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【中国】データでひもとく「一人っ子政策」撤廃の経済効果=田代尚機

子供向け市場は15%拡大。「2250億元の需要創出」試算も

ただし、これは供給面に絞った見方である。需要面について考えてみると少し違った見方ができる。

最も重要なポイントは今後、子供の数が増えるだろうという点である。

2年前の共産党大会(三中全会)で、一人っ子政策の緩和が発表された。まだ、細かい制限は残ったものの、その気になればこれまでほど面倒なことをせずに2人目を生めるようになった。しかし、研究機関の調査によれば、政策による効果は年間数十万人程度の増加にとどまったようだ。

ただし、マスコミ情報によれば、今回の全面的な開放によって、年間250万人程度の増加が期待できるとみる研究者もいる。現状では年間1600万人程度の人口増加であるので、子供向け市場に限れば、これまでよりも15%程度の規模拡大が望めるかもしれない計算である。

来年以降、粉ミルク、紙おむつ、離乳食、子供衣料、玩具、その他日用品などの需要は拡大するだろう。

子供一人当たり年間3万元の出費と仮定(前述研究者による仮定)すれば、750億元の需要増加となる。

さらに、子供ができることで不動産需要が高まり、教育サービス、スポーツ、レジャー、旅行などに対する需要も高まるであろう。その波及効果で2250億元の需要創出効果が期待できるといった試算も見られる。

子供の数の増加は、社会に活力を与える。また、環境、省エネなどに対する意識を変える力もあるだろう。

もちろん、2人目の子供を産むか産まないかは中国の若い夫婦たちが決めることである。人の心を読むことは難しい。当面は足元の需要動向を確認しつつ、その先を予想するしかないのだが、世の中が変化する可能性のある政策であり、関連セクターには長期で注目しておきたいところだ。

(10月31日作成、有料メルマガから一部抜粋)

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中国株投資レッスン』(2015年11月5日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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