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払いたくない。会社が社会保険の加入を怠ったらどうなるのか?

もし、あなたの会社が雇用保険や厚生年金保険に加入しておらず、受け取れるはずのお金をもらえなかったらどうしますか? 保険の加入は会社が勝手に決められるものではありません。メルマガ『「黒い会社を白くする!」ゼッピン労務管理』の中では、もし企業が保険の加入手続きを怠ったらどうなるのか、その事例を紹介しています。 

「保険料は払いたくない」は認められるのか

未納問題」というのがたびたび話題になります。例えば「NHKの受信料」や「国民年金」などです。これらは、払うか払わないかを自由に決めることはできず、個人(もしくは家庭)は必ず払わなくてはなりません(一部、免除の規定はありますが)。ただ、「できるなら払いたくない」と考える人が多いのが現状でしょう。

これは会社にとっても同じことが言えます。

会社が加入しなくてはいけない保険はいろいろあります。厚生年金保険、健康保険、労災保険、雇用保険などです(会社や社員によって加入条件は違いますが)。これらも、会社は払うか払わないかを自由に決めることはできません。

では、これも「できるなら払いたくない」といって加入の手続きをとらなかったらどうなるか?

それについてある裁判があります。

ある会社で雇用保険の加入手続きをとっていなかったため、教育訓練給付金(雇用保険に一定の期間以上加入しているともらえる給付金)がもらえなかったとして、その会社が訴えられました。

結果、裁判所は会社に慰謝料の支払いを命じました。

また、別の会社では厚生年金保険の加入手続きを怠っていたため、年金を受け取ることができなかったとして訴えられました。

これも、裁判では損害賠償の支払いが命じられています。

これらの例では会社が「できることなら払いたくない」と考えていたのか、それとも単に手続きのミスなのかは定かではありません。ただ、いずれにしろ会社は支払い命令を受けています。

このように、保険の加入手続きをしないことは手続きをする義務に違反しているだけではなく、それに伴う損害の請求をされるリスクがあるということです。

では、本人が加入しないことに同意していた場合はどうでしょうか。

これも裁判では、「加入手続きをしないことに労働者が同意をしていたとしても、届出をしないことが正当化されるわけではない」とされています。これはつまり、たとえ本人に加入しないことの同意を強引にとったとしても、それは認められないということです。

「できることなら払いたくない」はあくまで心の中に留めしっかりと手続きをしたほうが良いですね。

image by: Shutterstock

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