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成長株とバリュー株は、どちらの運用効果が高いのか?評価されない銘柄に注目するワケ=炎

株式投資に必要なのは忍耐。どんな銘柄でも潮流に乗らずに動きのない時期は結構長く続きます。なかなか評価されない企業には、どんな理由があるのでしょうか。(『億の近道』炎のファンドマネージャー)

プロフィール:炎のファンドマネージャー(炎)
小学生から証券会社に出入りし、株式投資に目覚める。大学入学資金を株式の利益で確保し、大学も証券論のゼミに入る。証券会社に入社後は一貫した調査畑で、アナリストとして活動。独立系の投資運用会社でのファンドマネージャーの経験も合わせ持つ。2002年同志社大学・証券アナリスト講座講師を務めたほか、株式漫画の監修や、ドラマ『風のガーデン』(脚本:倉本聰)の株式取引場面の監修を行う。

このタイミングでのバリュー株研究が役立つかもしれない

IR活動の差が株価に与える影響は小さくない

株式投資に必要なのは忍耐。どんな銘柄でも潮流に乗らずに動きのない時期は結構長く続きます。

株式を発行している企業側に投資家の気持ちを思いやる意識があれば、その時期はそう長くは続かないのかも知れませんが、多くの企業はわが道を行くという経営が圧倒的で株価を意識する経営に心がけている企業は限られているのかも知れません。

株式市場には投資家から高い評価を受けている企業と、なかなか評価されずに低評価に甘んじている企業とに二極化した状態が見られます。

高評価となればPERは50倍や100倍といった極端な評価になりますし、低評価となると5倍や7倍と極端に低い評価となっています。

PERは株価を年間の一株当たり利益(EPS)で割って算出されますが、PERが100倍となればその利益の100年分の価値を示していますが、5倍だと5年分の価値しかないという評価です。つまりこの企業には5年間しか利益を生み出す能力しかないと言われているようなものです。

一方PBRは過去の蓄積された資産価値をベースにした評価で解散価値を示しています。通常はPBR1倍がボトムとされますが、市場の平均値は1倍がボトムで通常は1.2倍から1.3倍という水準となります。

これも中には10倍、20倍と評価されている銘柄もあれば0.3倍とか0.5倍に甘んじている銘柄もあります。

投資家はこうした指標を見比べて割安感のある銘柄に投資したりしますが、そうした運用スタンスによる運用成果が必ずしも高いと言う訳ではありませんが、時間はかかるとしても結果としては運用成果を比較的安定的に高めることができるという点を、ご理解頂ければ幸いです。

つまりバリュー株を研究し、その投資チャンスを窺うスタンスで臨むことが成果をもたらすという私の持論ではあります。

成長株投資とバリュー株投資、どちらに高い運用成果がもたらされるのかは永遠のテーマかも知れませんが、株式投資の王道は成長株投資である点は過去から現在も不変ですし未来においても変わりはないでしょうが、成長株の欠点は既に一定のプレミアムがついていることにあります。

成長株というレッテルを貼られた銘柄も投資タイミングを誤ると大きなキャピタルロスを発生させる場合もあり、そうした視点でいけば、中期的に安定した運用成果が期待されるバリュー株にも大いにリターンを高めるチャンスがあると私は考えています。

最近の内田洋行株の急騰、ウエスコHD株の季節外れの株高などが示しているバリュー株投資の視点。この点で一大勢力となっている年間1,000億円の有価証券投資を行う光通信の運用も、こうした視点で成果がもたらされようとしているのではないかと思われます。

皆さんも低迷気味のバリュー株をしっかりと研究されて、成果を高めて頂きたいと考えます。

Next: バリュー株がなかなか評価されない背景はどこにあるのか?



バリュー株事例:日創プロニティ<3440>の場合

Qボードからマザーズに昇格したLibWork<1431>が株価急騰を演じているのに対して、Qボードから東証2部に昇格した日創プロニティ<3440>株は元気がない

これは前者が今期増収増益で、しかもIT×住宅というテーマを掲げてトップ自らが積極的にプレゼンを行い成長指向を鮮明にしているのに対して、後者のアピール度が不足していることに起因しているのだろうと推察される。

何しろ同社は東証2部上場後、一度もアナリスト向けの説明会を開催していない。しかも日創プロニティの今期業績見通しは減収減益。いくらPERが低いとしても、投資家は減益株にリスクテイクする意欲は薄い。

LibWorkの今期予想PERは26倍。一方の日創プロニティの今期予想PERは5.5倍。PBRに関してはLibWorkが6倍を超えているのに対して日創は0.6倍。ここまで格差がついても時の勢いでもあり、後者にはIRへの不熱心さなどのネガティブな評価がつきまとう

そうは言っても、企業の静かな言い分にも耳を傾ける必要はある。

つまり日創プロニティにも成長に向けた意欲はある。前期はたまたまソーラー用架台の大型プロジェクト向けの設置・販売があったため大きく業績が伸びた結果、その反動で今期は減益となるもの。この結果、投資家の関心が短期的に薄れているという現状はあるが、50億円という枠を設けたM&Aへの取り組みは同社の成長指向の一端を示唆してくれる。

過去3年間に同社は有力3社をM&Aで傘下に収めており、その効果は売上高に31億円、営業利益に4億円分寄与。それに対する投資は14億円余りだったので、とても効率の良いM&Aを行ったことがわかる。

ここまでの話ではまだ評価できないという投資家も多いに違いないが、問題は同社の次のM&Aや成長に向けた意欲にある。次の50億円枠のM&Aでは一体どんな会社を標的にしているのか…。また、次の中期計画で示される業績計画はどういうものとなるのか。

PER5.5倍、PBR0.6倍、配当利回り3%(配当性向16%)という同社株をさらに研究することにしたい。

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image by : Lightspring / Shutterstock.com

億の近道』(2019年12月16日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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