ヤンキースが、FAによる補強をしなかったのは、明らかに意図的なもので、本当の狙いは、ドラフト1位指名の権利を失うFAによる大物の補強を避け、生え抜きやトレードで獲得した若手を育てることにある。
その目標は、96年からの5年間で4回世界一に輝いたあの伝説のジーター選手や、ポサダ選手、ペティット選手、守護神リベラ選手らの生え抜きが中心になっていた頃の布陣。
そこにFAでクレメンス選手やウエルズ選手らの有力選手が加わったことで、当時のヤンキースはより盤石になった。
改めてもう一度、そんな最強の次世代のチームを作ろうというのである。
で、そのカギを握るスーパーエースとして期待されているのが、日本の大谷選手なのだという。
すごい話だ。
関係者の中には、早くも、
「大谷獲得に備えて、ヤンキースはいまから250億円とも300億円ともいわれる資金をプールしている。」
という人までいるらしい。
実際、このオフ、ドジャース入りした前田健太選手(27)には目もくれなかったヤンキースのキャッシュマンGMが、早くも「オオタニ」の名前を連呼して腰を浮かせているそうだ。
ちなみに、大谷選手のポスティングは、約2年後の2017年のオフ・シーズンと予想されている。
ということは、この数年は、ヤンキース・ファンは次世代の最強チームを「育てる」ことを楽しむことになるようだ。
〔ご参考〕
●ヤンキースが大谷翔平に大きな期待 獲得に備え300億円を用意か
●大谷翔平のポスティングは2017年オフ?MLB移籍関係者の噂に2つの根拠
このお話は、いろいろな意味で興味深い。
まずは、上述のとおり、日本の大谷選手がそのカギを握っているということ。これだけでも日本人ならちょっとワクワクしてくるだろう。
でも、それ以上に興味深いのが、ヤンキース・ファンの反応。
一般的なアメリカ人の・・・というか、野球ファンのイメージからすると、もっと短絡的で、近視眼的で、目先の勝利を優先しているのかと思いきや、案外、ちゃんと未来を見据えて地道にコツコツと若手を「育てる」判断を支持している。
もっとも注目を集め、熱狂的なファンの多いはずのヤンキースでも?ビックリ。
そう言えば、ベンチャー投資の案件でも、例えば、Amazonとか、長年に渡ってなかなか利益が出なくても、投資家からちゃんと支えられ続けてきた。
アメリカ的な合理主義は、もしかすると、日本で考えられている以上に、「育てる」ことを重視するものなのかもしれない…。
あと、もう1つ興味深いことがある。
松井秀喜さんの役割だ。
現在、松井さんは、「ヤンキースGM特別アドバイザー」としてニューヨークに住んでいるが、選手時代に、怪我から見事に復活し、ワールドシリーズで歴史に残るほどの奇跡的な活躍を連発したことや、その素晴らしいお人柄などから、ニューヨークでは、スーパーヒーロー扱い。
若いチームを「育てる」うえで、松井さんの役割、特に彼が持っている日本のサムライ精神的なものが、次世代のチームに取り入れられるかもしれない。
〔ご参考〕
●ヤンキース、ワールドチャンピオンに! 松井選手がMVP!!!
●松井選手の引退記念バブルヘッド(Bobblehead、首振り)人形
あと、ちなみに、スーパーヒーローの松井さんは、引退後、ニューヨークで、草の根の地道な野球の普及活動の一環として、普通の一般人の方々と一緒に軟式の草野球に参加してたりもする。しかも、根っから真面目な松井さんは、たとえ草野球でも手を抜かない。
また、仲間を励ましながらプレーする姿が感動を呼び、
「一般人のチームメートに対しても、ジーターやポサダと接するのと同じように接していた」
などと地元ニューヨークのローカル紙などで報じられていたりもする。
数年後、マー君や大谷選手も一緒になって松井選手とニューヨークで草野球に参加する話題とかも聞こえてくるかも?
〔ご参考〕
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『メルマガ「ニューヨークの遊び方」』より一部抜粋
著者/りばてぃ
ニューヨークの大学卒業後、現地で就職、独立。マーケティング会社ファウンダー。ニューヨーク在住。読んでハッピーになれるポジティブな情報や、その他ブログで書けないとっておきの情報満載のメルマガは読み応え抜群。