ゴスペラーズ北山さんを活動休止にした脳腫瘍。良性・悪性の違いは?

2015.12.02
by Mocosuku
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男性ボーカルグループ、ゴスペラーズの一員である北山陽一(41)さんが、療養のために当面の活動を休止すると公式サイトで発表されました。病気は「脳腫瘍」ですが、幸いなことに良性で、すでに手術を終えて経過も良好とのこと。ここでは脳腫瘍の良性・悪性の違いについて見ていきましょう。

頭蓋骨の内側に生じるできもの

北山さんは、今年11月に入ってから体調不良を訴えて検査を受けた結果、脳腫瘍(のうしゅよう)であることが発覚したそうです。「100%良性の腫瘍」であり、早期に手術できたことで、順調に回復しているとのこと。しばらく治療に専念するために、当面の活動は控えるとしています。

脳腫瘍は、頭蓋骨の内側に発生する腫瘍(できもの、新生物)の総称です。他の臓器からの転移でなく、脳内組織から発生したものを「原発性脳腫瘍」といい、1年間で10万人に10〜12人程度が発症すると言われています。正確な発生原因はわかっていません。

良性と悪性の違い

原発性脳腫瘍は、悪性度によってグレード1〜4に分類されます。良性と呼ばれるのはグレード1で、悪性はグレード2〜4の腫瘍です。良性・悪性の主な違いは次の通りです。

【良性】
腫瘍と周囲組織との境界が明瞭で、手術で完全摘出可能なもの。脳腫瘍の40~45%程度を占めます。成長速度は遅いものの、正常脳組織を圧迫して影響を及ぼすようになります。代表的なものとして髄膜腫(ずいまくしゅ)、下垂体腺腫(かすいたいせんしゅ)、神経鞘腫(しんけいしょうしゅ)などがあります。

【悪性】
腫瘍と周囲組織との境界が不明瞭で、成長速度が速く、手術での完全摘出が困難。手術後に放射線治療や抗がん剤による化学療法を行うのが一般的です。主なものに神経膠腫(しんけいこうしゅ、グリオーマ)や中枢神経系悪性リンパ腫があります。残念ながら、現在の医療技術でも治癒することは難しい病気です。

症状と診断

良性・悪性にかかわらず、脳腫瘍が生じると頭蓋内の圧力が上がり、これによって頭痛と吐き気といった症状が引き起こされます。また、腫瘍が生じた場所によってその周辺の脳の機能が影響を受け、言葉が出ない、手足の麻痺、感覚障害、ふらつき、けいれん発作などの症状をきたします。

これらの症状は脳梗塞や脳内出血や脳の変性疾患などでも見られるものですが、いずれにせよ早期の発見と治療が大切なので、すみやかに医師に相談することが大切です。CTやMRIなどの検査によって判定されます。

良性でも楽観はできない

完治可能な良性腫瘍とはいっても、脳に生じるものなので楽観はできません。手術の際は、脳の機能を傷つけないように慎重を要します。また、腫瘍が発生した部位によっては重要な神経や血管を巻き込んでいる場合は、全摘出が難しい場合もあります。

北山さんがどのタイプの脳腫瘍であったかは明らかにされていませんが、術後の経過は極めて良好とのことなので、一安心です。意識も明瞭で、会話も歩行もできるまでに回復しているそうなので、このまま無事に完治し、5人での活動が無事に再開できることを祈りたいですね。

執筆:諸富 大輔(Mocosuku編集部)

監修:坂本 忍(医師)

 

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記事提供:Mocosuku

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