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中国や韓国に途上国優遇が必要か? 中国の反対で見直されないWTOの不公平制度=矢口新

WTOの制度上、途上国と自己申告した国は先進国から関税免除などの優遇を受けられる。そして途上国の時に申告した国は、現在もその優遇を謳歌できている。(『相場はあなたの夢をかなえる —有料版—』矢口新)

※本記事は、矢口新氏のメルマガ『相場はあなたの夢をかなえる —有料版—』2019年7月29日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。配信済みバックナンバーもすぐ読めます。

プロフィール:矢口新(やぐちあらた)
1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。アストリー&ピアス(東京)、野村證券(東京・ニューヨーク)、ソロモン・ブラザーズ(東京)、スイス・ユニオン銀行(東京)、ノムラ・バンク・インターナショナル(ロンドン)にて為替・債券ディーラー、機関投資家セールスとして活躍。現役プロディーラー座右の書として支持され続けるベストセラー『実践・生き残りのディーリング』など著書多数。

シンガポールやメキシコまで発展途上国?もはや言ったもん勝ち…

途上国を名乗れば優遇される

WTO(世界貿易機関)の制度上では、途上国と自己申告した国は、先進国から関税免除などの優遇を受けられ、貿易自由化の義務も免除されるという。

今から、あえて途上国と自己申告する国があるかどうかはわからないが、20~30年ほど前の本当の途上国の時に申告した国が、現在も謳歌できている優遇や免除を、わざわざ返上することがあるとも思えない。

米政府は見直しを提案しているが、全会一致を原則とするWTOでは、中国が反対しているために議論が進んでいないという。

トランプ米大統領は26日、中国などが世界貿易機関(WTO)に「発展途上国」と申告し、優遇措置を受けているのは不当だとして、WTOの制度改革を加速させるよう米通商代表部(USTR)に命令した。90日以内に制度見直しの進展がなければ、米国が一方的に対象国の優遇を取りやめるといい、改革に消極的な加盟国に圧力をかけた。

トランプ氏は同日、ツイッターで「もっとも裕福な国が途上国だと主張し、ルールを逃れて優遇されている。そんなことは終わりだ!」と述べた。

トランプ氏は大統領令でUSTRに指示した。大統領令は中国のほか韓国やメキシコ、シンガポールなどを名指しし、途上国との位置づけが不公正だと指摘。USTRが制度を改めさせるため「利用可能なすべての手段」を活用するよう指示している。

90日後となる10月下旬までに改革が進まない場合、USTRが不適切とみなす国の途上国扱いを取りやめる。優遇打ち切りなどを検討する可能性がある。

WTOの制度上、途上国と自己申告した国は、先進国から関税免除などの優遇を受けられるほか、貿易自由化の義務も免除される。全会一致を原則とするWTOで、米政府は見直しを提案しているが、中国が反対して議論が進んでおらず、トランプ政権は期限を区切って改革を促した格好だ。30日から再開する閣僚級貿易協議を前に中国に圧力をかける狙いもありそうだ。

出典:中国・韓国など途上国優遇停止も WTO改革加速を 米大統領が命令 – 産経新聞(2019年7月27日配信)

中国は「発展途上国」という国の分類を米国の利益に基づいて定義すべきではないとの見解を示した。トランプ米大統領が途上国と自称する一部の国について世界貿易機関に断固たる措置を迫るようライトハイザー米通商代表部代表に命じたことを受けた反応。

中国共産党機関紙・人民日報は28日の社説で、WTO改革は少数の「覇権国家」に牛耳られるべきではないと主張した。

トランプ大統領は26日、ライトハイザー代表に宛てた文書で中国に言及し、途上国とみなされる国の数を制限する方向で「実質的な進展」があるかどうか90日以内に判断するよう指示。進展がなければ米国が一方的に動く可能性があるとの考えを示した。

人民日報の社説は、WTOがこの問題を改善したかどうか確認するため90日間の期限を設けるのは米国の「傲慢(ごうまん)さと厚かましさ」をあらわにするものだと指摘。中国は途上国として認められた特別待遇を乱用していないと付け加えた。

出典:WTOの「途上国」の定義、米国の利益で決めるべきでない-人民日報 – Bloomberg(2019年7月29日配信)

中国は共産党独裁を謳い、党の指導のもとに国家の運営を行っている。軍隊も党のものだ。また、国際社会でも米国の覇権に挑戦して、共産党の指導のもとに新たな秩序を構築しようと試みている。

ところが、国際機関内では多数派工作を行い、「民主的な」システムを巧妙に利用している。国際機関は硬直化している。

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中国・シンガポール・韓国・メキシコまでもが途上国?

世界2位の経済大国中国や、ビジネス環境世界一ともいわれるシンガポール、また、韓国メキシコまでが「発展途上国」なのなら、WTOの制度がある限り、多数決では自称途上国が圧倒的に有利で、日本や米国は冷遇され一方的な規制を受け続けることになる。

そういえば、最近まで日本は中国に対して援助(ODA)を続けていた

ゴルフに例えると、これら自称途上国は、すでにプロの試合に出ているのに、今後はハンディを取り上げるという米国に、「傲慢さと厚かましさ」だと逆切れしているのだ。

時代遅れとなりながら、変革を拒む権威主義を、トランプ大統領は常に攻撃している。それが同氏を強烈に支持する人がいる理由だ。

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image by:Alan Santos/PR at Wikimedia Commons [CC BY-SA 2.0], via Wikimedia Commons

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相場はあなたの夢をかなえる ー有料版ー』(2019年7月29日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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