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スマホ販売の7割「不正契約」の衝撃。現役店員が告発する値引き禁止ほかルール改正の裏側=山岡俊介

10月1日、スマートフォンの「解約違約金1,000円以下」「本体値引きは2万円まで」などの新ルールが施行された。その背景には、契約全体の7割にも及ぶ不正契約の実態があるという。(『アクセスジャーナル・メルマガ版』山岡俊介)

※本記事は有料メルマガ『アクセスジャーナル・メルマガ版』2019年10月21日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:山岡俊介(やまおか しゅんすけ)
1959年生まれ、愛媛県出身。神奈川大学法学部卒。零細編集プロダクションに2年半在籍し、29歳で独立。91年『週刊大衆』の専属記者を務めながら『噂の真相』『財界展望』などを中心に記事執筆。主な著書に『誰も書かなかったアムウェイ』『アムウェイ商法を告発する』(以上、あっぷる出版社)、『銀バエ実録武富士盗聴事件』(創出版)、『福島第一原発潜入記 高濃度汚染現場と作業員の真実』(双葉社)など。

スマホ販売店の店長が全面協力? 驚くべき大量違法契約の手口

消費増税と同時に始まったスマホ「新ルール」

「10月1日」といえば、消費税が10%に上がったが、スマートフォン(スマホ)の新ルールを盛り込んだ改正電気通信事業法が施行されたのも同日だった。

これまで顧客を取るために、各社必死で、9月末までの最後の駆け込み販売では「iPhone8 1円」「他社から乗換えで、最大6万円お得!」なんてサービスをやっていた。

10月1日以降は、そんなことはできなくなった

新ルールでは、以下となっている。

・通信の継続利用を条件とした端末の値引きは禁止
・(継続利用を伴わない場合でも)スマホ本体の値引きは最大2万円まで
・契約途中の解約違約金は(従来の相場は9,500円だったが)1,000円以下

この新ルールで、通信料金のさらなる自由競争を促すとされる。

全体の70%が不正契約?

ところが、この10月1日新ルール施行の直前、あるベテランの業界関係者から告発があった。

実は、スマホを大量に格安で購入して転売する俗に“ツイッター乞食”ともいわれる者(ツイッターで取引するため)など買い手側と、それに協力して楽して営業実績を上げるスマホ販売側が相当数いる。

それは2011年頃から横行し、この間の全契約の実に約7割を占めているという。

今回の新ルール施行は、それを是正する狙いもあるというのだ。

念のため断っておくが、現状、“ツイッター乞食”のような個人が高額なスマホを安値で数台(直に)購入し、それを転売して儲ける行為は違法ではない

しかし、当然ながら、正規の価格で購入(契約)した者にはその分、高額負担となっており、正直者がバカを見るという実に不公平な状況になっている。

まして後述する不正に大量違法契約するケースは論外だ。

とはいえ、これらをひっくるめた不正契約がいくら何でも7割は多過ぎで、過半数ということもないだろうから、最大3~4割では?と話を向けたのだが、「約7割は間違いない割合」と譲らない。

そして、違法契約についてはこんな手口とのことだ。

Next: スマホ販売店の店長が全面協力?驚くべき違法契約の手口



驚くべき違法契約の手口

違法契約については、こんな手口とのことだ。

<個人契約の場合>

まず個人契約の場合、販売店側は次の手順でスマホを売る。

(1)本人確認は原本(多くは運転免許証)で行う
(2)契約者本人と店頭で直接確認する

これは「携帯電話不正利用防止法」で定められており、違反すれば最大2年の懲役に問われる。こうして契約されたスマホが転売され、「振り込め詐欺」などの犯罪に利用もされるからだ。

告発者によると、「ところが、誰かの運転免許証のコピーをラミネート加工し、本物の運転免許証に似せたものがいくつもまとめて持ち込まれ、店側はそれで確認。本人には会わないから、当然、契約時のサインは本人から取れないので、持ち込んだ者、あるいは店側が筆跡を変えて代筆。なぜ、そんなことがまかり通るか? それは店側では店長クラスが組むから。平の店員では店側のチェックが入るからすぐバレます」とのこと。

<法人契約の場合>

一方、法人契約の場合は、その法人の登記簿謄本と社員確認、または法人印鑑登録証明書だけ出せばOK

1台ずつ、個人のように契約する必要はないから、さらに大量かつ簡単に違法契約できるという。

もちろん、この違法契約の場合も店側は大量購入してもらう(まとめて契約が取れる。出世にも通じる)から、格安ないしバックマージンを約束。それだけ購入側は儲けが大きい。

そして、正規の購入者にそのツケが通信料の高値というかたちで来ているわけだ。

不正契約に手を出すのはただただ儲けたいブローカー

こうした買い手の方は、犯罪組織の者というのは稀で、何でも儲かる話に手を出すいわゆるブローカーともいわれる者が多い。

転売した後の使い方など、知ったことではないというわけだ。その儲けで自宅を建てた者を知っているそうだ。

告発者はさらに続ける。「それに、きついノルマ主義の下、多かれ少なかれ皆、こうした“水増し契約”に加担しているので、よほどの憎まれ者でもない限り、実は周りは見て見ぬふりをしている。ですから、表面化するのはごく稀。それに、たとえ表面化しても、店の信用にも関わるので刑事告訴せずクビでまず済む。で、クビになった者はさすがに同業他社にはお触れが出るので移籍できないが、手っ取り早く稼げるということで、また新たに店の者を引き入れて裏でやるわけです」。

Next: ある大手販売会社支店長も不正販売? 次々と不正契約の新手が登場する…



新ルールでは改善しない?

もっとも、繰り返すが、10月1日の新ルールで買い手側の表向きのうま味はかなりなくなった

だが、年間売上げ目標(ノルマ)は以前と同じである以上、あの手、この手で今後も続くと告発者は見ており、新手のやり口が出て来れば、また報告したいという。

なお、本紙はある大手販売会社支店長の不正販売の事実を把握しており、現在、問い合わせ中。この件は追って報じるつもりだ。

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1. 現役販売員告発――「スマホ値引き」禁止等10・1改正は不正契約(全契約の7割!?)是正のため
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