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一人っ子政策廃止で育児関連に買い。中国の「小康社会」は実現するか?

経済成長の減速や所得配分の不平等が問題化する中国。中国はいま、国民が多少は豊かさを実感でき、適度にゆとりのある「小康社会」を2020年までに実現することを掲げています。

そこで、今回明らかになった第13次5カ年計画(2016-20年)の大枠中国株式市場の反応を『【DZH】中国株マーケット&ニュース』の解説で詳しく見てみましょう。「一人っ子政策」の廃止が決定されたことで、中国市場では育児関連銘柄に買いが集まりました。

所得倍増、一人っ子政策廃止…中国が目指す「小康社会」とは

第13次5カ年計画の草案かたまる=5中全会

中国共産党は10月29日まで4日間開いた第18期中央委員会第5回全体会議(5中全会)で、第13次5カ年計画(2016-20年)の大枠を固めた。国営新華社が29日に伝えた。

コミュニケでは、多少は豊かさを実感できる、ややゆとりのある「小康社会」を2020年に実現するため、第13次5カ年計画が決定的段階になるとした。主要な目標は次の通り。

■小康社会の全面的な実現へ向けた新目標

経済の中高速成長を維持。2020年までに国内総生産(GDP)と国民1人当たり所得を2010年の2倍に引き上げる。産業を高度化させ、経済成長に対する消費の貢献度の拡大。戸籍の都市化を加速する。

■イノベーション振興

新しい技術、産業、業態を支援。全国に重点経済区を設置し、インターネット強国戦略と「インターネット+」行動計画を実施する。

イノベーションを原動力とする成長戦略を実施し、国家レベルの大規模科学技術プロジェクトを推進する。農業現代化にも力を入れる。製造強国の建設を早め、「中国製造2025」を実施。戦略性産業を育成するなかで現代サービス業の支援策を講じる。

■協調発展の堅持

新型工業化とIT化、都市化、農業現代化の歩調を合わせて進展させる。都市と農村が一体となって発展する仕組みを強化。農村のインフラを整備し、都市部の公共サービスを農村にも広げていく。

■環境に配慮した成長

資源節約と環境保護を基本国策として、持続的な成長と産業の拡大、生活水準の向上を目指す。資源を無駄遣いせず環境にやさしい社会の建設を加速。人と自然が調和しながら発展する新たな枠組みを構築し、「美麗中国」の建設を推進する。

エネルギー利用権、用水権、汚染排出権、炭素排出権の分配制度をつくることで、社会に節約を心がける気風を形成する。厳格な環境保護制度を施行し、大気や水、土壌の汚染を防ぐ措置を導入する。

■対外開放と海外進出

グローバルな経済ガバナンスと公共産品の提供に積極的に参与することで、グローバル経済ガバナンス制度におけるわが国の発言力を高め、広範な利益共同体を構築する。

対外開放では新たな体制を形成してビジネスをしやすい環境とサービス貿易促進制度を整備する。「一帯一路」建設を進め、関係する国や地域と共存共栄の協力関係をつくる。自由貿易区戦略も推進する。

■全ての国民が成長の果実を実感できる体制づくり

就業優先戦略を維持すると同時に、創業支援の措置を強化し、技術者の待遇を向上させる。収入格差を縮小させる。国民の収入が経済成長と同調して伸びるようにする。公平で持続可能な社会保障制度を構築し、国民すべてを保険制度に加入させる。

健康中国」を推進するなかで、医薬・保健体制の改革、医薬価格の見直し、都市と農村をカバーする基本医療・衛生制度と医療管理制度の確立、食品安全戦略を実施していく。

人口の均衡発展と計画生育を基本国策としつつ、夫婦1組が子ども2人を産み育てることを認める政策を全面実施。人口高齢化に対応していく。

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一人っ子政策の廃止を好感し育児関連に買い。中国株の反応は?

本土大引け:小反落、一時3400ポイント超えも上値の重さ意識される

10月30日の中国本土株式市場で、上海総合指数は小幅に反落。終値は前日比0.14%安の3382.56ポイントだった。上海、深セン両市場の売買代金は概算で8025億5800万元。

上海総合指数 日足(SBI証券提供)

上海総合指数は前場にほぼマイナス圏で推移も前引け間際に切り返すと、後場はプラス圏でもみ合う展開。中国共産党の第18期中央委員会第5回全体会議(5中全会)で「一人っ子政策」撤廃が決定されたことが好感された。

ただ、節目の3400ポイントを上回る水準では上値の重さが意識され、大引けにかけて上げ幅を縮めると、結局、マイナス圏に沈んで終えた。セクター別では、石油、銀行、自動車の一角などが売られる半面、証券、ベビー用品、食品、不動産が買われた。

A株市場では、四半期業績が市場予想を大幅に下振れた石油株のペトロチャイナ(601857)、シノペック(600028)が下落し、相場の重しになった。中国銀行(601988)のさえない決算内容を嫌気し、同銘柄や中国工商銀行(601398)など銀行株の一角も安い。好業績を発表したBYD(002594)は好材料出尽くし感から売られた。

一方、政策支援を追い風に、粉ミルクメーカーの貝嬰美(002570)、ベビー用品の金発拉比(002762)がストップ高を付けるなど子育て関連株が買いを集めた。このほか、保利房地産集団(600048)など不動産の一角も高い。

上海B株指数は2.38%高の358.55ポイント、深センB株指数は0.14%高の1153.44ポイントとともに続伸した。

香港大引け:3日続落、約2週間ぶり安値

10月30日の香港株式市場でハンセン指数は3日続落。終値は前日比0.79%安の22640.04ポイントだった。H株指数は0.41%安の10396.58ポイント。メインボードの売買代金は概算で693億2600万HKドル。

香港ハンセン指数 日足(SBI証券提供)

ハンセン指数は終日、ほぼマイナス圏で推移した。本土市場の上昇を受けて一時プラス圏に浮上する場面もみられたものの、勢いは続かなかった。中国共産党の第18期中央委員会第5回全体会議(5中全会)が29日に閉幕し、コミュニケで第13次5カ年計画(2016-20年)の大枠が明らかになったものの、米利上げ時期をめぐる不透明感が引き続き相場の重しとなった。

11月1日に中国の製造業購買担当景気指数(PMI)の発表を控えて様子見ムードも強まり、指数は今月14日以来、約2週間ぶりの安値水準で取引を終えた。

個別では、AIAグループ(01299)やテンセント(00700)が売られて相場の下げを主導。市場予想を下回る決算を発表したペトロチャイナ(00857)が2%超下げたほか、CNOOC(00883)や昆侖能源(00135)も売られた。

半面、中国で「一人っ子政策」の廃止が決定したことを受け、中国蒙牛乳業(02319)や雅士利国際(01230)など粉ミルク関連、中国児童護理(01259)や好孩子国際(01086)などベビー用品関連が買われた。

H株では、龍源電力(00916)や中国広核電力(01816)など電力株が安い。金先物相場の下落を嫌気し、紫金鉱業集団(02899)や招金鉱業(01818)など産金銘柄の下落も目立った。2015年12月本決算で大幅減益となる見通しを発表した中海油田服務(02883)は2.70%安。半面、9月の自動車販売台数が11%増となった東風汽車集団(00489)が4%近く上昇した。

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【DZH】中国株マーケット&ニュース』(2015年10月30日号)より一部抜粋、再構成
※チャートと太字はMONEY VOICE編集部による

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