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米国「抗議デモ」は内戦の序章か。警察が踏み込めない自治区チャズの誕生と彼らの要求=In Deep

米国で5月下旬から続く混乱は、一般的には黒人差別への「抗議デモ」と報道されています。しかし現地では、複雑な背景をもった内戦・革命・反乱のどれかと認識されています。今回はシアトルに誕生した警察も踏み込めないキャピトルヒルの自治区「チャズ」を紹介するとともに、暴動が続く理由について考察します。(『In Deep メルマガ』In Deep)

※本記事はブログ『In Deep』2020年6月13日配信記事の一部抜粋です。有料メルマガ『In Deep メルマガ』では、ブログでは公開できない極秘ネタも配信中!ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:In Deep
本名:岡 靖洋。1963年生まれ、北海道出身。明治大学経営学部中退。23歳の時に表現集団「self23」の活動を開始。「人生の定年は30歳」という幼少時からの指標通りに、その年齢となった1993年より国内外で隠居行動を始める。人気ブログ『In Deep』を運営。

カオスの中のアメリカに広がる「自治区」

アメリカで5月の下旬から始まった混乱は、一般的には「抗議デモ」という報道がなされています。しかし、アメリカにおいては以下のどれかであるか、あるいはその始まりの一部だと思われています。

・内戦
・革命
・反乱

いずれにしても、混乱は続いており、すでにアメリカでの逮捕者は1万人規模となっていて、1992年の暴動と変わらない混乱ぶりとなっているようです。

ただ、この混乱に「何らかの背景が存在する可能性」については、たとえば以下の記事などでも取りあげました。

【関連】粛々と扇動される内戦 : 暴動を鎮圧するための米連邦法である「反乱法」がアメリカで28年ぶりに発令される可能性がある中、全米で見出される不可解なこと – In Deep(2020年6月2日配信)

とはいえ、今の時点では、この混乱が抗議デモなのか、内戦の始まりなのか、革命なのか、それとも目的のない反乱なのかはわかりません。しかし、「方向性」のひとつを示すような事態が起きています。

アメリカのワシントン州にあるシアトルにおいて、「市民が一帯を占拠して《自治区を宣言》」したのです。

日本でも、以下のように報じられていました。6月12日の日本経済新聞の報道です。

米西部ワシントン州シアトル市で、黒人差別に抗議するデモ隊が警察署周辺を取り囲み「自治区」の設立を宣言した。11日までに警察が占拠された地域での業務を一時中断する一方、トランプ米大統領がデモ隊を「無政府主義者」と呼んで州知事や市長に「即時奪還」を求めるなど混乱が続いている。

米メディアによると、警察署周辺に数百人のデモ隊が集まり、6ブロックを自治区に設定した。この地区に通じる道路をバリケードでふさいでいる。ただ、略奪行為などはなく、平和的な抗議活動が中心となっているとの指摘がある。

出典:米シアトル、デモ隊が「自治区」大統領は強硬策示唆 – 日本経済新聞(2020年6月12日配信)

この報道にはないですが、自治区には、占拠早々に「名称」がつけられました。

占拠した場所が、シアトルの「キャピトルヒル」という場所を中心としていたために、この自治区(自治ゾーン)は、「キャピトルヒル自治区(Capitol Hill Autonomous Zone)」と名づけられ、この英語のCapitol Hill Autonomous Zoneの頭文字をとって、「CHAZ(チャズ)」と呼ばれるようになっています。

自治区「CHAZ(チャズ)」の誕生

アメリカの報道によれば、シアトルのある一帯を占拠したチャズのメンバーは、以下のような要求を当局に掲げたとのことです。要求は30項目に及びますが、その最初の7つを(現地報道を翻訳して)ご紹介しておきます。

CHAZの要求

1. シアトル警察と裁判所制度の廃止を要求する。我々は、警察制度と司法制度の改革を求めるのではなく、完全な廃止を求める。

2. シアトル警察の解体までの移行期には、武力の使用を全面的に禁止することを要求する。

3. シアトルの人々が黒人所有のビジネスを探し、サポートすることを要求する。

4. シアトル市政府やワシントン州政府ではなく、アメリカの連邦政府がシアトルとワシントンで過去および現在の警察による残虐行為の事件について全面的な調査を開始することを要求する。

5. 警察の残虐行為による犠牲者への補償の具体的な決定を要求する。

6. 暴力犯罪のために現在刑務所に服役しているすべての有色人種に対して、我々のコミュニティ内の仲間の陪審員による再審理を要求する。

7. 現在の刑事司法制度、刑務所の代わりに、復帰/変革的説明責任プログラムを作り出す。

出典:Seattle protesters take over downtown, set up CHAZ with Raz Simone using Stop and Frisk, threats to keep order – Tampa Dispatch

また、「経済的要求」というものの中には、

「かつて豊かだったシアトルの地元の文化的アイデンティティを再確立するために、芸術と文化に対するシアトル市からの資金の回復を要求する」

出典:同上

というものもありました。

この「チャズ」が誕生してまだ2日目なのですけれど、アメリカでの報道などでは、「チャズはどこにあるのか」という問い合わせが多く寄せられているようです(編注:原稿執筆時点2020年6月13日)。

Next: チャズの位置は、SNSなどの情報から照らし合わせると、以下のようになる――



チャズの面積は「少し広い公園」ぐらい

チャズの位置は、SNSなどの情報から照らし合わせると、以下のようになるようです。

まず、シアトルの位置は以下のようになります。

シアトルの位置 出典:Google map

そのシアトルの中央部に、カール・アンダーソン公園と、シアトル中央大学という大学がありまして、その一帯が「自治区チャズ」です。

キャピトルヒル自治区(CHAZ)の位置 出典:Google map

さらに拡大しますと、6月12日時点で、以下の区分が「自治区チャズ」となっているようです。

自治区チャズの位置 出典:Google map

この自治区チャズの面積ですが、SNSの投稿での推定では、「バチカン市国の3分の1程度」だとしています。

バチカン市国は世界で最も小さな国で、その面積は、0.44キロ平方メートルということですので、自治区チャズの面積はその3分の1程度ということで、「面積は大体0.15平方キロメートル」ということになりそうです。少し広い公園くらいの広さですかね。

この面積から考えると、トランプ大統領が「無政府主義者を許すな」と騒ぐほどのことでもないような気もしますが、しかし、トランプ大統領がそう言うには理由もありそうです。

自治区チャズが生まれた「いくつもの」背景

私は、アメリカの中では、このシアトルという街が最も気になり続けていた街でして、アメリカで最も自由な表現が作り出されてきた素敵な街でもあります。「アメリカで何か起きる時は、ここで最初になんか起きそうだよなあ」というようなことを思うこともありました。

それはともかく、この「自治区チャズ」について調べていますと、いろいろな背景がありそうであることもわかります。

そこに漂うキーワードは、

・極左
・ヴィーガン(完全菜食主義)
・博愛
・相互救済
・無政府主義

という、それぞれが「まるで相反する」かのような概念に包まれているのです。

Next: この自治区チャズがシアトルに出現した際、多くの報道は、ラズ・シモーネ――



自治区チャズの精神的リーダーは誰か

この自治区チャズがシアトルに出現した際、多くの報道は、ラズ・シモーネ(RazSimone)というシアトル在住の黒人男性ラッパーが、主導者の一人と報じていました。

確かに、このラズ・シモーネという人はメディアの表に出てきており、自動小銃で武装した姿を見せるなど「印象に残る」姿を出しています。

しかし、いろいろと調べていくと、「もっと後ろのほうに何かある気配がある」ように映るのです。そして、そこにいる中心人物のひとりかもしれない人は、「アナーキストの十代の白人女性(あるいはトランスジェンダー)」なのです。

アメリカのSNSの投稿には、真偽はわかりようがないものの、以下のような投稿がありました。翻訳して紹介します。

投稿「内戦」より

Twitterアカウントの「ローラクーク(lauracouc)」が、自治区チャズの参加者たちの間で、ややリーダー的な存在となっている。

彼女は、トランスジェンダー活動家で、自らを「同性愛者アナーキスト」と呼び、「白人中心主義の解消」、「資本主義の消滅」、「現代文明の破棄」を求めている。

彼女たちは、自治区において寄付を集め、物資を調達しており、自治区都市が建設され現在暴徒たちが住むカール・アンダーソン公園に銃を持ち込むことを提唱している。

出典:Infighting: Antifa Leader Admits Sexual Assault, Plans To Kill Themself | TigerDroppings.com

以下は、そのローラクークというアカウントのSNSからで、丸い中の写真の人がその人のようです。

このローラクークというアカウントは、ツイッターにもフェイスブックにもありますが、「承認した人にしか表示されない」設定ですので、見ることはできません。ここにある表記が真実ならば、2001年7月10日生まれということで、「19歳の女性」ということになります。見た感じには、白人に見えますけれど、それもはっきりとはわかりません。

これらを見ていて、「19歳のアナーキストかよ…」と、ややクラクラとするものを感じましたけれど、このローラクークというような人を含めて、「表面に出てこない人たちがたくさんいる」ことが伺えます。

何が起きているのかは、私たちにはわかりようもないですし、この自治区チャズが、いつ当局により「奪還」されるのかもわからないですけれど、トランプ大統領が(表面上)激怒プンプン状態ですので、何か衝突も発生するのかもしれません。

Next: ところで最近の私のサイト「In Deep」では、アメリカの予測プロジェクト――



ウェブボット「扇動する女性」の予測

ところで、最近の私のサイト「In Deep」では、アメリカの予測プロジェクトであるウェブボットの2009年から2010年頃の予測について、ご紹介することがあります。

その理由は「今起きていることと、多くがとても似ている」からですが、そのウェブボットの2009年4月に配信されたものから抜粋して、今回は締めさせていただこうと思います。

「扇動する女性」が登場するくだりです。

2009年4月11日のウェブボットより

・夏から秋にかけて、ある女性の象徴的なキャラクターが出現する。彼女は内部告発者との関連で出現するキャラクターだ。さらにこの人物は、覚醒を目標とするスピリチュアリティーとの関連が深い人物でもある。

・彼女は身体の一部を「傷跡」のように形に塗っているか、または実際に「傷痕」があるのが特徴だ。

・この女性は、ある犠牲的な行い、ないしは「暴露」に向けて彼女の属するグループを扇動する役割を果たす人物だ。

・彼女は監禁されていた過去を持つ。この「監禁」というキーワードは、地方や国家の刑務所、そして精神病院、あるいはロシアなどと関係している。

・この女性は中国とアメリカで発生する社会不安や社会的な災難とも関係が深い。

・この人物は次の段階の世界経済の危機が始まるちょうど1週間前に姿を表す。なぜ彼女の出現が重要なのかというと、彼女は次の全世界的な金融崩壊が発生する少し前から影響力をもつようになるからである。

・彼女の存在が公になるとほぼ同じ時期に、渡り鳥の災難や、トウモロコシや米作の問題、さらには、新たな金融危機が発生する。それは、夏の終わりから秋にかけての時期に起こる。

ここまでです。

そういえば、6月13日には、米テネシー州のナッシュビルにおいても、「チャズのような自治区の設立を目指す行動」が始まったことが報じられています。

なお、現在のアメリカは、ロックダウン以降、「都市部から地方へと移住を考える人の数が飛躍的に増えている」ことが、最近の世論調査で判明しています。その調査によれば、何と「都市に住むうちの40%が都市部からの撤退を考えている」と答えたのだそうです。

こういうシアトルやナッシュビルで起きているような動きと、都市部からの撤退が加速していく中で、このような「自治的」な動きのアメリカ全土への拡大や、あるいは「中央政府と分離した生活」が加速していくのかもしれません。

そして、それは、今回のパンデミックやロックダウンの影響を大きく受けたあらゆる国や地域に言えることなのかもしれません。

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※本記事はブログ『In Deep』2020年6月13日配信記事の一部抜粋です。有料メルマガ『In Deep メルマガ』ではブログでは公開できない極秘ネタも配信中!ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

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image by:VDB Photos / Shutterstock.com

In Deep』(2020年6月13日配信記事)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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