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真似るな危険?バフェットから妻への遺言「私が死んだらS&P500を買え」の問題点=川畑明美

天才投資家バフェットは、自分が死んだときのために妻に運用アドバイスを残しています。それを私たちも完コピすれば、大きな資産を築けるでしょうか?私は「NO!」だと考えています。(『教育貧困にならないために』川畑明美)

プロフィール:川畑明美(かわばた あけみ)
ファイナンシャルプランナー。2人の子どもと夫婦の4人暮らし。子育てをしながらフルタイムで働く傍ら、投資信託の積立投資で2,000万円の資産を構築。2013年にファイナンシャルプランナー資格を取得。雑誌を中心に執筆活動を行う一方、積立投資の選び方と積立設定までをマンツーマンで教える家計のコーチング・サービスを展開している。

「俺が死んだらこう運用しろ」バフェットから妻への遺言

著名な投資家ウォーレン・バフェット氏が、自分が死んだ後のために妻に伝えている運用アドバイスをご存じですか?

彼はこのようにアドバイスしています。

「私のアドバイスはこの上なくシンプルだ。現金の10%を米国の短期国債に、残る90%を超低コストのS&P500のインデックスファンドに投資しなさい。ヴァンガードのファンドがいいだろう。この方針なら、高い報酬のファンドマネージャーを雇うどの年金基金、機関、個人の出す結果よりも長期にわたって良い成績を上げられると思う」

S&P500とは、米国の株式市場に上場する大型株500銘柄で構成されています。TOPIXと同じように時価総額を指数化しています。

S&P500指数 月足(SBI証券提供)

天才投資家の言う通りにすれば間違いない?

多分、このバフェットから妻へのアドバイスをどこかで見て、次のような質問を受けることがあります。「米国のS&P500という指数に連動する投資信託を買っていればいいんですよね?」と。

私の答えは「NO!」です。

もちろん、バフェット氏の言うことは間違いではありません。株式投資をするには、覚えることが多く、勉強を続けないといけません。それができないのでしたら、インデックス指数に連動する投資信託などで運用するほうが、間違いはないということです。

そもそもS&P500は、TOPIXと同じように時価総額を指数化していますが、選ばれるのが500銘柄です。ちなみに、TOPIXは約2,000銘柄です。

単純に言えば、業績の良い500銘柄を入れ替えているのですから、業績の悪い銘柄は入ってこないのです。

だから銘柄を選べないのでしたらS&P500にしておけば良いということなのです。

ただし、私が「NO!」という理由は、「S&P500だけ、というのは良くない」ということです。

まず、バフェットの妻と違って日本で生活するのでしたら「為替」も考えないといけません。S&P500に連動する投資信託では、株式のリスクにプラスして、為替のリスクもあります。為替が今よりも円高になってしまったら、資産が目減りしてしまうのです。

Next: バフェットの戦略を鵜呑みにすると危険?未来は誰にも予測できない



誰も正確に予測できない。だから「分散」が必要

もう1つの理由は、「分散」が大事ということです。

米国株の指数であるS&P500は、超・長期的に見れば、ずっと右肩上がりです。

ですが、複数の資産クラスの年間リターンを見ると、毎年順位が異なります。リターン1位と最下位も毎年違います。前年最下位だったものが、翌年リターン1位になることも多いです。

もし、この先1年間で最もリターンが高くなる資産が何かわかっていれば、次の1年間は、すべての資金をその資産に投資すれば、大きく儲けることはできます。

ですが、残念ながら金融のプロであっても、将来どの資産のリターンが高くなるのかを正しく言い当てることは、とても難しいのです。

2020年3月のコロナショックも、誰も正確に言い当てた人はいませんでした。

なぜプロでも予想できないのか?

なぜ、プロでも値上がりする資産を当てられないのか?

株式や債券の市場には、多くのプロが経済の先行きや他の投資家の動きを予想して、先回りしようとしています。なので、抜け駆けするのは簡単ではありません。

例えば、米国経済の調子が良さそうだと予想し、米国株を買うのが当然だと多くの投資家が同じように考えて購入すると、米国株は値上がりします。個人投資家が気付いた時には、すでに割高になっているケースもあります。

逆に多くの投資家が値上がりを期待していない資産は、買う人が少なく割安になっています。この割安な資産の価値が見直されれば、大きく値上がりすることもあります。

このような予測は不可能ですから、分散することが大事なのです。

Next: 富豪と私たちは全然違う。庶民は庶民なりの戦略を



大金持ちと庶民の戦略はまったく違う

私は投資信託の積立は、必ずしも眠らせるお金ではなく、ある程度「使えるお金」と位置付けています。仮に一部を売却して使っても、積立はずっと続けるのは前提ですが、まったく使えないお金にはしないように「分散する」ことをお勧めしています。

そもそもバフェット氏は、現金の保有比率もとても高いのです。いざというときの現金をしっかりと確保しています。

世界でもトップクラスの大金持ちの戦略と、一庶民の戦略は、同じではありません。保有している現金が違うからです。

使い切れないほど現金があれば、S&P500に全力投球でも良いですけどね。

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教育貧困にならないために』(2020年8月19日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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