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堅調な日米株価と比較して、経済成長している中国の株価指数が伸び悩むワケ=若林利明

中国は経済成長率が高いにも関わらず、経済成長が停滞している日米と比較してここ8年間の株価がほとんど伸びていない理由について考察してみます。(『資産運用のブティック街』若林利明)

筆者プロフィール:若林利明
外資系機関投資家を中心に日本株のファンドマネージャーを歴任。現在は創価女子短期大学非常勤講師、NPO法人日本個人投資家協会協議会委員。世界の株式市場における東京市場の位置づけ、そこで大きな影響力を行使する外国人投資家の投資動向に精通する。著書:「資産運用のセンスのみがき方」(近代セールス社)など。

※本記事は有料メルマガ『資産運用のブティック街』2019年7月2日号を一部抜粋・再構成したものです。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

日本、米国、中国にみる、経済成長と株価指数

低迷中国株と堅調に推移する日米株価の理由とは

2012年12月の株価を1として直近に至る日本、米国、中国、3市場の代表的指数の動きをグラフで示しました。

経済成長率は発展途上国の段階である中国が圧倒的に勝るものの、ここ8年間の株価の動きは停滞感が強いと言えるでしょう。

日米のマクロ経済は既に成熟国となっているので、個々の企業ベースの株価の集大成が市場全体の動きに自然体として反映されることになります。1桁の日米は低い経済成長であるにも拘わらず、株価は堅調であり結局、市場全体として中期的上昇を達成しています。

市場経済を経済の根幹とする資本市場の存在によって経済の発展を成し遂げてきた米国とそれに準ずる日本、一方で共産主義というイデオロギーも持ちつつ資本市場をその体制内に取り込むことによって、市場を形成している国との差が出始めているとする見方もあります。

近年、習近平政権はますます独裁色を強めておりますが、大企業もその命運を最終的には共産党によって握られている現状は、その株価形成も当然それを織り込んで形成されているとする見方もあります。

昨年モルガンスタンレー社のワールドインデックスに中国の大企業が何社か採用されました。全世界の株式に投資するファンドマンジャーにとってはこのインデックスに勝つことが目標となりますが、その一部分となった中国株の株価形成にこうした懸念が残ることになれば、インデックス自体の信頼が揺らぐことにもなりかねます。

といっても簡単に解決策が見つかる問題ではありません。時間の経過と共に、じっくり見ることしかありません。

Next: 途上国と成熟国の金利と株価の関係性の違いとは?



先進国(米国)金利の動き…景気予兆を感じ取るセンサー

中国経済の場合、発展途上国として6~7%の高い経済成長目標を掲げております。必然的に金利水準も政策金利で見ても4~5%の水準です。途上国はそうした金利水準の多少の高さ、あるいはブレを乗り越えて成長してゆくのが一般的です。成熟経済となっている国は金利水準に一喜一憂することになりますが、とりわけ、資本市場は非常に敏感です。

ここに世界の株式市場に最も影響力のある米国資本市場の長期金利(10年物国債の金利)を示しました。同時にニューヨークダウの動きも示しております。

過去7年半、金利水準は概ね1.5%~3.0%レンジで推移しております。一方でニューヨークダウの動きはほぼ一貫して上昇しております。この金利水準との関係をどのように見るか、これまでの動きを時系列でみる必要があるようです。

翻ってみると、この株価の動きそのものが金利水準の変化を取り込んで変動しているとも見ることもできます。2017年中ごろから金利は経済の実勢が好調であることを背景に上昇します。

一方2018年の年末をピークに金利は下降し始めます。そこでは経済のピークアウト感の認識が広まっているようです。つまり、経済を実体経済を映す形の金利上昇と実体経済の落ち込みを避ける(資本市場からの不況感を排除する)ための金利の下落が、市場の中期的上昇を実現してきているようです。景気予想のセンサー、そして引き上げ、引き下げの行為がファインチューニングとなっているようです。

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資産運用のブティック街』(2019年7月2日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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