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【展望】まず5MA 1万6015.47円奪還へ。見通し不透明な中での大台値固め=山本伸一

2000円以上の下落が確認された2月8日週から一転、月曜日には日経平均株価が1000円超の上昇を見せるなど反騰劇を演じた日本市場。しかし、金曜日には再び1万6000円を割るなど、依然として不透明感が漂っている。マネーの方向性が見極めにくいこんな時は、打診売買で相場の見通しを探りつつ、反転相場を見極めていく戦略が有効ではないだろうか。(『プロの視点。今、乗るべき銘柄が見えてくる。』株式評論家・山本伸一)

5MA、25MA奪還へ向けて水準を探る流れ、打診買いで対応を

まずはこの1週間(2月15日週)の相場動向を振り返り

今週の株式相場は、一段と調整色を強めていた先週の流れから、月曜日には大きく買い直される展開。火曜日も堅調に推移し、水曜日も利益確定売りをこなすと、木曜日も買い優勢の流れに。金曜日には再び売り直されたものの、先週から出直り基調となっています。

日経平均株価は、先週末の1万4900円台から、月曜日には大台1万6000円台を回復する反騰。火曜日も大台値固めから、水曜日に1万5800円台まで売られたあと、木曜日には1万6100円台まで上昇。金曜日には再び1万6000円割れとなったものの、先週から水準を切り上げてきました。

日経平均株価チャート 2016年02月19日終値

先週には、世界的な金融株安、金融不安が高まり、リスク回避による円高が進展。日経平均株価も4営業日で2000円下落と記録的な調整が確認されていました。

ただ、先週末の欧州では金融関連に対する過度の警戒が和らぎ、米国でも調整していた金融関連、エネルギー関連が見直される格好。為替相場での急ピッチの円高推移も和らぎ、月曜日には日経平均株価が1000円超の上昇で一気に大台1万6000円奪回。過去13位の上昇幅、過去12位の上昇率を記録する反騰劇を演じました。

欧州市場でも金融関連の見直しが継続。為替相場もドル、ユーロが底堅く、火曜日には利益確定売りをこなす動き。円高推移とともに戻り売りに押された水曜日には日経平均株価が大台1万6000円を割り込んできたものの、外部要因改善とともに木曜日には再び大台奪回を果たすなど、概ね大台1万6000円を挟んだ値固めが確認されています。

金曜日には4日ぶり下落となった米国市場、円高推移とともに利益確定売りが優勢。ただ、日経平均株価の大台1万6000円を軸に週央の価格帯で推移しており、依然として値固めが続いている状況と言えるでしょう。

値動きの激しかった個別銘柄をおさらい

個別銘柄では、月曜日の記録的な相場暴騰で、直近売り込まれていた三菱UFJFG<8306>三井住友FG<8316>みずほFG<8411>のメガバンクが反騰。トヨタ<7203>ソニー<6758>パナソニック<6752>など外需関連も買い直されました。

なかでも、ソフトバンク<9984>が全市場の売買代金上位に進出して、16日火曜日にストップ高、17日水曜日も連騰。発行済み株式数の14.2%に当たる1億6700万株、5000億円を上限とする自社株買いを発表したほか、ゴールドマン・サックス証券も投資判断「買い」を継続するなど、このところの売られすぎからの値頃感からの修正が働いた模様です。

ソフトバンク<9984> 日足(SBI証券提供)

また、同じくアップル関連として直近売り込まれていた村田製作所<6981>も堅調。最高使用温度が200度の積層セラミックコンデンサーを開発したとの発表が車載機器への供給期待につながり、買い材料視されました。

村田製作所<6981> 日足(SBI証券提供)

材料株では、三菱商事<8058>がサウジアラビアとロシアが合意した原油の生産量維持案にイランが支持表明したことで、1バレル30ドル台と原油相場上昇とともに市況関連の一角の見直し買いを集めめました。同業の三井物産<8031>、鉱業の国際石油開発帝石<1605>、石油製品のJXホールディングス<5020>も賑わいを見せました。

三菱商事<8058> 日足(SBI証券提供)

19日金曜日の難地合でも、NTTドコモ<9437>が反発。三菱UFJモルガン・スタンレー証券が投資判断「中立」を継続し、目標株価を2,260円から2,590円に引き上げたことが材料視され、軟地合いのなか堅調な推移を見せました。格上げのカプコン<9697>も好調に推移するなど、株価調整とともに目標株価引き下げ銘柄が目立つなか、証券会社の目標株価引き上げが素直に好感されています。

NTTドコモ<9437> 日足(SBI証券提供)

カプコン<9697> 日足(SBI証券提供)

また、外部要因の改善に加えて、初のスマートフォン向けアプリ「Miitomo」の事前登録を開始した任天堂<7974>が大幅反発し、協力会社のディー・エヌ・エー<2432>も高く推移しました。

任天堂<7974> 日足(SBI証券提供)

ディー・エヌ・エー<2432> 日足(SBI証券提供)

次世代広域帯通信技術「100GbE」搭載のデータセンターネットワークの実証実験に成功したさくらインターネット<3778>も続伸。フィンテック関連として引き続き物色を集めたほか、バイオ関連のそーせいグループ<4565>も週を通じて短期資金の流入が株価を押し上げました。

新興市場では、全市場の売買代金上位に進出したそーせいグループ<4565>が続伸したほか、ジグソー<3914>ミクシィ<2121>インベスターズクラウド<1435>アンジェスMG<4563>が賑わいを見せました。

Next: 【展望】市場に残る不透明感。こんなときに有効な戦略とは?



打診売買で相場の方向性をさぐり、ポジションを積み増す戦略が有効か

さて、今週は世界的なリスク回避の流れに押された先週末から一転、リスク回避の巻き戻しの動きが強まり、直近の大幅調整銘柄を中心に15日月曜日は大きく買い直された株式相場ですが、その後は一進一退の攻防。

月曜日こそ1000円超の上昇で一気に大台1万6000円奪回を果たし、過去13位の上昇幅、過去12位の上昇率を記録しましたが、その後は1万6000円台を挟んでの攻防となっています。これだけの暴騰はショートカバー、売り方の買い戻しが中心となって相場を押し上げたと見られ、ある種の踏み上げからの暴騰とも言えるでしょう。

ただ、売り方の買い戻しが一巡した段階では、まだ戻り売りが残る状況に。金曜日こそ外部要因軟化で売られたものの、週を通じての物色は調整の目立っていた金融関連、市況関連に見直しが進んでおり、着実に出直りを果たしているといっていいでしょう。

ポイントとなるのは、日経平均株価では5日移動平均線(1万6015.47円)と、フシ目である1万6000円の攻防でしょうか。19日金曜日の日経平均株価終値は1万5967.17円と5日移動平均線、フシ目の1万6000円を下回って引けていますが、まずはこの5日移動平均線上で戻り売りをこなしつつ水準を固められるかどうかが鍵になりそうです。

ただ、上値に関しては16日火曜日の高値1万6341円を上抜ける場面が見られなかったことから、まだ戻り売りが残る状況となっており、大台1万6000円を軸に下値支持の5日移動平均線、そして25日移動平均線(1万6714.60円)奪回までは水準を探る流れが続きそう。

来週も相場の先行きが注目される状況ですが、まだ戻り売りと押し目買いが交錯している現時点では、相場の方向性は見極めにくいものの、新たな相場の方向性に付けるよう「打診買い」の準備を整えておきたいところです。

まずは、手掛けやすい売買単価の低い銘柄で打診売買を手掛けておき、相場の方向性が明らかとなり、その流れに合わせてポジションを積み増していけば、ローリスクを切っ掛けとしてハイリターンも目指せるのではないでしょうか。

決算内容は高く評価できるものの、全体相場調整の影響で売り込まれている銘柄も多くあり、相場の落ち着きとともに出直りが期待できる状況。その点でも少額から取引可能な好業績銘柄の打診売買で相場の見通しを探りつつ、反転相場を見極めていく戦略が有効でしょう。

NYダウ 1分足(SBI証券提供)


米ドル/円 1分足(SBI証券提供)


シカゴ日経平均先物円建 1分足(SBI証券提供)

また、来週末は上海でG20財務相・中央銀行総裁会議が開かれ、各国中銀が協調できるかどうかにも注目が集まりそうですが、協調姿勢への期待感が高まる場面では、直近、ドイツ銀行の信用不安などで売られすぎていた金融株、メガバンクなどが戻り売りをこなして復調してくるようであれば、日経平均も反騰への期待が高まってくるかもしれません。

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※チャートと太字はMONEY VOICE編集部による

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