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【中国】データでひもとく「一人っ子政策」撤廃の経済効果=田代尚機

中国共産党が36年ぶりに廃止を決定した「一人っ子政策」。現在の中国は就業適齢期人口の減少に苦しんでおり、マクロでみるとかなり長期を見据えた方針転換と言えます。いっぽうで子供向け市場は比較的早期に15%ほど拡大し、全体で2250億元の需要創出が見込まれるとの試算も。TS・チャイナ・リサーチの田代尚機氏が解説します。

遅すぎる?期待できる?一人っ子政策撤廃の経済効果

2012年から始まっていた就業適齢期人口の減少

2011年第1四半期には10.2%であった中国の実質GDP成長率は、2015年第3四半期には6.9%にとどまっている。成長率の鈍化が止まらない。

長期的な観点から言えば、中国経済において、労働力の減少は最も頭の痛い問題である。そうした状況において、中国共産党はようやく一人っ子政策の完全廃止に踏み切った。果たして効果はあるのだろうか?遅すぎるのではなかろうか?

最近ではあまり目立たなかったが、2000年代後半には「中国経済の高成長は長くは続かないだろう」といった見方が投資家の注目を集めていた。

その最大の要因は、就業年齢人口の減少であり、その背景にある出生率の低下である。出生率が低下したのは産児制限があるからだ。一人っ子政策は景気抑制策である。

もっとも、2014年時点においても、総人口は年間710万人増えている。しかも、増加数は2010年の641万人をボトムに緩やかではあるが回復基調にある。

しかし、16~60歳の人口を見ると、2014年には371万人減少している。2013年には244万人減少している。年齢区分が2012年以降変わってしまったので、正確に遡及できないものの、概算すれば就業適齢期人口の減少は2012年から始まったと見られる。

いびつな人口ピラミッド、労働力回復は10数年後に

もう少し細かいデータを見てみよう。

2014年の出生率は1.237%で、2010年の1.19%をボトムに増加している。一方、死亡率は0.716%で、2003年の0.64%をボトムに増加傾向にあるが、2008年に0.7%台となった後は上昇傾向に歯止めがかかっている。

それではなぜ就業適齢期人口は減少するのだろうか?

それは年齢別人口の構成が、急速にピラミッド型から釣鐘型に変化しているからである。出生率の経時変化をみると、1987年のピーク時には2.333%であった。

それが急速に低下したため、新たに就業適齢期となる人口の増え方が鈍化し、新たに就業適齢期から外れる人口との差が縮まり続けた。

いま子供が生まれても、その子供が働けるようになるには義務教育を終える年齢でも16年かかる。また、出生率曲線がフラットになり始めたのは2000年代後半である。就業適齢期人口の減少圧力が無くなるまでには2000年代後半に生まれた子供が働けるようになるまで待たなければならない。

中国の教育水準は結構高い。2015年2月に国家統計局が発表した全国大学生の数(在校生)は、2548万人である。1993年から1996年に生まれた人口は6654万人である。

大雑把にいえば4割近くが大学に進学することになる。高校となるとよほどのことがない限り、進学するといった状況である。この統計では16~60歳を就業適齢期としているが、学生の数を差し引くと実際の就業適齢期はもっと狭い。

また、高学歴化が進んでおり、その減少幅はもっと大きく、労働力の減少は今後10数年に渡り続く可能性が高いと言えよう。

最初の問いかけに話を戻すと、いまさら一人っ子政策を止めたところで、労働力が回復するまでには10数年かかる。マクロでみると、かなり長期の政策だといえよう。

Next: 子供向け市場は15%拡大。「2250億元の需要創出」試算も

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TS・チャイナ・リサーチの田代尚機がお届けします。中国経済や中国株投資に関するエッセイを中心に、タイムリーな投資情報、投資戦略などをお伝えします。中国株投資で資産を大きく増やしたいと考える方はもちろん、ただ中国が好きだという方も大歓迎です。

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