お客様に商品を売るとき、マーケティングについて考えていますか?マーケティングといっても難しい話ではなく、たった3つのポイントを抑えるだけでいいのです。メルマガ『がんばれスポーツショップ。業績向上、100のツボ!』では、4年間で業績を一気に伸ばしたDeNAを例にあげて、わかりやすくマーケティングのポイントについて解説しています。
DeNAのマーケティングに学ぶ
「マーケティング」という単語は、日本語に翻訳しにくいです。「何もしなくても売れていく仕組み作り」だという学者さんもいます。
考えようによっては、「ネットショップ」は「何もしなくても売れていく仕組み」を持っています。商品をネット上に紹介しておけば、お客様は勝手に注文をしてくれるからです。しかも、1年365日24時間休みなしです。
とはいえ、商品を紹介するだけではうまく売れません。それなりの戦略が必要です。どんな戦略でしょうか。
よく言われるのが、「誰に、何を、どうやって」売るのかということを決めることです。この戦略を行うことを、「マーケティング」だと言って良いでしょう。
もちろん、これはリアルな商売でも同じことです。売上や利益を伸ばしたいのなら、「誰に、何を、どうやって」の3つを考える必要があります。では、この3つのうち、どれが一番重要だと思われますか?
実は、どれも同じように重要です。しかし、順番からいえば「誰に」をまず決めなくてはいけません。「誰に売るか」を決めれば、おのずと「何を売るか」、「どうやって売るか」が見えてくるからです。
そんなマーケティング手法を実施しているプロ野球球団があります。横浜DeNAベイスターズです。池田純球団社長が、その手法をネットで公開してくれています。「Number Web」の「Real Story of 球団経営」です(残念ながら、現在は一部しか閲覧できません)。
そこに書かれていたことから、ピックアップしてみます。
DeNAのマーケティング
4年前、横浜ベイスターズはDeNAに身売りをしたのはご存知の通りです。当時の年間観客動員数は110万人でした。以来、DeNAはさまざまなマーケティング手法を使って観客数を伸ばしてきています。2016年は181万人になりました。4年間で65%も伸びています。すごいですね。
しかも、一試合平均の客席を埋める率は85%です。これは、全球団の中で4番目に高い数字です。その間、ベイスターズの成績はどうだったでしょう。5位と最下位ばかりです。チームの成績が悪くても、観客は増やすことができました。ということは、その分収入も増えたことになります。
あなたのお店で、今後4年間にお客様を65%増やすことは出来ますか? そう考えると、その凄さが分かりますよね。
では、ベイスターズはどうしてそんなに観客を増やすことが出来たのでしょう。池田社長は言います。
「お客様のターゲットを絞ったから」
そうなんです。まさに、これがマーケティングの入口です。スポーツショップの多くがお客様を絞ることをためらっています。というか、絞ろうとしていません。それでは、お店の方向がブレるはずです。
それはともかく、DeNAは、どんなお客様にターゲットを絞ったのでしょう。それは、「30~40代のアクティブサラリーマン」です。決して「熱烈な野球ファンのおじさん」ではありません。会社帰りに気楽に野球観戦をしてもらいたいと、このゾーンにターゲットを絞ったのです。
顧客ターゲットを絞れば、次は「何を」提供するかが見えてきます。
マーケティングの真髄
ベイスターズにとっての「何を」は、観戦チケットや関連グッズがすぐに思い浮かぶでしょう。しかし、それは「モノ」です。「何を」は「モノ」ばかりではありません。「コト」も提供しなくてはいけません。
ベイスターズが提供する「コト」は、「野球の楽しさ」や「親子のつながり」です。この「コト」を考えることが、マーケティング上大切になります。言ってみれば、「コト」は「テーマ」です。「コンセプト」や「スローガン」と言っても良いでしょう。それを考えることが、次の「どうやって」につながります。ですから、あなたのお店も「コト」をしっかりと考えましょう。
では「どうやって」モノやコトを提供するか。DeNAは考えました。まず、開幕6連戦に12万個のヘルメットを無料で配ることにしました。そして、子供は無料招待です。親子で球場に来てもらい、楽しんでもらおうという仕掛けです。ターゲットを「アクティブサラリーマン」としながら、その子供を狙います。うまいですね。
また、中学生以下のキッズ会員にはオリジナルグラブを進呈。さらに、県内の小学生、幼児72万人に野球帽を配ります。その上、親子でキャッチボールが出来るように、試合前にグランドを開放します。
実は、これらのことは、横浜を「プロ野球のある街」にしたいという目標があるから出来ることです。ベイスターズを地域に根付いた球団にしたいと思っています。
このような仕掛けをした結果、観客が増えました。年間赤字が30億円だった球団が、半分以上減らせたそうです。
ポイントは
- 地域に根差した球団にするという明確な目標を持つ
- お客様ターゲットの絞り込みをする
- 何を、どうやって提供したら喜んでもらえるかを考える
にありました。マーケティングの真髄と言っても良いでしょう。
DeNAは、今後もきっとユニークなマーケティングを展開していくに違いありません。さて、あなたのお店はどうでしょうか? ベイスターズからヒントをもらってはいかがでしょう。
今日のツボ
- マーケティングは「誰に、何を、どうやって」を決めること
- お客様ターゲットを絞ることが入口である
- 提供するのは「モノ」と「コト」である
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『がんばれスポーツショップ。業績向上、100のツボ!』
著者/梅本泰則
ワン・トゥー・ワンコンサルティング代表。スポーツ用品業界での経験と知識を生かし、業界に特化したコンサルティング活動を続ける。
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