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「生活が苦しい」6割、エンゲル係数28%の衝撃。上がらぬ賃金と物価高でどう生きるか=原彰宏

30年もの長い間、賃金上昇が見られなかった

そもそも30年もの長い間、賃金上昇が見られないことに問題があると思います。

それは労働というものの構造の問題、長年、労働対価の評価軸が変わっていないことと、労働者側も意識改革がなされていないところにあると考えます。

これはあくまでも個人見解ではあります。

それは「OPINION」と前提を示したうえで、この メルマガ メルマガ で「労働を“コスト”ではなく“資産”にしなければならない」という議論を展開しました。

事実として、日本の半分以上の方が「今の生活は苦しい」と感じています。データが証明しています。

もう1つのデータを紹介します。家計の消費支出に占める食費の割合を示す「エンゲル係数」は、今年の直近で42年ぶりに28%まで上昇したということです。

※参考:エンゲル係数は42年前に逆戻り…物価高にあえぐ家計 石破政権の対症療法「巨額の税金投入」出口はいつ?:東京新聞 TOKYO Web(2024年10月11日配信)

これは、もろに物価高が影響しているものと言えるでしょう。

そして生活が苦しいのは「物価高に見合った賃金上昇が見られない」ということになるのですね。

エンゲル係数は食費にフォーカスしていますが、生活コストである光熱費の高騰も家計を苦しめます。

エンゲル係数は、2017年から2019年までは一定の25.7%でしたが、2020年に27.5%と1.8%も上昇しています。

新型コロナ・パンデミックの影響かと思われます。

つまり経済活動が自粛され、収入が減ったということでしょう。

そして、コロナによる世界的サプライチェーンのひっ迫や日本では急激な円安が重なり、物価高をもたらしたのです。

欧米では、インフレとともに賃金が上がりましたが、日本では構造上の問題、雇用というものの考え方の違いで、賃金が上がりませんでした。

「給付」か「減税」か

今政党各党は物価高対策として「給付」か「減税」かを打ち出しています。

「給付」を対策としてあげているのは自民党と公明党、政権を担う側ですね。

その内容はおもに、低所得者層への給付金支給になっています。

「減税」を対策としているのは野党で、主に消費税の調整を訴えています。

立憲民主党は「給付付き税額控除」
日本維新の会は「税率8%に引き下げ」
共産党・国民民主党は「税率5%に引き下げ」
れいわ新選組は「消費税廃止」
社会民主党は「3年間税率ゼロ」

……「給付」の場合は、毎月の給料は増えますが、現金支給は税金・社会保険料の対象となります。消費税減税は、毎月の給料支給額には関係ありません。

消費税には「逆進性」と言って、所得の低い人の負担割合が多くなる一方、高所得者には痛税感があまりないという問題がありますが、それを調整したのが「給付付き税額控除」であり、そもそもの消費税そのものを廃止しようという提案もあります。

消費税そのものは、そのあり方も含め、きちんと議論すべきかと思います。

Next: 可視化された「日本人の貧困化」……政府は対策をしてくれるのか?

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