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また一部利権者が儲かるのか?中小事業者8割はオリパラ実施で「売上・客数減」予想

今年の夏に開催される東京オリンピック・パラリンピック。 東京都オリンピック・パラリンピック準備局は、「東京2020大会開催に伴う東京都の需要増加額は、直接的効果で約2兆円、レガシー効果で約12兆円、合計で約14兆円」と発表していますが、全国の中小事業者はどのような効果を見込み、どのような準備を行っているのでしょう。

中小事業者の調査・研究開発部門「エキテン総研」が全国の店舗関係者に対して実施した、「東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて準備していること」についての調査結果を紹介します。

中小事業者の8割以上が「売上・客数増に期待していない」

全国の中小事業者においては、東京オリンピック・パラリンピック開催による売上・客数増に8割以上が期待していないという結果となりました。

期待していないと回答した店舗は、「開催場所が近くにない」、「訪日外国人や国内旅行客が利用する業態ではない」、ということを理由としてあげています。また、「渋滞や交通規制」「テレビ観戦する人が増える」ことへの懸念から客数・売上減になるのではないかと回答した店舗も一定数いました。

一方、期待していると回答した店舗は、「景気が上向くから」「訪日外国人が増えるから」を理由としてあげています。また、期待していると回答した店舗のうち、東京オリンピック・パラリンピックに向けて集客・販促の取り組みを実施している・これから実施すると回答した店舗は約6割で、取り組みの実施により、すでに約4割の店舗が「売上または客数が増加した」と回答しています。

56年ぶりに東京を中心に開催される世界的スポーツの祭典。商機と捉えている中小事業者は2割程度にとどまり、すでに集客対策を実施している店舗と無関心を示す店舗との盛り上がりの差が見て取れる結果になりました。

Next: 経済効果、期待薄?行政とは異なる店舗側の声



開催会場を有する都道府県の店舗も77%が売上・客数増を「期待していない」

1.開催会場を有する都道府県に所在する店舗の回答

2.開催会場を有さない都道府県に所在する店舗の回答

開催会場を有する都道府県(茨城県、宮城県、埼玉県、神奈川県、静岡県、千葉県、東京都、福島県、北海道)においては約23%が期待していると回答、開催会場を有さない都道府県では約15%が期待していると回答し、若干の差はあるものの、開催会場を有する地域でも7割以上の店舗が客数・売上増に期待していないと回答していることが分かります。

逆に減りそう…。売上・客数増に期待できない理由

東京オリンピック・パラリンピック開催による売上・客数増に期待していない、と回答した店舗は、半数以上が「開催会場が近くにないから」「観光客が利用する業態でないから」を理由として回答。やはり、地域・業態よる盛り上がりの差がありそうです。フリーコメント内でも、多くの店舗が「自店舗とは関係がない」「地方なので縁が薄い」と無関心を示しました。

また、開催会場のある都道府県に所在する店舗からは「テレビ観戦する人が増え、客数が減る」「渋滞などのイレギュラーな現象で売り上げに響く」など、むしろ売上・客数減になると懸念する声もあがりました。

フリーコメントの一部
・逆にお客様が会場に出向いてしまいお客様が減ってしまうかもしれない。ラグビーワールドカップのときがそうだった(千葉県/飲食店)
・オリンピック開催期間はTV視聴のためむしろ来店減少している実績データがある(岐阜県/整体院)
・道路規制による売り上げ減が予想されるから(神奈川県/花屋)
・東京圏と札幌以外ではほぼ関係ないでしょう(大阪府/リサイクル店)
・都内混雑により顧客の足が遠のくことに不安がある(東京都/鍼灸院)

一方、開催会場のある都道府県に所在する店舗はもちろん、開催会場のない都道府県に所在する店舗でも、「売上・客数増に期待している」と回答している店舗も一定数いることが、以下のアンケート結果から見えてきます。

健康・スポーツ関連事業は「売上・客数増に期待」

売上・客数増に期待している理由として、半数以上の店舗が「景気が上向くから」と回答し、オリンピック・パラリンピックの経済効果に期待している中小事業者が一定数いるという結果に。

また、開催会場のない都道府県でも、大会をきっかけとして訪日外国人や国内観光客が訪れることを期待している店舗がいることが分かります。その他にも、「健康意識の高まりによって来店が促進される」「オリンピック競技種目の受講が増える」など、業態によっては集客を期待している店舗のコメントもみてとれました。

フリーコメントの一部
・体操が盛り上がれば、体操したいという子どもたちが増える可能性がある(大阪/運動・体操教室)
・東京から脱出する方が多くなると思うから。(長野県/美術館)
・ワールドカップラグビーカナダ代表事前合宿に参加して、選手からサインが送ってきて受付に飾っていたら、効果がある(山口県/リラク・ボディケア)
・スポーツ鍼灸が必ず取り上げられるから(山形県/鍼灸院)
・旅行支度での購買が見込める(広島県/衣料品店)
・来日外国人に対してのコミュニケーションツールとして英会話教室へ通う方が増えた(日常会話中心のレッスン 道案内等)(神奈川県/英会話教室)
・健康への意識も高まる・「東京2020応援プログラム」に応募し、参画する。(東京都/整体院)

Next: 東京オリンピック・パラリンピックに向けた各店舗の集客・販促の取り組みは?



大会に向けた集客・販促の取り組み、「キャッシュレス決済」がトップ

東京オリンピック・パラリンピック開催による客数・売上増に期待している店舗のうち、約6割の店舗が「集客・販促に取り組んでいる」もしくは「これから取り組む予定」と回答。

すでに取り組みを実施していると回答した店舗のうち約半数が、「キャッシュレス決済を導入した」と回答。また、「Wi-fiを設置した」「外国語メニューを作成した」「外国語を勉強した」など、外国人旅行客の方へのサービス環境を整備していることが分かる結果に。

今後、取り組みを実施する予定と回答した店舗については、キャッシュレス決済導入についで、「外国語メニューを作成する」「日本の文化を押し出したサービス・メニューを用意する」と回答。オリンピックを機に日本を訪れる外国人の方に喜んでいただけるサービスやメニューを提供したい、という経営者の思いを感じることができます。

実施中の取り組みの効果、6割が「変化なし」


すでに実施している取り組みについては、約4割の店舗が「かなり喜ばれている」「喜ばれている」と回答。また、同じく4割の店舗が「売上または客数が増えた」と回答。東京オリンピック・パラリンピックまで半年以上ありますが、すでに4割の店舗が効果を実感していることが分かります。

東京オリンピック・パラリンピック終了後については、約6割の店舗が訪日外国人・国内旅行客を継続的に集客できると回答。一時的な盛り上がりだけではなく、2020年8月以降も継続した集客を見込んでいる店舗が一定程度いるようです。

56年ぶりに東京を中心に開催される東京オリンピック・パラリンピック。中小事業者においては、開催場所が遠く、観光客などが利用する業態でない店舗の多くが無関心を示しました。一方、開催地域以外でも商機ととらえ集客・販促施策に取り組む店舗もいるようです。

大会開催まであと半年。中小事業者をふくめ日本全国でどのような盛り上がりをみせ、どのくらいの経済効果が見込めるのか、今後の動向が注目されます。

source: PR TIMES
image by:Unsplash

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