【しんコロ】生まれてきた子が動物アレルギーだったらどうする?

 

しんコロさんの回答

近年はアトピー性皮膚炎や気管支喘息などを始めとしたアレルギー性疾患が子供にも多く見られますね。命に関わるような病気ではないと軽視されることがありますが、実は命に関わるほどの症状に陥ることもあるし、そうでなくてもまともな社会生活ができないほどの症状を持っている方も沢山います。その意味で、すでにペットを飼っているのに後から生まれて来た子供がペットに対してアレルギーだったらどうしよう、とご心配されるお気持ちも良くわかります。

免疫学的には、アレルギー症状が起きる引き金になる細胞の信号伝達や、アレルギー症状が起きている時の免疫細胞の反応メカニズムなどは多くの研究がされています。ところが、我々ヒトの一般生活の中で「なぜアレルギーが起きるのか」ということに対しては不明な点がまだ多いのです。

アレルギーは近代病であることから、住環境の衛生や感染症の有無、栄養状態、そして環境汚染や薬物などの影響など様々な要因があげられますが、決め手となるような原因はわかりません。実際、色々な複合的な環境条件と遺伝条件が複雑に組み合わさってアレルギーが発症していると考えられるので、原因の特定が難しいのです。

近年では腸内細菌叢の研究が非常に活発になっており、アレルギー発症との関連も示唆されています。その腸内細菌叢でさえ、食品や環境や感染症などの状態で変化するので、その結果として現れるアレルギー性の疾患はそれらが複合的に絡んでいるといえます。従って、これから生まれてくる子供アレルギーになるかどうかという予測非常に難しいのです。

一方で、質問者さんが直面している悩みは免疫学だけでなく、人生の考え方でも見方が変わってきそうですね。今、質問者さんはアレルギーを取り立ててご心配されていますが、もっと極端な例もあり得ます。もしかしたら生まれてきた子供にアレルギー以外の遺伝的疾患がある可能性もゼロではないですし、それどころか後天的に重篤な病気になる可能性もあるし、母親としてのご自身が病気になる可能性だってあります。

僕はネガティブなことを言って脅かそうとしているのではなくて、何がいいたいかというと、リスクを心配するといくらでも心配は増えてしまうということで。むしろ、アレルギーであれば住環境子供ペット2分割することができれば防ぐこともできます。僕もかなりの心配性なので質問者さんのお気持ちも良くわかりますが、先人が「案ずるより産むが易し」というのにもきっと理由があるのではないかなと思います。

image by: Shutterstock

 

shinkoro

しんコロメールマガジン「しゃべるねこを飼う男」
著者:しんコロ
ねこブロガー/ダンスインストラクター/起業家/医学博士。免疫学の博士号(Ph.D.)をワシントン大学にて取得。言葉をしゃべる超有名ねこ「しおちゃん」の飼い主の『しんコロメールマガジン「しゃべるねこを飼う男」』ではブログには書かないしおちゃんのエピソードやペットの健康を守るための最新情報を配信。
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