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今すぐ動けば25年で億り人に。株で資産を増やす公式と論理的アプローチ=栫井駿介

株式投資にどんなイメージを持っていますか?漠然と良さげな株を買って一喜一憂しているうちは、億り人への道のりは遠いでしょう。今回は資産を増やすための論理的アプローチを解説します。(『バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』栫井駿介)

プロフィール:栫井駿介(かこいしゅんすけ)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。

あのバフェットも始めは節約から。5つのステップで資産は増える

あなたの将来資産がわかる公式

読者の方々は、株式投資にどのようなイメージを抱いているでしょうか。漠然と良さそうな株を買って、儲かった・損したと一喜一憂している人がほとんどではないでしょうか。

はっきり言ってしまえば、その程度の認識の人が株式でまとまった資産を形成するのは難しいでしょう。

博打的な投資手法を除けば、株式投資は資産を積み上げていくものです。元手を準備して価値を生む資産を買い、配当や企業価値の増加を通じて資産そのものが膨れ上がっていくことを目的とします。

積み上げ型の投資法では、将来の資産を計算する明確な公式が存在します。

将来資産={現有資産+(収入−支出)}×リターン×時間

この公式のそれぞれの要素を分解すれば、あなたがこれからどうやって資産を増やしていけるかイメージできるはずです。

(1)現有資産:今、いくら持っていますか?

まず、あなたが今いくら持っているかを知る必要があります。知らないことには、資産形成は始まりません。

銀行口座はバラバラになっていないでしょうか。口座が分散すればするほど、資産の把握は難しくなります。忘れて放置されている口座があれば、資産運用においては完全なる機会損失です。定期預金や貯蓄型の保険も確認してみると良いでしょう。

結婚している人なら、夫婦で財布が別になってはいないでしょうか。夫婦別の財布では、それぞれが好きにお金を使ってしまうので、なかなか貯まりません。相手が持っているつもりでいたら、実はそんなになかったという事態は何としても避けなければならないのです。

金融資産だけではありません。自動車やデジタル機器が現金に変わることもあります。使わないものは現金化することを考えましょう。相続を受けた場合などは特に注意して見る必要があります。

(2)収入:満足できる仕事で長く収入を得る

あなたがサラリーマンなら、収入を思うように動かすことは難しいでしょう。収入を大きく増やす手段としては、転職があります

今の仕事に違和感があり、収入にも満足していないのなら転職を検討すべきかもしれません。スキルがあるなら、より高い収入が見込める仕事に就くことも考えて行動すべきです。

しかし、今の仕事に満足しているのなら、多少収入に不満があっても無理に転職する必要はないと思います。仮に一時的に高い収入が得られる仕事に就いたとしても、性に合わずに長続きしなければ、トータルでは減収になってしまう可能性もあるからです。

また、一時的に収入が増えても、累進課税制度の中では税金が多く取られ、思ったほど手取りが増えていないものです。それなら、多少年収が低くても長く続けられる仕事を選ぶべきです。

明治〜昭和を生きた著名な投資家・本多静六は「職業道楽論」を唱え、一介の雇われ大学教授でありながら投資で莫大な資産を築き、一方では日比谷公園の設計など後世に残る仕事を手がけました。道楽にできるくらいの仕事が、人生を考えると最も望ましいということでしょう。
※参考:本多静六に学ぶ、普通の人が人生を豊かにする投資法

もしあなたが仕事にも収入にも満足しているのなら、億万長者になる素地は整っていると言えます。努力してそれだけの収入を得たのでしょうから、それを人生において最大限活かすためにも株式投資は役立ちます。

Next: あのバフェットだって倹約家。コツコツ貯めて増やす方法とは



(3)支出:億万長者は倹約家

支出は、この公式の中で最もコントロールしやすい項目です。

将来資産={現有資産+(収入−支出)}×リターン×時間

とても地味なようですが、成功する投資家は必ず支出管理を徹底しています。前述の本多静六や、かのウォーレン・バフェットも倹約家として知られます。

気合の入った投資家なら、できる限り支出を抑えて少しでも投資の元手に充てようとします。しかし、そうは言ってもあまり切り詰めると生活が楽しくなくなってしまうでしょう。

そんな人は、とにかく収入の2割を貯蓄に充てることを目標に支出を見直すと良いでしょう。

特に見直すべきなのが「固定費」です。携帯電話料金や生命保険などは良い例です。格安キャリアに変えたり、解約してしまうことにより、毎月の支出を大きく削減できます。

固定費を削減できる基準として私が使っているのが「生活のクオリティを維持できるか」です。例えば、携帯電話を大手キャリアから格安スマホに変えると、料金は下がる一方、混雑する場所ではどうしても通信速度が遅くなります。家でWiFiを使うことが多いのならそれでも問題ないでしょうが、外出先でスマホをよく見る人にはなかなか耐え難いでしょう。ここで無理しては長続きしません。他の手段を考えましょう。

家計を見直し、収入の2割を残せる見通しが立ったら、投資に充てる額を給与から天引きし、簡単には使えないようにします。使える状態だと使ってしまうのが人の性ですから、最初から引き出せないようにしてしまうのです。

支出を減らし、収入の2割を天引き口座に入れることができれば、あなたも億万長者への第一歩を踏み出したと言えるでしょう。

(4)リターン:年7%にどれだけ上乗せできるか

さて、投資で最も難しく、どんなに経験を積んだ人でも確実なことは何も言えないのが投資リターンです。

株式市場全体の長期的なリターンは年率約7%と言われます。年によって大きくブレるものですが、インデックスファンドに長期投資した場合はこのくらいを期待すると良いでしょう。

インデックスファンドは、世界中の株式に分散投資することができ、より確実と言われます。しかし、私はインデックス投資で大金持ちになった人を見たことはありません。なぜなら、分散させることは、大きな収益機会を放棄することでもあるからです。

それでも、下手なファンドマネージャーが投資するよりはいい成果を残せると言うことで人気が集まっています。個人投資家においても、下手に動かすよりは何も考えずにインデックスファンドに投資したほうがいい成績を残せる確率は高まるでしょう。

しかし、それでは投資は面白くありません。やるからには、それなりに高いリターンを目指してみたいものです。

それに、例えば1,000万円を20年間投資するとして、年率7%のリターンなら3,869万円になりますが、これが8%なら4,660万円(+791万円)、10%なら6,727万円(+2,858万円)となります。リターンを1%上げる努力は、時間が経つほど数百万、数千万円の差になって報われるのです。

インデックスを上回る結果を残すためには、インデックスの弱点を打ち消す戦略を取ることが考えられます。

インデックスの弱点には以下のようなことが挙げられます。

インデックスを上回る成果を残したければ、その有益な特性であるバイ&ホールド(買い持ち)に加えて以下のような点を意識する必要があります。すなわち、

これらを意識するだけで、大儲けせずともインデックスを数%上回るパフォーマンスを目指すことができるでしょう。そこで求められる資質は、企業を見極める力と、安い時にだけ買い、良い企業を持ち続ける忍耐力です。

Next: 「時は金なり」は紛れもない事実。時間をかければかけるほど資産は増える



(5)時間:タイム・イズ・マネーの真実

冒頭に挙げた公式の各要素を見てきましたが、いよいよ最後の要素です。

将来資産={現有資産+(収入−支出)}×リターン×時間

投資で何が最大の効果をもたらすかと聞かれたら、私は迷わず「時間」と答えます。投資では、時間をかければかけるほど資産は増えやすくなるのです。

その理由は以下の3点です。

  1. 複利効果
  2. 学習効果
  3. リターンの集約

順を追って見てきましょう。

<1:複利効果>

複利効果は、投資をする上では基本中の基本となります。

例えば、1,000万円の元本で年率10%のリターンをあげたとすると、再投資により翌年の元本は1,100万円となります。すると、2年目には1,210万円(1,100*1.1)となり、利益を元本に加えない場合(単利)よりも10万円多くなります。

最初は小さな差ですが、時間が経つほどその差は大きくなります。そして、後になればなるほど、最初では考えられなかったほど大きな資産に育つのです。

<2:学習効果>

学習効果とは、本人が実際に投資しながら学ぶことで、より適切な方法に到達できるものです。

どんな投資家も、最初は流行りの銘柄や投資法に便乗しようとするものです。しかし、大抵の場合利益と損失を繰り返すばかりで、結果として資産はなかなか増えません。そこで諦めてしまう人が大多数にのぼるのが現実です。

「9割の個人投資家が負けている」とされるのも、このような投資で損を出して撤退してしまう人が多いからに他なりません。

一方で、これではダメだと気づいて本気で勉強を始めた人が、長く生き残って本格的に資産形成を行えます。私はウォーレン・バフェットの投資法を基本に学んでいますが、流行よりも昔から語り継がれる古典からの方が得るものが多いように思います。

<3:リターンの集約>

最後はリターンの集約です。よほど下手な投資をしなければ、長期のリターンは一定水準に集約していきます

最初なかなかうまくいかないと思っても、それは単に運が悪かっただけにすぎない可能性があります。学習効果により改善を続ければ、平均に近づく可能性は高まります。

逆に、最初に大きなリターンをあげたとしてもそれがずっと続く可能性は低く、やがて減少していく可能性が高いことから、いつ何時も慢心してはいけないのです。

出典:ウォール街のランダム・ウォーカー(日本経済新聞出版社)

長期的なリターンを示すグラフが上図のとおりです。投資年数が短いとパフォーマンスは大きくブレますが、長くなればなるほど似たような水準に落ち着きます。つまり、長期投資は結果の計算ができるので、短期の投資よりも「堅実」だと言えるのです。

Next: 重要なのは「今すぐ」始めること。年100万円の投資が、25年後には?



あなたはどう生きるか?

さて、ここまで読めばあなたがどうやって株で資産を築けばよいかわかるでしょう。

  1. 今すぐ元手の確保から始め
  2. 勉強しながら投資手法を改善し
  3. やめずに続ける

例えば、年100万円ずつ投資し、年率10%のリターンをあげられたとしたら、20年で6,300万円、25年で1億円を突破します。これは、冒頭の公式の通り、かける金額が大きいほど、リターンが1%でも高いほど、そして投資を始めてからの時間が長いほど大きく育ちます。

それでは、あなたはいつ投資を始めるべきでしょうか?

そう、早ければ早いほどいいことは間違いありません。あなたも今から株式投資を始めて、億万長者を目指しましょう!


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本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2019年2月28日)
※太字はMONEY VOICE編集部による

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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。

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