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偶然か?密約か?安倍政権の支持率アップをアシストする北朝鮮の謎=不破利晴

北朝鮮が2013年2月と今年1月6日に行った核実験には、集団的自衛権の正当性を必要とする安倍政権を“援護射撃”しているとしか思えない不自然さがある。これは安倍首相の「悪運」による偶然なのか?あるいは安倍政権と北朝鮮の「秘密協定(密約)」によるものなのか?(『インターネット政党が日本を変える!』不破利晴)

存在しても何ら不思議ではない安倍政権と北朝鮮の「秘密協定」

「悪運」だけは強い安倍首相

2013年末から2014年初頭にかけて、日本は世界で孤立していたことを記憶している方も少なくないはずだ。

きっかけは2013年12月26日、安倍首相の靖国参拝であった。第2次安倍内閣が発足したのが2012年12月26日であり、まさに政権発足1周年を自ら祝うかのような参拝だったが、この時は中国、韓国に限らず世界的な批判を浴びることになった。

この時の各国の反応は以下の通りである。

【アメリカ】
2013年12月26日、安倍総理の靖国参拝についてアメリカ大使館が「失望した」と声明を発表。

【EUアシュトン外相】
靖国参拝について「日本と近隣諸国との緊張緩和に建設的ではない」と批判した。

【ロシア外務省】
「このような行動には遺憾の意を抱かざるを得ない」「国際世論と異なる偏った第二次世界大戦の評価を日本社会に押し付ける一部勢力の試みが強まっている」との声明を発表した。

【台湾外交部】
「歴史を忘れず、日本政府と政治家は史実を正視して歴史の教訓を心に刻み、近隣国や国民感情を傷つけるような行為をしてはならない」と厳しく批判した。

【アメリカ「ニューヨーク・タイムズ」紙】
社説「日本の危険なナショナリズム」を掲載。

【イギリス「ファイナンシャル・タイムズ」紙】
安倍総理が「右翼の大義実現」に動き出したとの見方を掲載。

【オーストラリア「オーストラリアン」紙】
社説で「日本のオウンゴール」「自ら招いた外交的失点」と指摘。

この時安倍首相は、アメリカのバイデン副大統領から事前に自制を求められていたのに反して参拝を行ったことが分かっている。

このように靖国参拝によって世界的バッシングを浴びせられ孤立し、政権維持に赤信号が灯りかけたが、それでも安倍首相はかろうじて命拾いすることになった。それは、本当の意味での世界的大事件が起きたからだ。

2014年3月に起こったロシアによる「クリミア併合」がそれだ。このことで日本を批判した各国も日本を取り込まざるを得なくなり、結果、安倍政権は延命できた。

このように安倍首相は、妙な「悪運」が取り付いてるように思われるのだが、そのことは北朝鮮の動向を見るとより鮮明になってくる。北朝鮮による「核実験」に如実に表れているのだ。

Next: 安倍政権と北朝鮮の思惑は一致している?集団的自衛権との不思議な関係



安倍政権と北朝鮮の思惑は一致している

1月6日に突如として行われた北朝鮮による核実験は、北朝鮮政府当局によると「水爆実験」であったことが発表され、実際の信憑性と共にアメリカと韓国による戦略爆撃機B52の低空飛行といった北朝鮮へのけん制飛行が物議を醸している。

確かに北朝鮮による核実験は言語道断の行為であるのは言うまでもなく、同時に米韓による威嚇飛行は国際法が禁じる軍事威嚇・過剰防衛に該当する。

それでもさらに踏み込んで、このことで最も得をしているのは一体誰かを考える時、それは実は安倍首相であることに気がつく。

安倍首相が集団的自衛権を言い出した時、彼がお気に入りのパネルを使っていかにこの法制が必要なのかを訴えたことを思い出して欲しい。

このパネルを見るとアメリカ艦船や他国を攻撃する「攻撃国」とは、誰が見ても北朝鮮を指しているのは明白だ。そして、このパネルを出発点として集団的自衛権を基軸とした安保法制へと、状況が一気になだれ込むことになる。

昨年はこの安保法制反対のデモが日本の各地で行われており、実際に安倍政権の支持率も下降基調にあった。これで北朝鮮が核開発をめぐる六者会談に応じるなどの柔軟な姿勢を見せれば、安倍首相が唱える集団的自衛権の正当性は一気に消滅することになったであろう。

ところが、実際は北朝鮮が安倍政権の動向とタイミングを計るかのように、年明け早々に4回目の核実験を強行し、「やっぱ、安保法制は必要じゃね?」的な空気が醸成されつつあるように思われる。

北朝鮮の核実験と安倍政権の動向は不思議な関係性がある。

北朝鮮が3回目の核実験を行った2013年2月12日、当時はどのようなことが取り沙汰されていたかと言えば、やはり集団的自衛権なのである。

2012年12月26日に発足した第2次安倍内閣が集団的自衛権を主張するようになったのは、実はこの頃であったことに注目して欲しいのだ。

2012年10月31日、当時自民党総裁であった安倍晋三氏は、臨時国会衆議院本会議の代表質問で、「集団的自衛権の行使を可能とすることによって、日米同盟は、より対等となり、強化され」ると、憲法解釈の見直しを求めた。その後、衆院選で大勝し、内閣総理大臣に就任した安倍氏は、2013年1月13日に放送されたNHKのテレビ番組で、「集団的自衛権行使の(憲法解釈)見直しは安倍政権の大きな方針の一つ」と述べた。日米両政府は、有事の際の自衛隊と米軍の協力の在り方を定めた「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン)を見直す作業に着手し、我が国の集団的自衛権に関する議論も反映しながら進めていく方針とされる。

そして2013年2月8日、「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(以下「安保法制懇」という。)が約5年ぶりに再開された。安保法制懇は、2008年に政府の憲法解釈を変更し集団的自衛権の行使を認めるよう求める報告書を政府に提出したが、今回は安倍首相が前回の検討事項に加え、自民党が衆院選の公約に掲げた国家安全保障基本法(2012年7月6日に自民党総務会でその概要が決定。)の制定など、新たな課題についても検討するよう諮問した。年内に首相への報告書をまとめる方針とされている。

出典:集団的自衛権の行使容認に反対する決議 – 日本弁護士連合会

<2013年2月頃>

→安倍首相が「集団的自衛権」を言い出す
→日本中に反対の声が起こる
→北朝鮮が核実験を行う
→日本の関心が北朝鮮に向かう

<2016年1月頃>

→安倍首相が安保法制を決めてしまう
→依然、日本中に反対の声は根強い
→北朝鮮が核実験を行う
→日本の関心が北朝鮮に向かう

Next: 偶然か?密約か?安倍政権を“援護射撃”する北朝鮮の謎



偶然か?密約か?安倍政権を“援護射撃”する北朝鮮の謎

端から見れば北朝鮮はあたかも安倍政権を援護射撃しているとしか思えないのだが、これは安倍首相の「悪運」による偶然なのか、あるいは安倍政権と北朝鮮の「秘密協定(密約)」が存在するのか考えてみる必要がありそうだ。

そして北朝鮮の核実験はアメリカにとっても都合のいいことに気がつく。日本の安保法制と日米同盟は完全にリンクしており、それでも北朝鮮がおとなしくなってしまえば日米同盟の正当性に影を落とすことになる。

ただでさえ沖縄辺野古の問題が大きく取り沙汰されている時期である。北朝鮮の核実験はアメリカの日本における戦略、東アジアを常に不均衡な状態にしておくといった戦略に照らしてみれば、むしろ歓迎すべき状況ではなかろうか。

さらに踏み込めば、現在の状況は北朝鮮にもメリットがある。アメリカや周辺各国の緊張状態を維持することは、北朝鮮の国民に対して強い政権をアピールする機会を生み出し、「先軍政治」という国家指針を強化することであり、それは現体制が今後も続くことを意味しているからだ。

アメリカと日本における沖縄密約は、これまでは日本政府がその存在を否定してきたが、最近の公開されたアメリカ公文書によって実は存在したことが暴露され、日本政府も認めざるを得なくなったこともある。北朝鮮をめぐる密約があったとしても何ら不思議ではない。

そう考えてみると、今回のB52爆撃機によるけん制飛行など、壮大な茶番にしか見えないのは私だけだろうか。踊らされているのは、実は我々一般国民なのかもしれない。

【関連】「北朝鮮の水爆」は安倍首相のシナリオ通り?隠された日韓合意の真実=高島康司

インターネット政党が日本を変える!』(2016年1月12日号)より
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「あなたにとってハッピーな世の中とは、どのようなものですか?」驚かせてすみません。私は不破利晴と申します。私は、元駐レバノン特命全権大使・天木直人氏と共に、「インターネット政党」の成功に向けて活動しています。インターネット政党『新党憲法9条』のWebサイトをつくり、日々の運用管理をしています。想像して欲しいことがあります。→「毎日働き詰めで辛くありませんか?」→「生きることに目的を見失って辛くありませんか?」→「あなたにとってハッピーな世の中とは、どのようなものですか?」インターネット政党の主役は「あなた」です。

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