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やはり「2%の物価上昇」は無理だった。3つの障壁で日銀大規模緩和は有害無益に=斎藤満

23日に終わった日銀の金融政策決定会合では、またも「現状維持」を決定。さらに物価見通しを0.5%も下方修正しました。2%目標はもはや形骸化し、大規模緩和はもはや有害無益となっています。(『マンさんの経済あらかると』斎藤満)

※本記事は有料メルマガ『マンさんの経済あらかると』2019年1月25日の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:斎藤満(さいとうみつる)
1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト。一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト、東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。

なぜ実現不可能な目標を掲げた?日本が八方塞がりに陥ったワケ

連続下方修正で日銀の信任に傷

23日に終わった日銀の「金融政策決定会合」では、大方の予想通り「現状維持」を決めました。

むしろ注目されたのは、この日に発表された「展望リポート」で、今回も物価見通しの下方修正がなされました。それも、19年度については、消費税の影響を除いた実勢ベースの数字を、3か月前の1.4%予想から0.9%に、0.5%ポイントも引き下げたことです。

毎回、2%目標には達せずとも、2年先、3年先にはこれに近づく予想をしながら、結局これを1%以下の通常レベルに下方修正するパターンが何年も続いています。今回も決定会合後の総裁会見の場で、記者からこの点を問われ、メンバーの予想がそもそも楽観的ではないか、目標達成の時期がまた後ろ倒しになるのではと攻められました。

これら質問の行間からは、日銀の予想は当初高いのだけれど、途中でいつも下方修正される、との思いが広がり、予想の数字自体の信頼性が著しく低下しています。特に、3か月の間に0.5%も引き下げた今回の改定には、何が原因か、厳しく問われました。総裁の答えはまたもや原油価格下落のせいで、原油価格の予想はだれもできず、ほかの中銀も予想していないと開き直りました。

他国の中銀と同じ尺度にすると、さらに景気悪化が目立つ…

しかし、他の中央銀行は、原油価格の予想は困難としたうえで、物価目標においても原油価格に左右されにくい「食料、エネルギーを除いたコア」を尺度にしています。日本では「コアコア」に相当します。原油価格に振り回されたくなければ、日銀も欧米と同じ尺度の「エネルギーも除いた」ベースで表示すればよいのですが、今日の日本の「コアコア」は0.3%前後の上昇率で、「コア」よりも一段と低くなっています。

つまり、欧米と同じ概念の「コア」にしてしまうと、エネルギーによる押し上げ分がなくなり、このところずっと0%台前半が続いていて、2%の物価目標とは距離が大きく、しかも「2%の物価目標に近づく」との期待も持ちにくい動きをしています。日銀は原油価格が上昇しているときは黙ってこれを利用し、原油が下がると、物価目標の遅れは原油価格下落のせいとしています。

Next: なぜ「2%の物価上昇」という無理な目標を掲げた?引くに引けない2つの事情…



2%の物価上昇は例外的

もともと日本では消費者物価が2%を超えて上昇することは極めてまれで、最近では89年から90年にかけてのバブルのピーク時に一時的に生じたことはありますが、それ以外では2%を達成したことはありません。つまり、歴史的に極めてまれな事態を目指していることになり、当然無理がかかります。

実際、日銀は90年代以降、しばらくは「プラス」のインフレ率を目標にし、これが実現したとしてゼロ金利を解除して利上げに出たこともありました。これが次に「1%」を目標とするようになり、安倍政権になって2%目標に引き上げられました。

では、なぜ政府日銀は2%という過大な目標を設定したのでしょうか。それには、2つの要因かあったようです。

1つは、為替要因です。日本では長年円高傾向があり、民主党政権時代にはドル円が70円台に定着して、家電業界など、製造業の経営を圧迫していました。財界から強い円高回避を求められていましたが、その点、欧米が2%の物価目標を目指す中で、日本だけが1%など、低めの目標にすると、「購買力平価」の面から円高を容認する形になってしまいます。

つまり、円高圧力を回避するには、その実現性はともかく、少なくとも欧米と同じ物価目標にする必要があったわけです。

もう1つが財政事情です。財政赤字が大きい状態が続き、国債発行額が増える中で、国債の利払いを低く抑えたいとの事情と、国債の安定的な買い手として日銀への期待が大きかったことです。

金融緩和を続けることで金利を長期的に低く抑え、しかも国債の増発に対して安定的な引き受け手が必要です。その場合、高い目標設定で「半永久的に金融緩和を続けさせる」との思いが財務省にはあったと言います。また国際金融資本も、日銀の金融緩和に便乗して利益を上げようとしていました。彼らも日銀の緩和を歓迎し、そのために高めの目標を設定させたい面がありました。

金融緩和の継続が困難に

日銀がいくら「マクロの需給ギャップが改善」と言っても、「コアコア」の上昇率はゼロ%台前半で動意が見られず、日銀も「長年のゼロインフレのために消費者のマインドがなかなか変わらない」点を認めています。

また、政府みずから携帯料金引き下げを提案するなど、賃上げが難しい分、コストを下げて実質賃金を押し上げることを考えるようになりました。これも物価上昇を抑制します。

今回も大幅な物価見通しの引き下げをしたことから、記者から追加緩和策が無いのでは、と問われ、総裁は「非伝統的な手段はいくらでもある」と強弁しました。

しかし、現実はそうではありません。さまざまな「制約」が出てきました。

Next: 金融緩和の継続を阻む「3つの壁」とは?大規模緩和はもはや有害無益に…



金融緩和の継続を阻む「3つの壁」

1つは、米国から通商交渉において「為替条項」を入れるよう求められています。日本は近年、為替介入こそしていませんが、日銀の金融緩和が円安誘導のためと見られている面があり、結果として円安につながる金融緩和策は、米国から釘を刺される可能性が出てきました。

2つに、日銀の資産として国債を買い続けることは、日銀の財務上、リスクを大きくし、日銀内外から懸念の声が上がっています。日銀の本音はあまり国債の買い入れを増やしたくないはずです。

そして3つに、マイナス金利や長期金利のゼロ設定によって、金融機関の運用が厳しくなり、本業で赤字になる金融機関が増えています。まだ資本の貯えがあるからすぐに破綻しないと言いますが、時間とともにこの資本も食いつぶされ、長期化すれば金融機関の経営が危機に追い込まれます。金融仲介すべき機関が破綻すれば、日銀の政策は実現できません。

大規模緩和はもはや有害無益となりました。

八方塞がりの日本経済

市場も追加緩和は容易でないことは認識し始めました。そして副作用が大きくなっていることも理解し、欧米に続いて日銀も緩和策の修正を模索する時期が来ると見ています。

その前に、日銀は2%の物価目標を後退させ、もし安倍政権が終わるようなことになれば、目標自体、旗を降ろす可能性も出てきます。

しかし、米中貿易戦争や消費税引き上げで景気の不透明感が強まり、市場が不安定になれば、金融緩和の維持が求められ、緩和の修正は難しい環境となります。米国や中国の景気が悪化すればなおさらです。選挙で自民党が勝ち、安倍政権が存続すれば、さらに修正は困難になります。

それでも追加緩和も難しく、金融政策面からの円安期待は次第に後退し、米国の利上げ打ち止め感が強まると、日銀が動かなくとも為替には円高圧力がかかります。円高が定着するなら、外貨運用を抑え、むしろ外貨調達、国内運用が利益を生みやすくなります。

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2019年1月配信分
  • 物価目標への拘りは有害無益(1/25)
  • 改めて中国リスクへの対処が求められる(1/23)
  • 日本を敵に回した韓国の勝算は(1/21)
  • FRBの真の支配者は(1/18)
  • 戦後最長、戦後最弱の景気拡大(1/16)
  • 今年は短期円安長期円高か(1/11)
  • 身動きがとれなくなった日銀(1/9)
  • 新年日本の課題(2)(1/7)
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2018年12月配信分
  • 政治リスクの強い新年の日本経済(12/28)
  • 新年の「トランプリスク」をどう読むか(12/26)
  • 苦境に立たされたFRB(12/21)
  • 不気味な「理由なき株下げ」(12/19)
  • セキュリティ対策が先(12/17)
  • 米中通商交渉を巡る複雑な事情(12/14)
  • いつまで続く不安相場(12/12)
  • トランプ対反トランプの国際紛争激化(12/10)
  • 米金利にダブル・リスク(12/7)
  • 米中新冷戦は長期化する(12/5)
  • 消費税対策は徒労に終わる?(12/3)

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2018年11月配信分
・金利差円安の終焉(11/30)
・日産を舞台にした米仏代理戦争(11/28)
・原油価格下落の功罪(11/26)
・成熟した債権国入りはまだ早い(11/21)
・人手不足、低賃金の原因は生産性にあり(11/19)
・大博打の日ロ平和条約交渉(11/16)
・何でもありの消費税対策に混乱も(11/14)
・米国株に2つの逆風(11/12)
・国内景気に変調のシグナル(11/9)
・為替条項と副作用で日銀は出口策前倒し(11/7)
・一旦始めると止められない刺激策の麻薬性(11/5)
・強気通しを下振れリスクでヘッジする日銀の狙い(11/2)
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2018年10月配信分
・米中険悪化の中での安倍外交を危惧(10/31)
・米中間選挙が株の重しに(10/29)
・株価下落にトランプの負の側面(10/26)
・ドル円短期変動の主役は金利からリスクへ(10/24)
・債務依存の景気拡大も曲がり角(10/22)
・輸出が景気の足かせに(10/19)
・歯車が狂い始めた安倍政権(10/17)
・FRBはクレイジー発言でFRBはどうする(10/15)
・対中国戦略も米株に負担(10/12)
・新しい局面に入った米国の金利上昇(10/10)
・日本の景気を脅かす「内憂外患」(10/5)
・日米通商交渉、表の顔と裏の顔(10/3)
・日銀金融緩和の虚と実(10/1)
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2018年9月配信分
・人件費抑制がもたらす経済のゆがみ(9/28)
・3選果たした安倍総理に大きな試練(9/26)
・注目度が高まったFOMCでの「ドット・チャート」(9/21)
・日ソ共同宣言と日米安保(9/19)
・自民党総裁選前に風雲急(9/14)
・何かおかしな日ロ首脳会談(9/12)
・追い詰められた日銀の本音と建て前(9/10)
・安倍・トランプ連合の危機(9/7)
・強まる労働分配率への関心(9/5)
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2018年8月配信分
・米地区連銀が景気後退の可能性を示唆(8/31)
・異常気象が財政規律を破壊する(8/29)
・サウジIPO中止に見るパワーポリティクス(8/24)
・透けて見えるトランプの中国戦略の本音(8/22)
・貿易を救えない日米蜜月(8/17)
・FRBの利上げが新興国通貨不安に(8/15)
・好調米国株の死角(8/13)
・日本経済、単発エンジンの限界(8/10)
・日本の消費を圧迫する恒常所得仮説の重し(8/8)
・円安期待ははげ落ちるリスク大(8/6)
・中央銀行を揺さぶる新しい勢力(8/3)
・物価目標未達でも日銀は政策修正(8/1)
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2018年7月配信分
・物価下振れ下の日銀政策微修正とは(7/30)
・中国経済の実態は苦しい?(7/27)
・「トランプ」プラス「日銀」は円高(7/25)
・トランプの金利高、ドル高けん制発言が示唆するもの(7/23)
・トランプ外交の見えない部分(7/20)
・中国カードにもなるFRBの利上げ(7/18)
・見えてきた価格戦略の勝敗(7/13)
・列島豪雨、多くの死を無駄にしないために(7/11)
・トランプ「米国第一」の功罪(7/9)
・日銀の物価見直しとリスク(7/6)
・トランプの影響、相場にもくっきり(7/4)
・原油高に見る各国の思惑(7/2)
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2018年6月配信分
・所得分配をゆがめる日銀の金利調節(6/29)
・ドル高、終わりの始まり?(6/27)
・貿易戦争に隠されたトランプの狙い(6/25)
・景気の陰りが広がった(6/22)
・なぜ日本で消費者物価が上がらないのか(6/20)
・無視できない米イールドカーブのフラット化(6/18)
・綱渡りのパウエルFRB(6/15)
・歴史的米朝会談と日本の困惑(6/13)
・日銀は物価見通しの引き下げ準備(6/11)
・日銀は密かに金利高め誘導か(6/8)
・個人消費の弱さは重症(6/6)
・FOMC前後の為替の動きに要注意(6/4)
・日銀に追い打ちをかけた弱い鉱工業生産(6/1)
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2018年5月配信分
・収まらない米中貿易戦争(5/30)
・FRBが直面するジレンマ(5/28)
・市場から見た米朝会談破談リスク(5/25)
・景気の減速は本当に一時的か(5/23)
・「ミニ石油ショック」でも油断は禁物(5/21)
・米朝会談までは新興国不安回避要請?(5/18)
・インフレ目標事実上のギブアップ(5/16)
・米長期金利はすでに上昇トレンドに(5/14)
・新興国にイラン不安の追い打ち(5/11)
・トランプ貿易戦争のインフレ性(5/9)
・FRBの姿勢変化に注目(5/7)
・トランプ大統領ノーベル賞を意識(5/2)
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2018年4月配信分
・窮地の安倍政権、解散か総辞職か(4/27)
・物価目標2019年度も黄色信号(4/25)
・米長期金利再上昇の重み(4/23)
・日米首脳会談も安倍延命にはならず(4/20)
・無視できない政治混乱の影響(4/18)
・無理筋な日銀の物価目標(4/16)
・米為替報告書に注目(4/13)
・米はシリアで多国間軍事対応を検討(4/11)
・安倍政権維持への3つのハードル(4/9)
・物価上昇の内容が変わる(4/6)
・FRBはどこまで利上げできるか(4/4)
・キーパーソンはH.キッシンジャー氏(4/2)
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2018年3月配信分
・ハイテク株にもトランプ・リスク(3/30)
・見えてきた点と線(3/28)
・見えてきたドル円の100円割れ(3/26)
・姿を現したパウエルFED(3/23)
・自動車業界と流通業界とのコラボ(3/19)
・日銀の金融政策も政権如何(3/16)
・安倍政権に春の嵐(3/14)
・雇用絶好調でなぜ賃金が上がらない(3/12)
・金利差円安論はすでに破たん(3/9)
・二転三転する黒田発言の真意は(3/7)
・トランプならではの貿易戦争リスク(3/5)
・エネルギー株に3つのリスク(3/2)
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2018年2月配信分
・親子バトルが銀行株を圧迫(2/28)
・裁量労働制論議で露呈した日本の問題(2/26)
・中央銀行の支配者(2/23)
・半島融和の裏で中東に火種(2/21)
・(金利差・ドル円・株の関係が崩れる2/19)
・米国債のバブル性(2/16)
・トランプ予算教書に2つの危険性(2/14)
・日銀人事の裏側(2/13)
・市場不安定化が3月利上げの負担に(2/9)
・適温経済と適温相場は別(2/7)
・米金利とドル円の関係、ここに注意(2/5)
・米金利高が日本の投資家を襲う(2/2)
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2018年1月配信分
・個人消費の低迷に歯止めがかからず(1/31)
・物価本位主義見直しの時(1/29)
・安倍総理の密かな戦略を探る(1/26)
・規律を失い惰性に走る財政金融政策(1/24)
・米長期金利上昇は「吉」か「凶」か(1/22)
・強まる中国への風当たり(1/19)
・地政学リスクとビジネス・チャンス(1/17)
・粉砕される円安期待(1/)
・デフレ脱却宣言を拒む実質賃金の低迷(1/12)
・北朝鮮問題に新展開か(1/10)
・インフレ如何で変わる米国リスク(1/5)
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マンさんの経済あらかると』(2019年1月25日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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