マネーボイス メニュー

泥沼の実体経済と上がる株価、なぜ乖離?この先の絶望を前に守るべき「投資16箇条」=栫井駿介

今ほど実体経済と株価の間に乖離を感じたことはありません。経済指標は泥沼にありながら、日経平均は2万円台を回復しています。このあと、絶望がやってくる可能性を考えておくべきです。(『バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』栫井駿介)

プロフィール:栫井駿介(かこいしゅんすけ)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。

緊急事態宣言下で日経平均は2万円台を回復

今ほど実体経済と株価の間に乖離を感じたことはありません。

新型コロナウイルスに係る緊急事態宣言が続くなか、4月の日経平均株価はプラスで終えました(※原稿執筆時点5月3日。足元では2万円台まで回復しています)。

日経平均株価 日足(SBI証券提供)

一方で、経済指標はまさに泥沼です。米国1-3月期のGDP速報はマイナス4.8%(年率)と、リーマン・ショック以来の下落幅を記録しました。ただし、ニューヨークで自宅待機要請が出たのが3月22日ですから、1-3月期に与える影響は大きくないはずです。

5月に入っても自宅待機が終わる見通しが立っていませんから、4-6月期の数字はとてつもなく悪いことが想定されます。おそらく、統計を取り始めてから最悪の数値になるのではないでしょうか。

なぜ株価は上がる? この先は「絶望」がやってくる可能性も…

そんな中で、なぜ株価は上昇するのでしょうか。

明確な説明はできませんが、これが株価の特性です。3月にかけて大きく下がりましたから、一旦は売りの勢いがなくなってきます。そこで上がり始めると、まず目の前の上昇で少しでも利益をあげようとする人が現れ、それを見た人がさらに買いに参戦します。

最初は慎重だった人もやがて乗り遅れまいと買うようになり、最後に自分が考えを翻して買いに回ったところで、もう買いたい人がいなくなり再び暴落するのです。

参考になるツイートも出ていました。

私たちは、このグラフを頭に入れて行動しなければなりません。このあと、絶望がやってくる可能性があるのです。

Next: 未曾有の危機に対し、私たちはどのように行動すべきでしょうか――



投資で失敗するのは、原則を破ったとき

未曾有の危機に対し、私たちはどのように行動すべきでしょうか。

私は、どのような状況にあっても原則は変わらないと思います。まして、数年、数十年単位の長期投資を行っているのですから、1年程度でそれを翻すのはもってのほかです。

投資で失敗するのは、原則を破ったときです。多くの著名投資家がそう語っています。

「痛い目にあうのはいつも、自分が決めたルールを守らなかった時」

ジェシー・リバモア

「時代遅れになるような原則は、原則ではない」

ウォーレン・バフェット

そこで、私が運営する「つばめ投資顧問」の投資の原則を改めて整理してみました。

つばめ投資顧問「投資16箇条」

買いの3箇条

  1. 売る必要のない優良銘柄を買う
  2. 本質的な価値より安く買う
  3. 株価が下がっている時に買う

売りの3箇条

  1. 優良銘柄でないと判断したら売る
  2. 割高になったら売る
  3. より良い銘柄があれば入れ替える

優良銘柄の条件

  1. 長期的な利益成長が期待できる
  2. 「経済の堀」を持つ
  3. 経営者に成長意欲がある

継続の重要性

  1. どんなことがあっても諦めずに続ける

資金管理

  1. 毎年の予算を設定し、その範囲内で投資する
  2. 1回の購入は資産の10%以内、1銘柄で30%以内
  3. 年2~3回のチャンスに備えて資金を確保する

精神管理

  1. 日々の株価の動きを気にしない
  2. 含み損・含み益は重要ではない
  3. 「自分は間違う」ことを忘れない

上記を徹底し、長期的に市場平均を上回るリターンを目指す。

いかがでしょうか。改めて整理してみることで、私としても決意が新たになりました。この原則を忘れずに、波乱が予想されるこれからの相場に臨んでいきたいと思います。


つばめ投資顧問は、本格的に長期投資に取り組みたいあなたに役立つ情報を発信しています。まずは無料メールマガジンにご登録ください。

※上記は企業業績等一般的な情報提供を目的とするものであり、金融商品への投資や金融サービスの購入を勧誘するものではありません。上記に基づく行動により発生したいかなる損失についても、当社は一切の責任を負いかねます。内容には正確性を期しておりますが、それを保証するものではありませんので、取扱いには十分留意してください。

【関連】コロナ危機、7月の収束を予想する投資家が65%?2020年末までの両極2シナリオとは=吉田繁治

【関連】なぜ上場企業は内部留保460兆円を使って休業しない?緊急事態宣言でも消えぬ満員電車=今市太郎

【関連】天才投資家ジム・ロジャーズが警告「成功したいなら誰の言うことも聞いてはならない」=俣野成敏

image by:goffkein.pro / Shutterstock.com

バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』(2020年5月3日号)より
※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

無料メルマガ好評配信中

バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問

[無料 ほぼ 平日刊]
【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。

シェアランキング

編集部のオススメ記事

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MONEY VOICEの最新情報をお届けします。