マネーボイス メニュー

割安なJBR<2453>は、自宅周りのトラブル解決サービスで唯一無二の存在となり得るのか?=栫井駿介

シロアリ予防やエアコンの故障・修理などのサービスを展開している、ジャパンベストレスキューシステム(JBR)。この銘柄が割安な理由はどこにあるのでしょう?(『バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』栫井駿介)

プロフィール:栫井駿介(かこいしゅんすけ)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。

JBRの株価が割安に放置されているのは、参入障壁の低さにあった

「安心」のサブスクリプション

この夏は個人的に自宅まわりでいろいろなことがありました。

シロアリ予防の更新(5年ごと)やエアコンの故障・修理、さらには台風15号による停電にも見舞われました。

特に、エアコンの故障には参りました。急に暑くなったときだったので、メーカーに問い合わせてもすぐには来られず、修理業者を見つけるのに一苦労でした。このように困った時に「ここに連絡すれば大丈夫」というところがあればありがたいのにと切に思いました。

実は、上場企業でそんなサービスを展開しているのが、ジャパンベストレスキューシステム(JBR)<2453>です。

同社はコールセンターを持ち、全国の業者と連携することで、顧客の「困った」に対応することをビジネスモデルとしています。「生活救急車」「水の救急車」「学生生活110番」などの名前で展開し、業績を伸ばしてきました。

【出典】マネックス証券

業績を牽引しているのが「会員ビジネス」です。

例えば、賃貸住宅に入居する際に事前に保証料を支払うことで、鍵や水回りのトラブルがあった時はJBRが無料で対応するというものです。

入居者としては安心材料になりますし、JBRとしても安定した収入源になります。もしトラブルがなければ、保証料はそのまま利益になるという、流行りの「サブスクリプション」の恩恵を受けることができるのです。

「トラブル解決ならここ!」と言えるだけのものを作れるか

このビジネスの肝となるのが、いかにネットワークを拡げられるかということでしょう。ネットワークとは、窓口となる企業との連携と、実際に工事を行う業者の確保です。

窓口となるのは、不動産会社ハウスメーカー、大学生協などです。賃貸契約時や住宅購入時、大学入学の上京時などに保証をつけます。協力会社が多いほど、より顧客獲得のチャンスが拡がります。

ただし、直近でドコモとの提携を解消されるなど、一筋縄にはいきません。窓口としてのメリットはそこまで見いだせないからでしょう。

工事業者は地元の個人事業主や中小企業が対象になります。JBRとしては、より広く、質の高い業者をいかに集められるかが大切になります。ネット上の評判を見る限り、今のところ玉石混交という印象です。

問題点は、このビジネスには参入障壁がないということです。コールセンターを持っているだけなので、誰でも同じビジネスを真似することができます。例えば、大手不動産会社が同じビジネスを行うようになればかなりの強敵です。

それをさせないためには「トラブル解決ならここ!」と胸を張って言えるくらいネットワークやサービスの質を上げることですが、まだその地位には達していないように見えます。

Next: 営業利益の成長と比較して、JBRの株価の推移は?



成長性に対して割安感はあるが、まだ絶対的ではない

株価に目を向けると、ここ最近軟調となっています。

JBR<2453> 週足(SBI証券提供)

ただし、業績は決して悪くありません。まだ成長は続いていて、PERは20倍程度なので、やや割安感のある印象です。価格次第では検討に値します。もちろん、ビジネスが順調なことが大前提です。

誰も追いつけないくらい圧倒的なビジネスを作り上げることができるか。これからの方向性に注目していきたいと思います。


つばめ投資顧問は、本格的に長期投資に取り組みたいあなたに役立つ情報を発信しています。まずは無料メールマガジンにご登録ください。

※上記は企業業績等一般的な情報提供を目的とするものであり、金融商品への投資や金融サービスの購入を勧誘するものではありません。上記に基づく行動により発生したいかなる損失についても、当社は一切の責任を負いかねます。内容には正確性を期しておりますが、それを保証するものではありませんので、取扱いには十分留意してください。

image by: Africa Studio / Shutterstock.com

【関連】島根銀行がSBIとの提携で急騰…存亡の危機にある地方銀行に、再生の光は見えるのか=栫井駿介

【関連】何をどう買って売れば儲かるの?チャートを使った基本的な株式トレードの考え方=山田健彦

【関連】バブル突入への危険な前兆?日経平均株価10連騰でバリュー投資家が確認すべきこと=栫井駿介

バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』(2019年9月21日号)より
※太字はMONEY VOICE編集部による

無料メルマガ好評配信中

バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問

[無料 ほぼ 平日刊]
【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。

シェアランキング

編集部のオススメ記事

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MONEY VOICEの最新情報をお届けします。