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没落する日本経済にジム・ロジャーズが警告「被害者になる若者は世界に逃げろ」=俣野成敏

天才投資家ジム・ロジャーズ氏はアジアに並々ならぬ関心を寄せ、日本の未来についても多く言及しています。けれど、その発言はしばしば厳しいものとなっています。世界3大投資家の目には、日本の未来はどのように映っているのでしょうか? 前回に続き、ジム・ロジャーズ氏の名言から学ぶシリーズ後編をお送りします。(俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編

【関連】大富豪バフェット成功の原点、どんな努力でトップ1%の億り人になったか?(前編)=俣野成敏

プロフィール:俣野成敏(またのなるとし)
30歳の時に遭遇したリストラと同時に公募された社内ベンチャー制度で一念発起。年商14億円の企業に育てる。33歳で東証一部上場グループ約130社の現役最年少の役員に抜擢され、さらには40歳で本社召還、史上最年少の上級顧問に就任する。2012年の独立後は、フランチャイズ2業態6店舗のビジネスオーナーや投資活動の傍ら、マネープランの実現にコミットしたマネースクールを共催。自らの経験を書にした『プロフェッショナルサラリーマン』及び『一流の人はなぜそこまで、◯◯にこだわるのか?』のシリーズが、それぞれ12万部を超えるベストセラーとなる。近著では、『トップ1%の人だけが知っている』(日本経済新聞出版社)のシリーズが10万部超えに。著作累計は44万部。ビジネス誌の掲載実績多数。『MONEY VOICE』『リクナビNEXTジャーナル』等のオンラインメディアにも数多く寄稿。『まぐまぐ大賞(MONEY VOICE賞)』を3年連続で受賞している。

※本記事は有料メルマガ『俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編』2018年7月21日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

移民を拒絶している場合ではない? 40代以下を襲う厳しい未来

早くから日本に注目していたジム・ロジャーズ

ジム・ロジャーズ氏が投資家になった1960年代末頃、一般的な投資と言えば株式のことではなく、債券でした。第二次世界大戦の戦勝国であったアメリカは裕福な国であり、ドイツ、イタリア、日本といった敗戦国に注目する人はあまりいませんでした。しかしその豊かさゆえに、アメリカの輸入量は増加の一途をたどり、米ドルの流出が問題になり始めていました。

ロジャーズ氏がジョージ・ソロス氏と組んで始めたクォンタム・ファンド時代、ロジャーズ氏は日本への投資を積極的に行い、成功するきっかけをつかんでいます。それが、いまだに日本に大きな関心を寄せている理由の1つではあるのでしょう。

ロジャーズ氏がウォール街でアルバイトを始めた1964年当時とは、ニューヨーク証券取引所で「1日300万株の取引があれば大商い」と見なされていた時代です。現在ですと、たとえば2015年の東証一部の1日の売買高がだいたい30億株前後あります。今と比べて随分のどかな時代でしたが、先見の明を持つロジャーズ氏たちは海外に注目しており、特に1960~70年代の日本は高度成長期で、好景気の真っ最中でした。

けれど、多くのアメリカ人にとって、日本は「戦火で荒廃した国」であり、アメリカは「勝者である」という思い込みから、長い間、日本市場は見過ごされていたのです。とはいえ、ロジャーズ氏たちも連戦連勝、というわけではありません。たとえば1971年に起きたニクソン・ショックの時には、大きな痛手を負っています。ニクソン・ショックとは、アメリカが金本位制を捨てたことを指します。これによって同国は政策を大きく転換することになりました。

これまでの市場の歪みが是正され、日本の株式市場は20%以上も下落。逆にアメリカ市場は青天井になりました。ロジャーズ氏が以前、空売りで破産したことは前回の記事でもお伝えしましたが、この時、日本株をロング(上がると予想)で持ち、アメリカ株をショート(下がると予想し、空売り)していた彼らにとっては、まさに悪夢が蘇る状況でした。しかし、この時は北海油田に投資していたため、それでマイナス分を相殺し、ことなきを得ています。

今の日本をどう見ている?

さて。日本がロジャーズ氏の成功と密接に関係していた話はこれくらいにして、次に、氏にとって今の日本がどのように映っているのかを見てみることにしましょう。まずは、名言をご覧ください。

増税には大反対です。私が日本の政治家だったら、お金を刷るのをやめて債務を減らす努力をし、減税して大幅に支出を減らし、関税も減らす。そして移民を受け入れる。まぁこのようなことを言っていたら、日本の選挙で絶対に当選はしないでしょうけどね。

出典:『世界的な大富豪が人生で大切にしてきたこと60』(プレジデント社)

このコメントは、氏がシンガポールに移住して数年経った頃のものです。ここで述べているのは、まさに「日本をシンガポール化しよう」という発想に基づいているように見えます。おそらく、当国の住み心地の良さを実感した上での発言なのでしょうが、シンガポールは外需の国です。果たして、完全に内需型の日本が、シンガポールと同じ政策を採って、上手くいくのでしょうか

日本の高度成長期は「アジアの奇跡」ではない?

ちなみに「外需の国」とは、海外からの需要で成り立っている国のことです。シンガポールはもともと、狭い国土に資源も乏しい国です。「優秀な人材を育成し、彼らを惹きつけられるような制度にしないと、国自体が立ちいかなくなる」と考えたのが初代首相のリー・クアンユー氏でした。氏の過激とも取れるエリート主義は、時に物議を醸しましたが、建国から50年以上経った今、シンガポールはアジアの成功事例として語られるまでになっています。

対する日本は高度成長時代から、一貫して「内需の国」です。内需型の国とは、個人消費や企業の設備投資等、国内で生み出される需要で経済が成り立っている国のことを言います。日本が、人口の増加と共に経済が成長し、人口の減少に合わせて経済も衰退している、というのは、まさにこのためです。かつてはアジアの奇跡と呼ばれた日本の成長も、今にして思えば通るべくして通ってきた道、というわけです。

Next: 日本はいずれ、移民問題に真剣に向き合わざるを得なくなる

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