最新の厚生労働省の調査では、日本の59.6%の世帯が生活の苦しさを訴え、特に子育て世帯と高齢者世帯で深刻さが増しています。物価高に対する賃金上昇の停滞が主な要因とされ、政治各党は給付や減税を中心とした対策を打ち出していますが、その効果や限界が問われています。本記事では、生活困窮の実態と政策の課題について掘り下げます。(『 らぽーる・マガジン らぽーる・マガジン 』原彰宏)
※本記事は、『らぽーる・マガジン』 2024年10月21日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はこの機会に今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
食費増加…エンゲル係数が42年ぶりに28%超えへ
エンゲル係数が42年ぶりに28%を超えようとしている……こんなショッキングな、というか生活に対して厳しい切実な問題が顕在化(可視化)してきました。
以下、NHK記事からの抜粋です。
去年、厚生労働省が行った国民生活基礎調査で生活が「苦しい」と回答した世帯は前年から8ポイント余り増え、59.6%にのぼったことがわかりました。
厚生労働省は「物価高の影響などで生活の苦しさが増している可能性がある」としています。
「大変苦しい」:26.5%
「やや苦しい」:33.1%
「苦しい」と回答した世帯は、前年より8.3ポイント高く全体の59.6%にのぼりました。
このうち18歳未満の子どものいる世帯で「苦しい」と回答した世帯は、前年より10.3ポイント高い65.0%となりました。
高齢者世帯で「苦しい」と回答した世帯は、前年より10.7ポイント高い59.0%となり、統計を取り始めた1986年以降、最も高くなりました。
ここでも「子どもの貧困」「老後難民問題」など社会問題課題が浮き彫りになっています。
一方、この逆の視点で見れば
「普通」:35.8%
「ややゆとりがある」:3.9%
「大変ゆとりがある」:0.7%
おととしの1世帯あたりの平均所得は、高齢世帯や独居世帯の増加などを背景に524万2,000円と前年から3.9%減って、1987年以来の低さとなりました。
「格差」で片付けられる問題か?
これだけで「格差」が広がっていると言えるのかどうかはわかりませんが、「苦しい」と感じている層と、感じていない層の背景を丁寧に分析しないと、一概には言えないような気がします。
生活困窮を感じている人が増えたことをもって「格差が広がっている」というのもいかがなものでしょうか。
「格差」を「資産格差」とするなら、リスクテイクの有無も加味する必要があります。
リスクを取らない人が、リスクを取っている人をとやかく言うことはできないと思います。
「収入格差」を論じるのも難しく、努力して勉強してスキルアップして収入を増やした人もいますからね。
「格差」を論じるなら、「差別」、アンフェアをなくすことが重要ではないでしょうかね。
そういう意味で、生活困窮者が増えたことを「格差が広がった」と断じるにはあまりにも乱暴だと思いますし、格差は資本主義の副作用であり、だからといって資本主義を「悪」だと決めつけるのもどうかと思います。
厚生労働省は「物価高や燃料費の高騰の影響などで生活の苦しさが増している可能性があり、今後の状況に注視していきたい」としています。
そもそも30年もの長い間、賃金上昇が見られないことに問題があると思います。
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