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日本をdisる老人、-7度なのにドア工事…NYのスタバで邦人を襲う珍事

NYに5万ドルだけ持参し、無職のまま学生として生活はできるのか。こんな無謀ともいえる生活を自ら企画した日本人・橋本愛喜さんのメルマガ『週刊 ニューヨーク5万ドル生活』。前回の記事から一ヶ月が経ち、今回は何と、このメルマガ執筆中に爆笑の出来事に遭遇! スタバでメルマガを書いているだけなのに店内で突然「ドア取り換え工事」が始まり、さらには前に座っていた老人に「目くばせ」されて…橋本さんの身に一体何が起こったのでしょうか!?

このメルマガ執筆中

橋本、学生として生活を初めてはや1か月。

ようやく時差ボケも取れ、追われる予定になかった学校の宿題やテスト勉強になぜか追われながらも、自分なりのルーティーン(習慣)ができ始めた。

その中の1つに、5年前と変わらず「スタバで執筆活動」なるモンがある。

その日にもらった学校からの宿題(本当に時間がかかる。。。英語力からくるものならまだしも、作業しなければならないことが多い)を終わらせて、夕方の帰宅ラッシュの直前までの5時間ほどをスタバでの執筆に充てているんだが、まさしく「今号」分を書いている時に、いきなり大きな音を立てた「ドアの取り換え工事」が始まる。

……大変、うるさい。

いや、うるさい以上に、

……寒い。。。。

本日-7度

ニューヨーカーはコーヒージャンキーが大変多く、ひっきりなしに客が出入りする。その度にドアが開けられ、その度に寒いと感じるんだが、今回は、その時感じる「寒い」とはワケが違う。「外気との気温差ゼロ運動真っ盛り

暖を取りに来た客、こういう時にこそお得意の訴訟を起こすべきだ

そんな、あまりの寒さと、あまりの音に、しかめっ面しながらかじかんだ手をこすりながら執筆活動にいそしんでいた橋本。気持ち同じだったんだろう、前に座っていた70代と思われる老夫婦に目くばせ」された。

外国人、知らない人と話すことが大好きだ。

特にアメリカ人は、ディベートすることを日常としている

他人になれば、なおさら燃える。

そのスタートが、この「目くばせ」なのだ。

人それぞれ、国それぞれ

橋本、それに「苦笑い」で答える。

「なんでこんなにうるさいんだろうね」とご主人が話しかけてきたため、橋本は「なんでこんなに寒いんだろうね」と言うと、いい間をとって、「だって、ドアがないんですもん」ともっともであって、信じられない状況を夫人が言い放ち、3人で笑い合った。

こういう「知らない人とのコミュニケーション」が橋本大好きで、そういう人から何かを吸収させてもらう分、自分も何かしらの情報を与えなければという思いが募る。

だから自然と出た言葉、「自分の国のスタバではこういうことはないんだけどね」。

するとおじいさん、「どこから来たんだい?」

それに「日本」と軽く答える橋本。

ニューヨークより静かで、

ニューヨークよりきれいで、

ニューヨークより住みやすく、

ニューヨークよりどんなサービスもいい

日本から。

そんな「変なプライド」みたいなものちょこんと乗せて答えたつもりだったんだが、そのおじいさんが放ったひと言、衝撃だった。

「ああ、津波の後に放射能の問題を抱えて続けているだよね」

びっくりした。

日本=きれいな国

日本=品質のいい国、住みやすい国

そんな答えばかりを聞いてきた日本語教師時代とは全く違う、直接的であって否定できない「日本の今の姿」を口にしたのだ。

よく考えれば、日本にいる外国人留学生の多くは、「日本が好きな人」がほとんど。ひいき目にもなる。

しかし、ここニューヨークでは、日本は彼らにとって

「数ある国のうちの1つ」

「アジアだよな」

「韓国と日本の違いはなんだ?」

ぐらいにしか思ってなかったりする。

まさか、「日本のスタバはうるさくない」で「放射能」の話になるとは思っていなかった橋本、やんわりと彼らをけん制するために地震直後に被災地を訪れた経験を彼らに話したところ、今度はなんと

「2020年のオリンピックは東京だよね。……大丈夫なんかい?

とこれまた心臓を一刺しにする凶器に近い質問よこしてきた。

さらには、

「だって中国で開催された北京オリンピックだって、環境汚染問題がかなり深刻だったじゃん」

と、範囲をアジアに拡大しディスり始める

すると、まさかの助け舟。

橋本の隣に座っていたアジア系の若い男性だった。

「まあ、各国色んな問題があるのは仕方ないよね」

当たり前すぎる答え。

しかし橋本には大きな心の支えとなる。

じいさん、

「どこから来たんだい?中国?」

すると、その兄ちゃん、

台湾です」

それにじいさんは、

「ああ、知ってる。中国の一部の」

( ゚Д゚)。。。

台湾は、国連では「国」として認められていないのは確か。

ただ、台湾の人たちは、自分たちが「台湾人」であるという誇りをもっている。

それを知ってか知らずか、そのじいさんは「中国」ディスりつつ、また、「台湾」までもをごく自然な流れでディスったのだ。

ニューヨークだからこそ

そんな彼に、夫人も同調するかのようにちょいちょい合いの手を入れる。

「そうよね」

「もっと考えた方がいいわよね」

さらには、

「ここはアメリカ。世界中の人間がアメリカに来たがる。外国人がいると雇用が失われる

と。。。。

こうして今度は夫人が橋本らに熱弁を振るう頃、じいさんは彼の隣にいた40代ぐらいの白人女性に声を掛ける。

これがまた、うまい具合に彼女、ドイツ人。

移民の話になっている頃に現れたそのドイツ人女性は、彼らの恰好の「証人」となり、

「あなたの国にはシリア難民がたくさん流れ着いてるけど、その結果ドイツはいい方向にはいってないだろう?

ほぼ、誘導尋問

ドイツ人女性は、持っていたニューヨークの地図を一度机に置き、改めての、苦笑い

こんなに国籍が豊かなスタバもニューヨークならでは。

どうせするならもう少し面白いトークがしたかったが、ようやく新しいドアが取り付けられ始めたころ、彼ら老夫婦は自分の意見を全て吐き出し終わったらしく、「話ができて楽しかった」と満足気に席を立った。

image by: Shutterstock

 

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