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迫る中小企業の廃業ラッシュ。事業承継アンケートで見えた「親族に任せられない」事情=奥田雅也

エヌエヌ生命が行った「事業承継」についてのアンケートから、日本の中小企業が抱える多くの問題点が透けて見えます。このままでは廃業ラッシュに突入します。(『奥田雅也の「無料メルマガでは書けない法人保険営業ネタ」』奥田雅也)

※本記事は有料メルマガ『奥田雅也の「無料メルマガでは書けない法人保険営業ネタ」』2019年12月24日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:奥田雅也(おくだ まさや)
事業(医業)経営に関する生命保険・損害保険活用術に精通し、過去20数年間で保険提案した法人数は2,500社以上。現在は大阪を拠点として保険代理店経営・保険営業を行うかたわら、年間60回程度の講演や、業界紙・本などの執筆、コンサルティング業務を展開中。著書に『ここから始めるドクターマーケット入門』(新日本保険新聞社)『法人保険販売の基礎』(電子版・保険社)など。

いちばんの心配事は「親族の従業員」? 事業承継が難しいワケ

跡継ぎ問題、現場の本音は?

エヌエヌ生命が、中小企業経営者500名とその家族500名に対して行った「事業承継に関する調査」をホームページ上で公開しています。
※参考:『事業承継に関する調査』の調査結果を発表(PDFファイル)- エヌエヌ生命(2019年11月21日配信)

この調査結果は、現場で感じている印象と近いものがありました。今回は、この調査結果を細かく見て行きます。

<誰に事業承継したい?>

事業承継をさせたい方の1位は「親族である取締役・役員」2位は「任せられるものがいない」「親族でない取締役・役員」が同率でした。

1位はともかくとして、2位が同率なのはうなずけます。

<事業承継について話し合ってる?>

次に事業承継に関する話し合いの有無については、

話し合ったことがある:49.5%
話し合ったことがない:50.5%

という、非常に微妙な結果です。

個人的には、思ったよりもしっかりと話し合いがされているなという印象です。もっと話し合ったことがない方が多いのかと思っておりました。

<事業承継でいちばん大事なことは?>

そして興味深いのは、事業承継に関する話し合いで「もっとも重要な項目」を問う質問で、

1位:経営者としての思い・会社のビジョン
2位:財務

という内容でした。

事業承継において、思いやビジョンといった「理念の承継」が最優先事項です。

これが1位なのは当然ですが、2位に財務が来ている点は、財務状況に不安を抱えている中小企業が多いのが実状でしょうか?

やはり事業運営上、適正な流動資産(特に現預金)が必要なことは間違いありませんから、後継者と生々しい話をしていることが想像できます。

Next: いちばんの心配事は「親族の従業員」? 事業承継が難しいワケ



いちばんの心配事は「親族の従業員」

そして面白いのが、経営者が抱える事業承継に対する不安度がもっとも高い事業承継相手は、「親族である従業員」でした。

役員にしていない親族従業員を後継者とし希望している段階で複雑な事情を想像してしまいますが、このあたりに事業承継の困難さが垣間見れると思います。

なお、実際に配偶者やご子息で経営に関与している割合を見ると、
配偶者が関与している割合:56.4%
ご子息が関与している割合:32.8%
となっています。

「子どもに関わらせたい」と思えるには、ある程度の将来性財務内容が必要なのでしょう。

その見通しがあまり良くない中小企業が多いことを、この調査結果は示しているのではないでしょうか?

受け継ぐ側がいちばん嬉しい資産は?

最後に経営者の配偶者や子どもからみた「相続財産として好ましい資産」の1位は、やっぱり「現金預金」で、配偶者の2番目は「死亡保険金・死亡退職金」でした。

なお、子どもの2位は「不動産」で、「死亡保険金・死亡退職金」は5位でした。

特に配偶者から見た場合、その後の生活資金などを考慮して、現預金や死亡保険金・死亡退職金を期待していることは事実のようです。

以上、調査結果を抜粋して見てきましたが、冒頭で書きました通り、現場で経営者からの相談に
対応している感覚と非常に近しいものがあり、「やっぱりそうか」というのが私の感想です。

そもそも継ぎたい会社になっていない

特に「後継者がいない」と悩んでおられる経営者のうち大半が、「継ぎたい会社」になっていないという実態があると思います。

将来性もあり、安定した経営ができるだけの財務力があれば、極端に言えば「継ぎたい」
と誰かが思うでしょうから、その瞬間に事業承継問題は完了したといます。

もっと言えば親族や親族外の役員や従業員が「継ぎたい」と思える会社にすることが、事業承継問題の根幹の様に私は思っています。

Next: 跡継ぎ問題の解決方法は「継ぎたい」と思われる会社にすること



「継ぎたい」と思われる会社にすること

少子化・高齢化の中で、市場が縮小していく展望で、銀行借入や役員借入が多額に残っている会社を「継ぎたい」と思う人がどれだけいるでしょうか?

さらに同業他社から「買いたい」「欲しい」と思える会社であれば、急な相続・事業承継が発生しても、株式を売却するという選択肢も生まれてきます。

そう考えますと、事業承継対策の根幹は、継ぎたいと思える法人にすることではないでしょうか?

そんなことを感じた調査結果でした…。

そのために私は保険営業という立場で、有事の際に家族や会社が困らないだけの生命保険金を準備しておくことは当然ですが、その準備のための保険料を捻出できるだけの財務的なアドバイスであるとか財務改善へのお手伝いをすることが求められているように感じます。

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  • 逆選択を考える(12/11)
  • 事業承継に関する調査から(12/4)

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image by:marino bocelli / ShutterStock.com

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『奥田雅也の「無料メルマガでは書けない法人保険営業ネタ」』(2019年12月24日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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