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まぐまぐ!特別対談 ケント・ギルバート×東條英利「日本人の在り方」

弁護士・人気タレントとしてマルチに活躍するいっぽうで、近年では慰安婦問題など、日本を取り巻く諸問題に関する発言も多いケント・ギルバートさん。そして、A級戦犯として裁かれた東條英機の曾孫で、現在では日本文化や歴史の伝道を通じ、日本人の教養力向上を目指す活動を展開している東條英利さん。グローバル化が進む国際社会において、日本という国、そして日本人の立ち位置とはどうあるべきかを、メルマガなどのメディアを通じて精力的に発信する二人の論客によるクロストークが、ついに実現! 本来は有料メルマガ会員しか読めない本対談ですが、今回は特別にそのダイジェスト版をお届けいたします。お二人が対談に臨んだ場所は、靖国神社内にある日本庭園の片隅に佇む茶室「靖泉亭」。誇りある日本の未来を創るための提言とは……?

遊就館を外国人向けの観光コースに入れるべし

東條靖国神社ってどうなんですか? アメリカの方には、よく知られているんですか。

ケント:いいえ、誰も知らない。私も靖国神社の中に入ったのって、ついこの前が初めてだったもの。前の道はよく通るけど、中に入ったことがなかったんです。入るきっかけがなくて。

東條:そのきっかけってなんだったんですか?

ケント:えっと、きっかけは……あれだ。とある講演会が靖国会館で行われるってことで。それで「じゃあ、ついでに遊就館を見てみよう」と。

東條:へぇ、そうだったんですか。

ケント:外国人の友達で、遊就館に行ったことある人って、ほとんどいないと思います。みんなね、浅草寺は必ず行くんです。そして、少しを足伸ばして鎌倉もしくは日光。これは行きますね。で、東京タワー……今はスカイツリーかな。あとは渋谷の交差点だったり、銀座でショッピング。これが、ふつうの観光コース。だけどね、それを見て日本の歴史の何かわかるかって言ったら、何もわからない。

東條:確かにそうですね。

ケント:私も先入観があって、靖国はなんか政治家が参拝するとすごく叩かれるから、入らないほうがいいかなって。遊就館も、右翼的な宣伝ばっかりかなって思っていたんです。でも実際に来てみたら、展示は極めて中立的な表現をしていて、歴史上の人物の出来事を淡々と伝えているだけでした。右翼左翼もない。これが驚きで。

東條:なるほど。

ケント:で、私の友達の外国人……日本人の奥さんがいて、長年日本に住んでるんだけど。その人も、この前はじめて遊就館に行ったんですよ。私が教えたわけじゃなく、たまたまなんだけど。で、こないだ会ったら「いやー、いいところ見つけたぞ」って。「遊就館すごいよ。たぶん右翼的な場所なんだろうと思ったら、そんなんじゃないんだよ! 英語完璧だし!」って。……私はね、遊就館を絶対に外国人の観光コースに入れたほうがいいと思う。

東條広島の平和記念公園とかは、外国人相当行きますけどね。

ケント:そこまで足をのばさなくたって、コレが都心にあるんですから。

 東條靖国といえば、過去にはあのジョン・レノンも、ここを参拝していたんですよ。

ケント:へぇー。はじめて聞きました。

東條:写真も実際にあるんですよ。この話は、私が代表理事を務めている国際教養振興協会の顧問でもある、加瀬英明先生から伺ったんですけど。その加瀬先生がジョン・レノンに、日本の神道ってこういうものなんだよって、教えていたらしいんですよ。

ケント:ほほう。

東條:で、なんで加瀬先生がジョン・レノンに教えていたかというと……実は加瀬先生の従妹にあたるのが、オノ・ヨーコさんなんですよ。

ケント:うそ!?

東條:親戚関係。だからその縁で靖国はもちろん、伊勢神宮とかも参拝してたらしくて。……それで『イマジン』って曲があるじゃないですか。日本だと“リベラルソング”として有名なんですけど、加瀬先生曰く「あれはオレがジョン・レノンに神道を教えた結果作った曲だから、“神道ソング”なんだよ」って。

ケント:へーーー!

東條:「そうだろ、ジョン!」って言ったら、「ウン」って言ったって(笑)。ただ、これだけだと弱いんで、だから一度オノ・ヨーコさんにお会いして、ほんとにそう思ってたかどうかって、一度聞いてみたいんですよね。もしも、それで「YES」だったらですね、神道や靖国に対する見方が恐らく大きく……。

ケント靖国テーマソングが『イマジン』。……これはまた、最高ですね。

東條:まぁ、そもそも神道って教義性という教義、教えとかもないですからね。私も“神道は宗教ではない”というのが持論なんです。どちらかというと生活というかライフスタイルイデオロギー的な部分があるんじゃないかな、と。事実、もともと宗教という言葉は日本になかったんですよ。何でその言葉ができたかというと、“religion”という単語が入って来た時に、その訳語がなかったからなんです。

ケント:“religion”の日本語ってなかったんですか?

東條:もともとは、宗旨とか宗派って言葉がありまして。仏教の宗派とかと一緒に、習合してたんですよ。ごちゃまぜにミックスされてたんで、一個一個の教えによる体系化っていうのが、まったくなかったんですね。

ケント:宗教法人みたいなものもなかったですね。

東條宗教法人っていうのは、完全に戦後できたものですね。だから、そういう意味で、神道ってものすごく解釈が難しいっていうのもあるんです。ただある意味、日本で2000年以上……断絶せずに続いてきた昔からの考え方を、ちょっと現代的に解釈をしているというところが、私の中では日本人が変わっている部分じゃないかな、と思うんです。

ケント:私も大学で、世界の宗教比較をやったんですけどね。ヒンズー教、仏教……神道はもちろんやりました。あとキリスト教、イスラム教……あとはなにがあったかな。代表的なものはひととおりやりました。面白かったのは、たとえば韓国日本宗教観まったく違うんですよ。韓国の場合は“ムーダン”っていう、日本語でいうとなんというんでしょうね。要は人間と神様の間の取次ぎ役。なんていうんですかね。

東條巫女さんみたいな。昔でいうと卑弥呼とかそういう立場なんでしょうかね。

ケント:それが必ずいるわけですよ。キリスト教もそうなんですけどね。

キリストと神様、預言者みたいな。……その点、神道は全然違います。

自然崇拝というと、ちょっと語弊はありますけど、自然の中の霊的な部分を感じる、尊敬する守ってもらうようなもので、必ずしも宗教団体というものでもない。

東條:ある意味、受動的というか。私もよく講義はさせていただくんですけど、本来であれば、宗教の前提条件って何かっていうと……これは持論なんですけど、やっぱり私たちが不完全な存在であるってことが前提条件としてあって、それで神様が存在するわけじゃないですか。

ケント:キリスト教もそうですね。

東條:それを置き換えたときに、一般的な宗教というのは、たぶん自分の足らないものとか答えとかを、第三者に求めるんですが、神道はどうするかというと……鏡ってあるじゃないですか。例え話であるんですが、ひらがなで“かがみ”と書いて、そのまんなかの“が”の字、“我=自分”を抜くと“”になる。

ケント:あぁー。

東條:要するに鏡に映った自分自身に、自問自答をずっと続けてるんだと。だから、道ってずっと繋がっていくんだと。そういう風に、答えが出ないまま追い続けるという、反復作業のなかで過ごしていくっていうのが、日本人の人生観の根底にはあって、そこが外国人との宗教観に大きな違いが出る理由なのじゃないかなと。

ケント:そこが、西洋人はよくわからないんですよね。だから“日本は無宗教の国だ”って断じてしまう。でも私は、それは違うなと思うんですよね。宗教団体に対してのアレルギーはあるかもしれない。一神教に対してのアレルギーはあるかもしれない。でも、宗教的な霊的な部分がないっていうのは、それは絶対に違いますよね、日本人は。

東條:だって無宗教だって言われながら、日本人ほどお化けの話とか都市伝説とか好きな国民性って、ないと思うんですよね。

ケント:ほかにも手相だの、星座だの、血液型だの……好きですよね、日本人(笑)

東條:そういう、なんて言うんですかね。見えざるものへの憧れというか、そういうものの根底に“神道イズム”的なものが見え隠れするんですよね。昔から日本には、“お天道様が見ている”っていうような考え方がありますよね。人が欲と対峙する際にどうコントロールするかっていうことの、ひとつの方法論が宗教にはあると私は思うんですが、それを“見えざるもの”を使ってセルフコントロールしようとするのが、ある意味神道なんじゃないかと。

 

まぐまぐ:今年は“戦後70”と言われますが、日本はまだ戦後が終わっていない、終わらせてくれないっていう状況が、今もなおあると思います。では何をもって、そこで、どうしたら戦後が終わるということになるのかを、お聞きしたいのですが……。

東條:そもそも、歴史問題というのは存在していないと思うんです。歴史認識を政治問題化されていることが歴史問題。ただ、その評価というものは絶えず変わっていくものじゃないですか。日本史だって、鎌倉幕府の成立年がもう私が子供の頃と変わっちゃってるわけですよね。でも、それがものすごく大きな問題になっているかって言うと、別に問題になっていないわけで。それを利用する側というプロフィットを産んでしまっている事に問題があるって、私は思ってますので。

ケント:確かに。

東條:過去の事に関して議論する比重が大きすぎて、未来のことに対する議論が少なくなっている気がするんですよ。もし未来のことを議論するほうが利益になるんだったら、過去のほうの議論はおのずと縮小されてくんじゃないかなって私は思うんですね。

ケント日本の歴史問題は、中国韓国意図的に作った問題。じゃ、何のためにそれをやってるかっていうと、あきらかに日米の間に亀裂を作っている。だからあんまりね、それにこだわる必要はないですよ。歴史っていうのは、調べれば調べるほど何か新しく出てくる。とくに機密指定された公文書だと、真実が出てくるのにも数十年かかるわけですよ。それで出てきたものを再評価して、歴史を修正するというのがあるべき流れで、今もそのプロセスの途中なんです。ただ、それは過去のことを改めて謝るためのものじゃなくて、あくまでも真実を知るためのものなんです。

東條:そうですよね。

ケント日本の戦後70というのは、これからがんばろうという70年間だったと私は思います。……まあ、戦争は完全に過ちだったということで、GHQがしっかり日本人を洗脳しましたし。

東條:(笑)

ケント:そういう憲法になってしまったし。だからまあ、それはあきらめといて(笑)。で、そういうことならば、別の形で世界中に協力してあげて、より良い世界にしていこうということでやってきたわけです。……まあ、金ばらまいただけって言われればそうかもしれないけど、それが国際協力だし、世界も十分認めている。こないだの安倍談話もそうでしょ? 過去のことは認めますけど、これからはもっといい世界をつくっていきましょう、というメッセージだったと思うんです。

東條:ただ日本は、将来設計がなさすぎるというか。こうあろう、ありたいという目的が存在しないという。

ケント:まあ、それはありますけどね。……こういう時に、日本の文化には“水に流す”っていう便利な言葉があって。いつまでも過去にこだわらないで、前に進んでいくことができる。

東條:ただ、その反面で、過去にはすごくこだわるじゃないですか、日本って。だから、これだけの伝統文化が残って……。

ケント:まあ、伝統は大事にしてますね。

東條:日本人には宗教観のベースに“自然信仰”っていうのがあって、例えば災害とかがあった時に、欧米とくにアメリカだと“自然を克服する”という選択肢になるんですよね。

ケント聖書にそう書いてあるんです。世界は人間のために神様から与えられたものであって、私たちからはよき管理者として、それを支配しなければならない、と。

東條:ただ、そんな時の日本人って“克服”じゃなくて“受け入れる”なんですよね。だから、戦争で負けてしまった後も、戦後を乗り越えてという意識よりも、ありのままの状態を受け入れつつ、今までやってきたことを続けていくといった感じなのではと。ただ、それだけだと将来設計に向けた智恵が足りないということで、基本的な価値観共有していくことが必要かなと。例えばアメリカは、自分の中でも大きな存在ですし、何よりも民主主義資本主義という基本的な共通言語を共有しています。ただ中国韓国とは、今のところ残念ながら通じるところが少ないので……。

ケント:日本には1000以上も培った繊細な文化を持っているわけだし、まぁ慌ててやる必要はぜんぜんないけど、もっと積極的に、自分の国の文化を世界中に広めていかないといけないですね。商業ベースではちょっと成り立たないかもしれないようなものも含めて……。

東條:そのあたりを自分なりにやっていきたいなと。そのあたり、これからも積極的に意見交換していければ、と。よろしくお願いします。

ケント:はい! こちらこそよろしくおねがいします。(続きは有料メルマガで)

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いわゆるA級戦犯とされる東條英機は私の曽祖父でありますが、その直系の長男のみが、この「英」の字を継いでおります。私もその継承者として、時にはこの名を疎ましく思ったこともありましたが、戦後70年を迎える今こそ、この名前がもたらした様々な事実や経験、考えを語ってみたいと思っております。
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