一巡後はイベント通過を好感した買いで切り返し、日経平均株価の今週の終値は1万9083.10円と、着実に水準を切り上げてきています。

日経平均株価チャート 2015年10月30日終値

個別物色の「決算プレー」は上方修正、下方修正で明暗クッキリ

10月26日週の東京市場は決算発表が本格化。前週末にはドラギECB総裁が金融緩和政策を示唆したことによるリスク選好の流れが見られていましたが、続く中国人民銀行(中央銀行)も緩和姿勢を示しました。米国のFOMC、そして日銀金融政策決定会合を前に、日米の金融政策では米国で利上げ観測、国内で追加緩和観測と一部では政策変更期待があったことも事実です。

ただし、実際の政策変更ともなればサプライズ感を伴うだけに、イベント接近とともにポジション調整を誘った側面もあり、膠着感の強い相場展開になる場面も見られました。決算シーズンが本格化するにしたがって、前日に決算発表を行った銘柄が個別に物色される決算相場特有の神経質な相場展開となりました。

日経平均に絡んだ個別銘柄では、26日には前週の23日引け後に2015年9月中間期の業績予想を上方修正した日立製作所<6501>が人気化。好業績観測報道のパナソニック<6752>日本航空<9201>、事業売却観測報道の東芝<6502>が買われたほか、売却先のソニー<6758>も賑わう展開に。

日経平均構成比率上位として注目されていたファナック<6954>は、27日引け後に第2四半期決算を発表。連結経常利益は前年同期比5.6%減の1368億円でしたが、通期の経常利益を従来予想の2331億円から2363億円へ上方修正。

同社は中国経済減速から通期予想の下方修正リスクもあっただけに、市場コンセンサスの中間期1355億円、通期で2340億円を上回ったことが買い安心感に繋がり上値を伸ばしました。

ファナック<6954> 日足(SBI証券提供)

同じく27日引け後に発表された東京エレクトロン<8035>の決算では、2016年3月期第2四半期累計(4~9月期)の経常利益が前年同期比96.3%増の623億円に拡大し従来予想を上回る着地となり、通期予想も従来の950億円から1060億円へと上方修正を行い、日経平均を牽引する形で株価上昇に繋がっています。

30日引け後に発表された決算では、村田製作所<6981>が第2四半期累計の利益が1563億円に拡大。従来予想を上回ったほか、通期の営業利益も従来予想の2520億円から2760億円に上方修正し、2期連続の過去最高益予想となったことから買い優勢の展開。

村田製作所<6981> 日足(SBI証券提供)

コマツ<6301>は28日引け後の決算発表では第2四半期決算は減収減益着地となったものの、通期業績予想を据え置いたことが好感されて反発。

同業の日立建機<6305>が27日引け後の決算発表で、営業利益は45%減160億円と市場予想通りだったものの、通期予想を540億円から300億円と大幅に下方修正を行ったことから見切り売りにつながり、市場に警戒感が高まっていたことも、コマツ<6301>の反発に繋がった模様です。

その他にも、今週の決算銘柄では安川電機<6506>、ミネベア<6479>、オークマ<6103>、山崎製パン<2212>、JSR<4185>、タカラレーベン<8897>などが物色されました。

ただ、野村ホールディングス<8604>は28日引け後の決算発表で第2四半期決算の7~9月期の純利益は12%減の466億円となり、四半期ベースでは過去4年間で最大規模となる損失を海外事業で計上。成長分野の海外事業での赤字計上が嫌気され、決算売りを浴びる結果に。

また、日経平均構成比率上位の京セラ<6971>は29日の引け後に決算発表を行いましたが、2016年3月期の営業利益予想を1600億円から1100億円に、連結純利益は1200億円から850億円にそれぞれ下方修正されて大幅安となりました。

京セラ<6971> 日足(SBI証券提供)

28日の決算では任天堂<7974>が第2四半期決算で営業損益が黒字転換を果たし、29日の株式市場で決算評価の買いが先行したものの、29日に開かれた経営方針説明会でスマートフォン向けサービスの開始時期を2016年3月に延期すると発表したことが嫌気され大幅続落。スマートフォン向けアプリの共同開発を手掛けるディー・エヌ・エー<2432>も連れ安に。

任天堂<7974> 日足(SBI証券提供)

ディー・エヌ・エー<2432> 日足(SBI証券提供)

そのほか、鉄鋼大手の新日鐵住金<5401>、JFE HD<5411>、シャープ<6753>、セイコーエプソン<6724>、アドバンテスト<6857>などのハイテク株や、日本精工<6471>、スタンレー電気<6923>なども下方修正で売られています。

新興市場では、IPO銘柄やそれに伴う直近IPOが活況に。26日に初値形成の先週末上場のGMOメディア<6180>もがトップ高買い気配と連騰したのにつづき、火曜日上場のパートナーエージェント<6181>も買い気配スタート、ブランジスタ<6176>、バルニバービ<3418>などとともに、直近IPOの需給妙味に着目した買いが見られました。

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いよいよ郵政3社上場。需給悪化か?買い安心感か?見極めが重要に

さて11月2日週はいよいよ郵政グループ3社上場です。11月4日(水)に日本郵政<6178>ゆうちょ銀行<7182>かんぽ生命保険<7181>の3社が同時に新規上場します。3社の売出価格の合計は約1.4兆円と超大型IPO案件であるため、短期的な需給の悪化もあるかもしれません。

ただ、公募価格を上回る初値形成から堅調に推移すれば、株式市場全体にも買い安心感が広がる可能性もあります。上場時点である程度の利益確定をこなせるかどうかで、相場全体に資金が循環するかどうかが変わってくるので、日経平均構成銘柄や個人投資家の多い新興市場銘柄を保有している場合は、郵政3社の株の売買はしないとしても、上場後の動きはチェックしておくべきでしょう。

また、開示銘柄を中心に株価の大きな変動が確認されていますが、証券会社などの調査機関の投資判断や集計業績の増額、好業績観測など、決算発表から逆算して集計業績に関する材料も多くなってくることが予想されます。

ソフバンク、ホンダ、トヨタ=注目の決算

決算関連では、11月4日(水)にソフトバンク<9984>ホンダ<7267>、11月5日(木)にトヨタ<7203>がそれぞれ引け後の決算発表を予定しています。

前回決算シーズンを下回る株価水準となっている銘柄も多いこと。さらにこれまでの決算が開示された銘柄を見ていても、同業の企業でも決算内容によっては大きく売りこまれたり、逆に大きく買われたりといった株価の変動幅が大きいという側面から決算発表前に仕掛けた銘柄はいったん手仕舞うのも戦略です。

日立建機<6305>が通期予想を下方修正して大きく株価が売られたのに対して、コマツ<6301>は減収減益ながらも通期予想据え置いたことで株が買われたように、同業であっても個別視点で銘柄を捉えておきたいところ。

決算をまたいで持ち越すよりも、やはり事前の好決算期待から開示後の反応を見据えた「決算発表を先回りするスタンス」を基本戦略としたほうがよいと思われます。

年内利上げを左右する週末の米雇用統計がポイントに=海外動向

さて、前週に日米の金融イベントを通過した株式市場ですが、11月2日(月)には10月の中国製造業PMI・速報値米ISM製造業景況指数が発表。4日(水)に米ADP雇用者数、5日(木)に米新規失業保険申請件数、そして6日(金)に米雇用統計の発表を控えます。

特に注目するのはやはり週末の米雇用統計でしょう。直近のFOMCで10月の利上げは見送られましたが、「次回会合で利上げが適切かどうかを判断する際は、雇用の最大化と2%のインフレ目標に向かう進展を評価する」との声明文を出していることから、雇用統計が良好であれば年内利上げの可能性も高まることになります。

声明文でも米国経済は「緩やかに拡大している」との景気判断は維持したものの、雇用回復のペースについては「減速した」と判断を引き下げていることから、11月、12月に発表される雇用統計が年内利上げの可能性を問うポイントになるのではないでしょうか。

また、29日に米商務省が発表した第3四半期の米GDP速報値は年率換算で前期比1.5%増となり、3.9%増だった前期から後退。市場予想の1.6%増も下回っていることから、「緩やかに拡大している」との景気判断も場合によっては見直しを迫られるかもしれません。

結果として、FOMCでの利上げは見送られ、日銀金融政策決定会合でも金融政策の現状維持となったことから、一部であった10月末の追加緩和のサプライズはなくなったことで、金曜の後場にいったんは売られる場面もありましたが、金融イベント通過で良好な企業決算を素直に見直す動きとなり、イベント通過を好感した買いがメガバンクの三菱UFJFG<8306>、三井住友FG<8316>、みずほFG<8411>に買いが入っています。

これらのメガバンクなどの金融セクターは米雇用統計前後にも思惑が入りやすいため、引き続きマークが必要となります。

NYダウ 5分足 金曜終値:17,663.54ドル -92.26(-0.52%)(SBI証券提供)


大証日経先物期近 5分足 金曜終値:18,920.00円 -170.00(-0.89%)(SBI証券提供)

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プロの視点。今、乗るべき銘柄が見えてくる。』2015年10月30日号より一部抜粋
※SBI証券提供チャートと太字はMONEY VOICE編集部による

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