生活苦で子供なんて…貧困化する地方には、まず高級官僚を移住させよ

 

本当に「地方創生」を考えるなら、もっと抜本的な政策を考える必要がある。企業を地方に誘致しようとしても、本社は大都市にあったほうが便利なので、簡単には移転してこないだろう。以前は大都市より安い労賃を当てにして地方に工場を建てる企業も多かったが、グローバリゼーションが進んだ結果、大企業はさらに安い労働力を求めて、最初はタイ、中国、べトナム、次いでラオス、ミャンマーへと移転していった。ラオスやミャンマーと同じくらいの労賃ならば、地方に工場を移転したいと思う企業は沢山あるだろうが、それでは「若い世代の経済的安定」は夢のまた夢である。安倍政権の今のやり方で、グローバル・キャピタリズムを推進する限り、「地方創生」は絵に描いた餅に過ぎない。グローバリゼーションから離脱して、日本の人口が6,000万人くらいに下がるのを甘受して、なるべく鎖国に近い体制で物と金を国内だけで循環させれば「地方創生」は瞬く間に実現するが、ネックはエネルギーである。 現時点でエネルギー自給率4%の国が、国民に不満を抱かせずに、グローバリゼーションから離脱するのは不可能に近い。

あれやこれらを考えると、「地方創生」は八方塞がりだが、何とかいい手立てはないものだろうか。私は、とりあえず、霞ヶ関の高級官僚の参勤交代」はいいアイデアではないかと思っている。現代における「参勤交代」論の元祖は養老孟司だが、私がここで提唱するのはちょっとニュアンスが異なる。養老さんの「参勤交代」は都市と田舎の「二地域居住」論で、都市と田舎に半分ずつ住もうというものだ。養老さんが挙げているメリットは、

  1. 来るべき大地震に備えて災害時の避難場所を作っておく
  2. 田舎で体を動かして農耕に従事すれば精神が健全になり、鬱にならない
  3. エネルギーが枯渇して流通がストップした時、食糧自給が可能だ
  4. 田舎に木の家を作ることで、林業を後押しできる
  5. 現在39%の食糧自給率を大幅に上げることができる(ちなみに1960年の日本の食糧自給率は82%であった)

等々であるが、私の考えは、田舎を都市とは異なる魅力的な場所として称揚するというよりも、田舎にいても都市にいるのと同じように働けるよという話だ。

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