日本はいずれ、移民問題に真剣に向き合わざるを得なくなる
では、次の名言を見てみましょう。
日本は移民をずっと拒絶していますが、移民というのは歴史を振り返ってみても、勇敢で野心を持った賢い人々です。彼らは子供を積極的につくりますから、少子化の解消にも貢献してくれるでしょう。
出典:『世界的な大富豪が人生で大切にしてきたこと60』(プレジデント社)
少子高齢化が待ったなしで進んでいる現在、日本でも在留外国人が増加傾向にあります。
ちなみに日本での就労目的や、3ヶ月以上の長期滞在する場合、観光ビザとは別のビザが必要です。法務省の調べによると、2017年6月時点で日本に居住登録をしている外国人の数は247万1458人。対前年で3.7%の増加でした。増加が著しかったのは高度専門職で、46.9%増の5494人。2位が医療21.6%増で1621人、3位が特定活動で、15.4%増の5万4276人でした。
実のところ、数が増えたと言っても、もとが少な過ぎたため、その数は多くはありません。現在、在留外国人で大きな割合を占めるのは、親族関係や永住者等であり、合計すると全体の62.5%を占めています。対する技能・留学系は33.1%となっております。
こうした現状に対して、2018年6月に安倍首相が「外国人受け入れ拡充を行う」との声明を発表しました。これは単純労働に門戸を開くもので、2025年までに50万人超の受け入れを目指すとしています。
※参考:外国人就労拡大、首相が表明 建設・農業・介護など – 日経新聞(2018年6月5日配信)
多くの国が移民に抵抗感を持っている
よく「日本は移民を拒絶している」と言われていますが、それは必ずしも日本だけに限った話ではありません。たとえば2016年にイギリスで行われたEU残存の是非を国民に問うた国民投票によって、同国のEU離脱が決定しました。大方の予想を覆す結果となった一因として、「イギリス国民が移民に反対している気持ちの表れだった」とも言われています。
どのような国でも、「移民によって仕事を奪われる」「移民がくると治安が悪くなる」といった意見を持っている国民は一定数います。しかし欧州の場合は、それが具体的な脅威となっています。
欧州では、2000年代に入るとユーロが導入され、また2004年には旧共産圏を含む東欧など10カ国が一度に加盟を果たす、という拡大路線が推し進められます。2009年には、欧州憲法に代わってリスボン条約(改正条約)が発効されました。
欧州市民は、リスボン条約によって移動の自由が保障されています。ところが、域内の経済格差を無視した拡大路線によって、新規加盟国の市民が旧加盟国に押し寄せるようになります。さらに2011年のアラブの春に始まる中東の混乱が、不法移民の増加に拍車をかけました。
この状況は、イギリスも同じでした。絶えず流入する移民、そのために膨れ上がる各種費用、旧加盟国への不公平な費用負担金等によって、国民の不安は十分に高まっていたわけです。