細かい売買を積み上げて利益を狙う「スキャルピング」は、リスクを抑えながら、資金が少ないトレーダーでも回転を効かせられるのが魅力。この記事では、スキャルピングでは具体的に何を見ながら売買すればよいのか、どんな条件の銘柄が適しているのかなどの基本を『億の近道』に寄稿する「Bコミ」氏が分かりやすく解説します。
スキャルパーは何を見て売買しているか?実践的・超短期売買講座
1時間半に57回トレード、結果は54勝3敗
「スキャルピング」とは細かい売買を積み上げる手法である。
この手法は保有時間が短く、損切りも数ティックで行うため、リスクを抑えて売買ができることから資金の少ないトレーダーに支持されている。
制度面でも追い風になっており、2013年1月1日から信用取引に関する規制が緩和され、決済を行うと信用余力が回復し、無限に回転できるようになったこと、手数料の引き下げ等によりコストが下がったことから、現在はスキャルピングに適した相場環境だと思う。
私はスキャルピングの技術をディーラー初期に身に付けていたが、大きな資金の運用には向かないため、それ以降は使うことはなかったが、最近になってトレードを学びに来る受講者さんのリクエストで見せることが多くなった。
11月12日(木)の午後に、弟子のドカン君と受講者さんに見せながらクルーズ<2138>を売買した。
- 後場の1時間半に57回トレードをして結果は54勝3敗
- 勝ちは20万8600円、負けは2900円
スキャルパーは何を見て売買しているか?
スキャルピングについて「何を見て売買しているか?」という質問が一番多い。スキャルピングで大切なのは「板」と「需給」である。
スキャルピングでチャートを重視している人がいるが、私は板の方が適していると思う。場面に応じた瞬時の売買の判断が必要なため、チャートを見ている暇はないからだ。
勝率が高そうなチャートの形になってから売買のアクションを起こすと間に合わないし、他の参加者と同じタイミングで売買することから勝率が落ちるため、数手先を想像して買うことが高い勝率、値幅を獲得する基本だと思っている。
その一歩として、買いが優勢になりそうな板のパターンを日々の売買で多数記憶しておくことが大切だ。
Next: 板のパターンを記憶する方法/適した銘柄の選び方
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スキャルピングの基本~板のパターンを記憶する方法
スキャルピング習得の第一歩として、「買いが優勢になりそうな板のパターンを日々の売買で多数記憶しておくことが大切」と書いたが、パターンを闇雲に記憶するのは効率が悪いため、今回は技術習得の一助となるよう過去の経験をお伝えしたい。
ディーラー時代に初心者~初級者の後輩と売買した銘柄の話をする際に、売買した価格、株数は覚えているが、どのような板でエントリーしたかを覚えておらず、自分が買った板を再現できない人が多かった。
どういう板でエントリーしたかを覚えていないのは、エントリータイミングがあやふや、板売買の基本が身についていないからである。
「今の板がどういう状況かの把握、今後どう動くかの予想、ロスカットラインはどこにするかの決定」などトレードにおいて一番大切な部分を踏まえてエントリーポイントを決めるべきだ。
板売買の記憶は、エントリーポイントを精緻にすることから始めてほしい。
スキャルピング向きな銘柄の選び方
スキャルピングは銘柄のピックアップが非常に重要である。
スキャルピングは細かい売買を数多く行うため、出来高が多く、板が薄く、株価が上下に振れる銘柄が適している。
これらを全てを兼ね備えた銘柄がたくさん存在するわけではないが、前日の予習を丹念に行うことで発掘につなげたい。
銘柄の選別は証券会社のツールを利用して前日から出来高増加率、騰落率、ティック増加率で抽出する。売り買いのチャンスを考えて貸借銘柄の方がベター。
抽出した銘柄の中から翌日スキャルピングできそうな銘柄を20銘柄程度ピックアップして相場に臨んでほしい。20銘柄程度というのは常時監視できる限界数だと考えている。
その他、ツイッター等で注目が集まっている銘柄をピックアップするのもよい。
私がディーラー時代はツイッターが普及しておらず、重視していなかったが、影響力がある人のつぶやいた銘柄には注目が集まる。多くの参加者が注目している銘柄は、値動きや出来高が盛り上がり、スキャルピングに向く値動きをすることが多々ある。
その他、BOX内で動いていて、出来高が多い銘柄は勝率が高い。
早い動きの中で揉まれる売買ではないため、盛り上がりに欠けるが、高値で売り、安値で買いをすることで収益につなげることができる。
この銘柄群は証券会社のツールなどで定量的な抽出ができないためBOXの上限下限を突破するか、出来高が細って売買に適さなくなるまで毎日参加できるチャンスがある。
『億の近道』(2015年11月20,27,12月4日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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