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なぜバフェットは下げ相場で買うのか?暴落が楽しみになる「Buy the Dip」の極意=栫井駿介

相場全体の下げを買う「Buy the Dip」の手法は、数多ある投資法の中で有効性の高い手法です。ウォーレン・バフェットも、下げ相場になれば積極的に買いを入れます。しかし、いざ株価下落を前にすると、なかなか買えないのが人の心情です。

下げ相場を買えないのには、以下のような要因があります。

逆に言えば、これらを解消することで、あなたは自信を持って下げ相場を買うことができます。それができれば、長期投資では8割方勝つことができるでしょう。この記事を読み、あなたも勝ち組投資家の仲間入りを目指して欲しいと考えます。(『バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』栫井駿介)

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プロフィール:栫井駿介(かこいしゅんすけ)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。

買ったらさらに下がるのでは?不安を乗り越えて買うべき銘柄とは

Buy the Dipの有効性

株式市場は、年平均で約7%成長するとされます。つまり、世界のインデックスをただ持っているだけで毎年7%資産は増えていくのです。税金を考慮しなければ、約10年で資産は2倍になります。

しかし、株価は必ずしも比例的に伸びていくわけではありません。上がったり下がったりを繰り返しながら、段々と水準を上げていきます。

長期投資では基本的に買ったらそのまま持ち続けますから、上がった時に買うより下がった時に買ったほうが良いことは間違いありません。以下のような単純化した株価の動きを見てみましょう。

上のグラフは、年7%成長を基準に、2年目にマイナス30%になった場合のグラフです。

平均線上で買えば、年率リターンは当然7.0%です。一方、株価が30%値下がりした2年目に買えば、10年目までの年率リターンは11.0%に上昇します。

逆に、同じ条件で、2年目に30%上昇した場合の年率リターンは、4.4%に低下します。

これは、100万円を投資した場合、下落時に買えば8年後に230万円になり、上昇時に買うと141万円にしかならないことを意味します。

単純な理論ですが、実はほとんどの人が間違った行動を取っています。すなわち、株価が上昇して調子の良い時に買い、調子の悪い時には沈黙しているのです。この行為がいかに投資パフォーマンスを下げているか、おわかりいただけるでしょう。

過去2年間の日経平均株価を見ても一目瞭然です。2018年初や10月頃に24,000円を目指して上昇した時に購入すると、現時点で利益が出ません。一方、3月頃や年末の大幅下落時に買えば利益を出せているのです。

もちろん、これは買い持ち(バイ・アンド・ホールド)を前提とした長期投資の場合です。短期投資ではあまり関係のない話で、むしろ上昇しているときのほうが勢いがあって好都合な場合もあるでしょう。

しかし、そもそも多くの投資家は、自分が長期投資をしているのか、短期投資をしているのか理解していません。だから、長期投資をしているはずなのに、上昇相場に乗り遅れまいと焦り、高値で買ってしまうことを繰り返すのです。

長期投資で焦ってもいいことはありません。少しでも安く買えた方が良いことは間違いないのですから、相場が上がっているときは何もする必要はないのです。

Next: 「もっと下がるのではないか?」という不安を払拭して投資に踏み切る方法



もっと下がるのではないか?

Buy the Dipの有効性を頭で理解できたとしても、やはり投資に踏み切れる人は多くありません。その根底には「もっと下がるのではないか」という不安があります。

どんなに経験を積んだ人でも、相場の底を言い当てることは困難です。下がったと思って買っても、ほとんどの場合さらに下がります

長期投資家にとっては、ここからが本当の勝負です。少し下がったからと言って、焦って売ったらその後の上昇を逃してしまいます。

逆に、少し下がっただけでナンピン買いを繰り返していると、あっという間に資金が尽きてしまいます。そうなると、本格的な買いのチャンスを指を咥えて見ているということにもなりかねないのです。

このような事態を回避するためには、大きな下落が始まったら、買うことを前提としながらも、そこからさらに下がる可能性が高いことを頭に入れておかなければなりません。そして、買ってからさらに下げるようなら順次資金を投入していきます。

これを実践する上で鍵を握るのが資金管理です。自分が投入できる資金量を理解し、底を尽きないように買い進めます。

最初の下げで資金のほとんどを使い果たしてしまっては目も当てられません。確かに、千載一遇のチャンスの場合もあるのですが、もし逃したとしてもまたチャンスはやってきます。投資は利益を焦るほどうまくいかないものなのです。

【関連】億り人は株価暴落でほくそ笑む。いつでも買いに動ける「元手」を貯める秘策とは?=栫井駿介

もっとも、細かい買い方以前に元手がなければどうしようもありません。長期投資で資産を作りたい人は、まずは元手の確保を優先するようにしましょう

Next: あらゆる銘柄が下がるとき、何を買うべきか?



何を買うべきか?

本格的な下げ相場では、どんな銘柄でも下がります。大型株も小型株も、内需株も外需株もあまり関係ありません。逆に言えば、どんな銘柄でも下げ相場を拾えれば、うまくいく確率は大きく高まります

その中で私がおすすめするのは、普段ではなかなか下がらない優良銘柄を買うことです。

毎期毎期最高益をあげ続ける銘柄の株価はなかなか下がりません。ずっと右肩上がりだと、なかなか買うタイミングがつかめません。そうこうしている間にスルスルスルっと上がってしまいます。

そんなに良い銘柄でも、やはり下げ相場では大きく下がります。その例がGoogleの親会社であるAlphabet(GOOG)です。

ALPHABET C<GOOG> 月足(SBI証券提供)

Googleの業績は毎年約20%ずつ成長し、株価もそれに比例して上昇しています。

世界のインターネット広告市場はすでにテレビを追い抜き、そこで最大のシェアを誇る同社の業績は、引き続き伸びていくことが想定されています。

いい会社だとわかっていながら、買うタイミングを掴むのは容易ではありません。それでも、焦る必要はありません。相場は必ず上昇と下落を繰り返しますから、いつか必ず下落するタイミングがやってきます

直近では、2018年末に大きく下げたタイミングで買えていれば、現時点で3割近い利益を出せたことになります。これは、約3年前の上昇時に買った場合と同じですから、決して買いを焦る必要がないことが分かるでしょう。

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Googleのようないい銘柄を安値で買えれば、あとは何もせずにただ持ち続ければ良いのです。一時的なアップダウンはあれど、時間が経てばやがて大きく育つでしょう。

Next: テレビが株価暴落を伝えたら、いよいよ動くとき



テレビが株価暴落を伝えたら、いよいよ動くとき

この投資法を実践するためには、普段から良い銘柄に目をつけておくことです。自分のお気に入りの銘柄を見つけたら、ノートに書き留めておくようにしましょう。

テレビで株価暴落が伝えられたら、いよいよ動く時です。周囲の悲観をよそに、果敢に買い付けるのです。

下げ相場は、いわば全品一律割引となるバーゲンセールです。こんなにいい買いのタイミングはありません。株もお店の商品も一緒です。買いたいものに狙いをつけ、安くなったのを見計らって買うだけです。

何も難しいことはありません。これを実行できれば、あなたも立派な勝ち組長期投資家になれます。


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image by:Krista Kennell / Shutterstock.com

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本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2019年5月8日)
※太字はMONEY VOICE編集部による

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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。

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