楽しんでください。視覚障碍者が伝える「あなたの知らない世界」

 

見える人に見えない私の生活をお話しするときに絶対に伝えていることがあります。私は昨日今日見えなくなったわけではありません。生まれたときから耳や指先というさまざまな視覚以外の感覚を使って暮らしています。そうやって積み重ねた経験があるからこそ、見えなくても料理や1人での外出ができるのです。

テレビで取り上げられている障碍者は何かに向かってひたむきに努力している人が多いと思います。それは素晴らしいことだし、メディアが応援してくれるのもいいことだと思うようになりました。でも、そこにすべての障碍者が当てはまるわけではありません。

今書いてきたことを私の場合に当てはめて考えました。同じ視覚障碍者でも、私は盲導犬のことはまったくといっていいぐらいわかりません。本やテレビで多少の知識はありますが、それは見える人と変わらないと思います。盲導犬ユーザーの友達ができたことから、いろいろと知らない世界のことを教えてもらうのはとても面白いです。これが視覚以外の障害になるとなおさらわからないことばかりです。

奥さんは健常者で、だんなさんは車いすユーザー、お子さんがいる方と話す機会がありました。お父さんが保育園までお子さんの送迎をしているという話を聞いて「どうやってやってるんですか?」と聞きました。そして、私の知らない世界のことをたくさん教えてもらいました。

こうやって「知らない世界のことを知る」というのはとても面白いし、楽しいなと思っています。私と出会った人たちに見えない世界のことを伝え、面白がってもらえたらなと思います。「なるほど、こんなやり方があるのか!」 と発見してもらえたらと思っています。

見える人、見えない人だけに関わらず、いろんな人が相手のことを知って、ちょっと気にかけてもらえたら、もっと暮らしやすくなるのではと思っています。さっき書いた1.と2.の間で生きてる視覚障碍者、私の周りにたくさんいます。もちろん私もその中の1人です。失敗も挫折もするし、がんばりたくないときもある。好きなこともあるし、がんばりたいなと思うこともあるし、努力してることもある。それが「目が見えない」ということで私が思う1.か2.に分類されてしまうのはとても残念でなりません。

私にやれることは、ありのままを知ってもらうことだと思っています。視覚以外の感覚を使って暮らしていることや、今までに経験してきたいろんな出来事を知ってもらおうと思います。目が見えないだけであって、後は「普通」なんです。それをこれからも伝えていこうと思います。

image by: Shutterstock

 

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