3月期決算企業の中間決算発表が増えていますが、想定通り、台風災害や土木建設に関連する企業の上方修正が続いています。その一方で製造業は振るいません。(『億の近道』街のコンサルタント)
20数年間を金融(主に証券)会社で過ごし、投資銀行業務や事業育成の業務を担当。「金融機関に籍を置く(安全な)立場で客観的なことを言うより、いっそのこと経営者と同じ立場で事業拡大のお手伝いを出来ないものか」と思い立ち、2005年春に証券会社をリタイアしてコンサルティング会社を設立。
3月期の中間決算発表の真っ只中、ここまでの状況は…
好決算に株価も反応、待機資金の多さを実感
先週から3月期決算企業の中間決算発表が増えていますが、想定通り、台風災害や土木建設に関連する企業の上方修正が続いています。
期初から公共土木や建設の活況(受注消化)が予想されていたにも関わらず、早くから好業績予想を出すと僻まれるし、値切られては困るので控え目予想を出していたところに大型台風被害による防災関係の受注が増えたのですから、土木・建設業界の上層部もエサをもらっている族ゴキブリも大喜びしていると思います。
株価もそれなりに反応していますので、待機資金の多さも感じます。
その一方で製造業は振るいません。
中国のように政府からの大型支援も見込まれず国内競争も激しい業界ですから、受注減と円高のダブルパンチです。とは言え空売りも交えて大幅に下げていたためか、多少の減益程度なら買い戻される銘柄も多いです。
昨年の高値から想定以上に売り込まれていた銘柄も多いようで、ショートカバーが入ると結構戻します。私もこの春以降に仕込んでいたいくつかを利益確定しました。
先月のメルマガで、
「何となく、米中両政府が妥協して景気回復に繋がる…という楽観的見通しは余りに甘すぎるのではないかと。仮に妥協した場合でも小粒な程度に留まり、米中対立が何時までも燻り続けると想定されます」
…と書きました通り、識者によって予想はさまざまなものの、どちらに転んでも余り楽観的にはなれません。トランプ氏の劇場相場もそろそろ終焉と考えていますから。
日経平均株価2万3,000円で東証一部の時価総額は約620兆円にもなります。日立系とホンダ系部品会社の合併のように、割安とされる「M&A期待銘柄」は気になりますが、どちらかと言えば、これからは指数が上がると言うより物色対象に変化が出て来るのだと思います。
ここ数週間は日経ヴェリタスでもREITの記事が多かったように、利回りを取れる投資先が乏しいため、消去法的な投資がクローズアップされているように感じます。配当利回りが高い銘柄も徐々に株価を上げています。
Next: 何億円もの着服が隠蔽…郵便局の杜撰な犯罪対策
郵便局員による切手着服事件、着服額=利益の減少
それにしても先週のニュース、郵便局員による切手着服事件には驚きました。
簡単に犯罪が発生する仕組みが温存されたままに何億円もの着服が隠ぺいされていました。遥か以前から(少数でしょうが)全国の郵便局でも同様の犯罪があったと思います。
ストレートに「着服額=利益の減少額」ですから、これでは郵便事業の利益が上がらない訳です。郵便事業に関しては横領など昔から様々な犯罪が明るみに出ています。その原因が管理の杜撰さに由来することは関係者皆が承知していたはずですが、ほとんど改善が為されないまま今に至っているようです。
先月末に郵政銘柄の不安について書きましたが、今週の週刊ダイヤモンドでは日本郵政の大型減損リスクについて書かれています。将来の利益減少懸念や含み損の実態が一般投資家の目に触れる機会が増えるほどに、株価への影響が大きくなるのでしょう。
どんな事件や事故が起こっても改善されない呆れた(既得権と汚職の)組織。真面目な現場職員に加えて、国民に対しても、どれほど負担を掛けているのかと思います。
そしてデジャヴュを感じます。厚労シロアリの巣窟、日本年金機構(旧社会保険庁)です。ゴキブリが時間とカネの無駄遣いをしているうちに年金債務も拡大し続けます。
image by : ZoranOrcik / Shutterstock.com
『億の近道』(2019年11月8日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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