マネーボイス メニュー

From Wikimedia Commons

この株安は清原ショック?いやいや、米大統領選「サンダース・ショック」かもよ

社会主義的な主張で若者の熱狂的な支持を集めているバーニー・サンダースさんが米大統領になった場合、徹底的に株式市場を敵視することから、株価は大暴落すると思います。実際、本日(2/3)アメリカ市場が弱く返ってきた理由は、このサンダースさんが大統領になる可能性を織り込み始めたせいでしょう。(『KA.Blog』)

米大統領選の行方~サンダース候補躍進ならアメリカ株価暴落も

日銀ETF買いでも下げ止まらず、「マイナス金利」発表前の水準に

眠れない日経平均は本日(2/3)大幅続落。前日のNYは原油の下落からエクソンモービルが設備投資の大幅削減を発表したことなどで軟調。WTI先物は再度30ドルを割り込んで、ドル円も120円割れに。

それを受けた日経平均も朝方から売りが先行。為替が一段と円高に振れ、それに合わせて株価も売られました。一時600円を超す下げ幅に。後場にはお約束の日銀ETF買いは出ましたが、相変わらず焼け石に水。その後再び売り直される格好になりました。売買高は31億株台、売買代金は3.1兆円台と高水準。

投資判断は「やや買い」。本日(2/3)はまた相場が急落で、結局緩和発表前の水準に戻してきました。やれやれですね。ボラの高い展開が続きます。

「今回の追加緩和は良かったんじゃないか」と言われると思いますが、私はまた繰り返しになりますけれど、少なくとも株式市場に対する効果としては懐疑的です。無論、効果は一定量あるでしょう。ただそのルビコン川を渡った分に対して受ける費用対効果は薄いのではないでしょうか。

何故なら昨年12月からの流れが示したように、もう世界的に緩和は通用しない世の中になってきているからです。

「そんなこと言ったって、実際に株価は上がったじゃないか」と言われそうですが、短期的にはそうだとしても、実際の大きな流れは違うということです。実際、マイナス金利はヨーロッパでとっくに導入されていますが、それで何か変わったか?というと変化はありません。

恐らく3月にまたECBが追加緩和をやったら、株は下がるのではないでしょうか。もうリズム的に「追加緩和が無いと思った時に追加緩和があったら上がり、あると思った時にあったら下がるだけ」という話のようにも思います。

そもそも足元までの株安要因は外部環境の悪化によるものだというのは皆意見の一致するところだと思いますが、それが改善されていない以上、国内要因だけで反発するというのは虫が良すぎます。

緩和発表のタイミングは悪くなかったが――

タイミングとしては黒田さんらしいサプライズなタイミングでした。最初のバズーカが13年4月→2発目が14年10月、これで次私が前に予想していたように16年4月だったら「なんだ、1年半おきにやるのか」という冷めた見方が市場に出てきて、今度17年10月の政策が難しくなるところでした。

ところが、今年から展望レポート発表を年4回に変えたので、1年半毎にする必要が無くなりました。逆に言えば、そのルーチンを変えたかったので、今年から4回に変えたのかも知れませんね。

というわけで、サプライズ好きの黒田さんやドラギさんにしてみれば「しめしめ」かも知れませんが、1発目、2発目共に株式市場への効果は一ヶ月半くらいは続いたものの、その後一旦発射当日高値辺りまで下がってきました。特に今回は下落トレンド時の発射ですし、効果は一段と薄いとみられます。

Next: 株価反落シナリオに変更なし/米大統領選に暗雲、株価暴落も?



「2月株高→3月辺りから再度下落」の株価シナリオに変更なし

そう考えると、当初のシナリオ(すなわち2月株高→3月辺りから再度下落)シナリオに変更は無いように見える…というより、一層くっきりしてきたような感じすらあります。一応今回の追加緩和に敬意を表して、今まで戻りは18000円と見ていたものは、大発会の高値を超えないくらい(すなわち19000円弱)までに変更します。

が、大筋の流れには変化が無いと見ています。恐らく熱が冷めたら「やっぱり来年消費税を上げるのか・・・」というところがクローズアップされてきて、また相場を冷やす原因になりそうです。

まあ黒田さんに言わせれば「別に株を上げるためにやったことではなくて、為替の円安誘導や賃金アップのための援護射撃だ」と言うことなのでしょうけれど。実際、ドル建ての日経平均も緩和前と比較して行って来い。状況は先週と何ら変わっていません。

なので一つどうしても言っておきたいことは「この12月から1月までの急激な下げ局面を忘れてはいけない」ということです。私も人間ですし、ここから1ヶ月くらい本当に株高が続けば、次第にこの急落の痛手をついつい忘れてしまいがちです(それが精神衛生上人間に備わっている防衛本能です)。

しかし下がる時は2000円でも3000円でも下がる、というこの体験は少なくとも年内は覚えておきたいところです。勿論私も来月辺りには改めて警告したいとは思いますけれど、紙に書いてトイレにでも貼っておくと良いのかも知れませんね(家族からは顰蹙買うかも知れませんが)。

アメリカ大統領選の行方と株価の関係

最後に雑感ですが、アメリカのアイオワ州での党員集会は無事(?)共和党がクルーズ氏、民主党はクリントン氏がトップとなりました。共和党に関しては、アメリカに行ってきて聞いたところではヒスパニック系のルビオ氏が最有力ということで、今回の党員集会でもトランプ氏と1%差の大躍進。3位とじわり追い上げてきています。まだ40代半ばで若いですしね。

一方、民主党の方はほぼ引き分けと言える大接戦で、バーニー・サンダース氏が敗れました。サンダースというとカーネル・サンダースしか思い出さないですが(?)、こちらは鶏肉を扱っていない方のおじいちゃん。ところが非常に社会主義的な主張を下に、若者に熱狂的な支持を集めているそうです。

アメリカでも若者の失業率の大きさや貧困は問題になっているためで、アメリカも遂に内側から体質が変わっていくのかというところでしたが、とりあえず今回のところは寸前で回避した感じですね。

株価的にはもしサンダースになると、徹底的に株式市場を敵視すると思われますから、株価は大暴落すると思います。実際、本日(2/3)アメリカが弱く返ってきた理由は、このサンダースさんが大統領になる可能性を織り込み始めたせいでしょう。今更原油の下落を持ち出して「まだオイルマネーが売ってくる」というロジックがどこまで通用するでしょうか?

それならこれまでの下げは「SMAP解散ショック」本日(2/3)の下げは「清原逮捕ショック」とした方がまだ信憑性があります(無論冗談です)。

しかし正直74歳の年齢で、大統領という激務に耐えられるのか。そもそもどうなんだという感じもしますが、ティーパーティーといい、アメリカですら貧富の差に対して疑問の声が大きいのは事実です。この超接戦だったという結果だけでも、結構重いかも知れません。今後の党員集会の推移も引き続き注目です。

新興市場も「やや買い」。本日(2/3)は両指数共に軟調。マザーズ指数の方はバイオ株が買われたものの、その他大勢が下落して軟調。とりあえずリスクオフムードが蔓延した格好です。それでもチャート的には75日線も上回っており、東証1部よりはマシな感じ。決算発表がまだ本格化していないという点でも買いやすさはあります。逆に自社株買いなどが出辛いという点はデメリットかも知れませんが。

【関連】世界同時株安のウラ要因「アップル・ショック」の本当の怖さとは?

KA.Blog』(2016年2月3日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

初月無料お試し購読OK!有料メルマガ好評配信中

KA.Blog(有料版)

[月額990円(税込) 毎週 日曜日(祝祭日・年末年始を除く)]
無料メルマガ「KA.Blog」の有料版です。無料メルマガの場合、相場の見通しは平均週2回程度しか発行しませんが、有料版の場合は基本的に日曜~木曜まで毎日発行します。(※個別株の推奨はありません)

シェアランキング

編集部のオススメ記事

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MONEY VOICEの最新情報をお届けします。