ネット証券最大手のSBIホールディングスが、島根銀行へ出資するという画期的なニュースがありました。地方銀行はそれほどまで窮地に陥っているようです。(『バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』栫井駿介)
プロフィール:栫井駿介(かこいしゅんすけ)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。
島根銀行は復活できるのか…SBIの巧妙な提携戦略
利ざやは低下し、貸出先もない
SBIホールディングス<8473>が島根銀行<7150>への出資を決定したことで、島根銀行の株価が急騰しました。
ネット証券最大手と地方銀行が資本・業務提携するというのは画期的な出来事です。一方で、それだけ地方銀行が窮地に陥っているということでもあります。
地方銀行は大変な苦境の時代を迎えています。
・マイナス金利
・地方経済縮小
・キャッシュレス化
・預金者の高齢化
…
特に、マイナス金利の影響は計り知れません。銀行のビジネスモデルは貸出金利と預金金利の差から収益をあげることですから、マイナス金利環境下では預金金利をマイナスにできない以上、「利ざや」は縮小の一途をたどるのです。
また、地方経済が縮小すれば、貸出先もなくなってしまいます。一部の優良企業に資金が殺到し、さらなる金利低下を招く悪循環に陥っているのです。
貸出先がないことは数字にも表れています。貸出金を預金で割った「預貸率」は近年低下の一途をたどっているのです。
貸出の利ざやとボリュームのどちらも取れないとなれば、銀行が取れる収益拡大策は以下のようなことに限られます。
・有価証券の運用収益
・投資信託等に販売による手数料
すなわち、銀行は「金貸し」以外に道を見いださなければならない状況なのです。
Next: SBIが島根銀行と提携した本当の目的とは…
1 2