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天才投資家ジム・ロジャーズが対コロナ財政政策を猛批判「日本から脱出すべき」=花輪陽子

春節前と3月中旬の2度、世界三大投資家のひとりのジム・ロジャーズ氏にインタビューを行い、『ジム・ロジャーズ 大予測:激変する世界の見方』(著:ジム・ロジャーズ/翻訳:花輪陽子, アレックス・南レッドヘッド/刊:東洋経済新報社)を出版しました。前回に引き続き、コロナ危機により変わり果てた世界経済を天才投資家はどのように見ているのか。そのエッセンスを紹介します。(『花輪陽子のシンガポール富裕層の教え 海外投資&起業実践編』花輪陽子)

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プロフィール:花輪陽子(はなわ ようこ)
外資系投資銀行を経てFPに。2015年からシンガポールに移住。ジム・ロジャーズ著『日本への警告 米中朝鮮半島の激変から人とお金の動きを見抜く』(講談社+α新書)をインタビュー監修。『シンガポールで見た日本の未来理想図』(講談社+α新書)『夫婦で貯める1億円!』(ダイヤモンド社)など著書多数。「ホンマでっか!?TV」「有吉ゼミ」などテレビ出演や講演経験も多数。

「恐怖」に支配された相場・経済に打つ手なし

新型コロナウィルスの影響で、アメリカの失業保険申請件数は、非常事態を宣言した3月中旬から6週間で3,000万件を突破しています。実に6人に1人以上もの人が職を失ったことになります。

アメリカでは3兆ドル(約320兆円)にも及ぶ経済対策がなされていますが、約13万円の現金給付も焼け石に水です。水道が止められている世帯も多いという報道も出ています。

「リーマン・ショック時は、まず金融危機が起こり、その後、金融から製造(2次産業、生産)、そしてサービス(3次産業、消費)という流れで経済が悪化した。最初に金融危機が発生したことでお金がまわらなくなり製造業が危機に陥った。生産が落ち込んだことで消費が悪化、サービス業も打撃を受けた。今回の経済危機は、それとは逆の流れで危機が広がっていくだろう。まず消費やサービスが落ち込み、企業業績が悪化、それが金融不安につながっていく」。

ジム・ロジャーズ氏は金融危機から株式が再暴落した場合、しばらく元には戻らないだろうと言います。

image by:原隆夫

「一番の問題は、次のブル相場がいつ来るかは予想できないことだ。それは今年かもしれない、あるいは君のまだ生まれていない子どもが大人になった40年先になるかもしれない」。

政府のばら撒き政策が最悪の結末を生む

アメリカが3兆ドル(約320兆円)、ドイツが1兆1,000億ユーロ(約130兆円)、そして日本も117兆円もの大型規模の政府支出を決め、中央銀行も無制限に金融緩和を続けています。

ロジャーズ氏は中央銀行の政策に警告を鳴らします。

「仮に、ラリーが起こったとしても、それはきわめて人工的に作られたもので、最終的には事態を悪化させるだけのひどい政策だ。根本的な解決を後回しにして、債務は増える一方。実態のない投資マネーだけがどんどん膨張し、最悪な結末になることは目に見えている。政治家はメディアに悪く言われたくない、来週の演説や次の選挙にしか興味がない。これが最大の問題なのだ」。

Next: そんな中、この政策に「NO」という富裕層の日本脱出が進んでいます――



日本人富裕層の日本脱出計画が進む

そんな中、この政策に「NO」という富裕層の日本脱出が進んでいます。

庶民はひとり一律10万円の給付に喜び、その使い道を考えます。しかし、このお金はいずれ誰かが払う必要があるのです。それは、富裕層であり、子ども達です。

富裕層の間では日本円から米ドルや金の現物に変えたり、銀行を分けたりする流れが加速しています。ロジャーズ氏は繰り返し、「10歳の日本人の子どもなら日本から脱出したほうがいい」と言います。

子ども達がツケを払うことになるのです。

ジム・ロジャーズの新刊『ジム・ロジャーズ 大予測:激変する世界の見方』のインタビューアーであるモンラッシェ・キャピタル、シニア・バイスプレジデントのアレックス・南レッドヘッド氏はシンガポール在住で、ファミリーオフィスサービスを行っています。ファミリーオフィスとは富裕層の移住や教育など生活周りから資産運用や税務アドナイスなども行うサービス業です。

アレックス・南レッドヘッド氏によると、新型コロナウィルスの発生後に日本を脱出してシンガポールを目指そうと考えている人が増えていると言います。FPである私も富裕層から移住や資産運用の相談をここ最近で何件か受けています。

3月中旬に日本国債は暴落をし、長期金利が上昇する局面がありましたが、無限にお金を擦り続けていては、国内で国債が消化できない日が来る可能性が高まります。

ロジャーズ氏は、市場関係者が中央銀行を信用しなくなれば、MMTも誰も救ってくれないと言います。現在、日本円やスイスフランはかろうじて強さを維持していますが、それもいつまで続くのか分からないことです。

今回のコロナ経済対策は、日本国債の格付けにも影響を与える可能性が高いでしょう。

ロックダウンが長引けば、財政政策をしても焼け石に水

ロジャーズ氏は、ロックダウン(都市封鎖)が長期化すれば経営危機に陥る企業は間違えなく増え、日本企業も例外ではないと言います。政府が企業向けや個人向けに行っている財政政策は綱渡りでしかなく、限度があるからです。

「こういった状況で一番弱い企業は債務の多い企業だ。逆にキャッシュに余裕のある会社は、生き延びることができる。テクノロジー産業など、比較的新しい産業は債務が少ない」。

ロジャーズ氏は続けます。

「日本では、当初、中国との関係が深い企業が受けるダメージが大きいと思われていた。ユニクロや無印良品など、小売りや飲食店などで中国に進出している企業は、現地店舗が休業を余儀なくされた。また、観光やインバウンドで好調だった企業も大きな痛手を受けている。訪日客の減少は、ホテルチェーンや百貨店、ドラッグストア、化粧品業界などにも影響している。しかし、いまや混乱は中国にとどまらず全世界に拡大している。痛手を被る企業の範囲は広がっている」。

シンガポールでは自粛が6月1日まで延長されましたが、日本の多くの自治体で緊急事態宣言も延長する方向性です。

Next: 「自粛がいつまで続くのか、先が見えない状況では、やはり債務の少ない企業――



日本の自動車産業も大きな傷を負う

「自粛がいつまで続くのか、先が見えない状況では、やはり債務の少ない企業ほど生き残る可能性は大きいが、それにも限度がある。さらに、ここへ来て、一連の危機はサービス業から製造業にも広がっている。その象徴が自動車産業だ。中国から始まった危機は、アメリカやヨーロッパ全域、東南アジア、アフリカなど全世界に拡大。各地で経済活動を停止させ、日本を代表する産業である自動車産業も深刻な影響を及ぼし始めている」。

日本の自動車産業にとって最重要な米国市場が立ち直らないと、メーカーに与える影響は深刻なものになります。

「自動車は裾野が広く、就業者数の面からも日本経済を支える産業だ。自動車メーカーの業績が落ち込めば、その下請けや周辺産業を含めた国内の雇用に大きな悪影響が及んでしまう」。

このように、経済がバブルから突然急停止し、真っ逆さまに急降下しました。実体経済への影響は多大なものです。危機の収束が1年2年と続けば、オリンピックも開催できるどころではないかもしれません。また、自由に国を開くことができるのには相当な時間がかかる可能性も高いです。

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新刊情報:ジム・ロジャーズ著『大予測:激変する世界の見方』

この記事の著者・花輪陽子さんがインタビュー・監修した書籍『ジム・ロジャーズ 大予測:激変する世界の見方』(著:ジム・ロジャーズ/翻訳:花輪陽子, アレックス・南レッドヘッド/刊:東洋経済新報社)が出版されました!ぜひお手にとってご覧ください。

ジム・ロジャーズ 大予測:激変する世界の見方
著:ジム・ロジャーズ/翻訳:花輪陽子, アレックス・南レッドヘッド/刊:東洋経済新報社

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本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2020年5月11日)
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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