神経ガス・サリンの原材料がトルコからイスラム国に送られたと、トルコ野党議員が国会で発言。現時点でサリンガスが合成されている可能性もあるとのことです。(『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』)
「イスラム国」サリン原料をトルコ経由で入手、合成に成功か
トルコ野党のEren Erdem議員が発言
神経ガス・サリンの原材料がトルコからイスラム国に送られたと、トルコ野党議員が国会で発言しました。
※Daesh Receives Toxic Sarin Gas Ingredients From Turkey – Lawmaker
報道のポイント
トルコ野党の共和人民党に所属するEren Erdem議員は12月8日の議会で、「トルコ政府はサリンガス製造用化学薬品の出荷停止をさせなかった」と政府によるカバーアップ(隠蔽)の可能性を指摘し、「サリン製造用になりうる化学兵器原料がトルコに持ち込まれ、それがシリア領内のイスラム国のキャンプに送られ、現時点でサリンガスが合成されている可能性がある」と発言した。
この事件に関しては、トルコ人(氏名不詳)とイスラム国代表者たちとの電話交信の盗聴記録など多くの証拠があったのだが、この取引、結局は運搬が有罪認定されずにイスラム国へ出荷されたというのである。
この事件でトルコ警備当局は強制捜査に踏み切り、13人の逮捕者を出したのだが、その後全員が釈放され、これらの化学薬品は即時、出荷されたとの由。同議員は、化学兵器を生産しているトルコの政府系企業が、この取引に関与している証拠があると証言している。
以前、シリア政府が市民殺傷にサリンガスを使用したとして、アサド現政権が非難されたことがあった。その時は国連が主導して、サリン製造用化学薬品をシリア領土内からすべて撤去させた。
Eren Erdem議員インタビュー
以下は同議員のインタビュー映像です。
※Sarin gas materials sent to Isis from Turkey, claims MP Eren Erdem
※EXCLUSIVE: Sarin materials brought via Turkey & mixed in Syrian ISIS camps – Turkish MP to RT
以下は、過去のサリンガスに関しての参考情報です。
※アサド政権によるサリン使用の証拠入手―米国務長官 – WSJ
※アサド大統領「化学兵器は使ってない」 欧米諸国の主張を全否定 – ハフィントンポスト
※サリンを使ったのはアサドか反体制派か – ニューズウィーク
この発言をしたEren Erdem議員が暗殺されないことを祈るのみです。
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イスラム国密輸原油の取引に関わるスイス資源商社が明らかに
スイスのLe Matin新聞の報道では、複数のスイス資源商社がイスラム国密輸原油の取引に関わっているとのことです。
※Dirty Business: Swiss Oil Traders Caught Exporting Daesh-Extracted Oil
報道のポイント
Le Matin紙は、いくつかのスイスの石油取引商社が、トルコのCeyhan港から輸出される石油を輸入している証拠をつかんだと報道。
Le Matin紙によれば、テロリストの資金源に詳しいフランスの専門家Jean-Charles Brisard氏が「スイスの商社がイスラム国の石油を輸入している可能性は非常に高い」と語った。
イスラム国が占領している地域からの石油購入は禁止されているものの、イスラム国の石油販売価格は超割安なので、平気で購入する取引相手は多数いるとのこと。いったんイスラム国の石油がCeyhan港に入れば、そこからは国際市場のどこにでも輸出することができるのだ。
Le Matin紙が調査した結果、最近複数の商社が、Ceyhan港から石油を購入したことが判明している。
スイス資源商社の株価が急落
イスラム国石油は欧州の企業(それは多分グレンコアのような総合商社?)が仲介転売していると、私の妄想を過去の記事で書きましたが、どうも的中していたようです。
※「ISをトルコ、米国が支援」これだけの証拠~密売石油は日本へも
グレンコアを初めとするスイス資源商社の株価急落は、イスラム国密売石油の入荷ストップ、契約不履行が原因かもしれません。そうなると、スイスの銀行も無傷ではあり得ないでしょう。
しかし、この汚いビジネスを認めるわけにもいかず、非常に困った立場に追い込まれているはずです。これをロシアがついでに国連安保理に提訴すれば、どうなるでしょうか?
上記はイスラム国の石油密輸ルート、積み出し港、そして購入国の1つであるイスラエルを示したもの。サウジアラビアとイスラエルはイスラム国支援国家です。米国と同様に軍事物資等の支援を積極的に行っているようです。
※太字はMONEY VOICE編集部による