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米国以上?「世直し」気取りでクレームを入れる日本人のタチの悪さ

「お客様は神様でしょ!?」と臆面もなく宣った挙句、店員さんに怒鳴り散らすクレーマーさん…時々見かけますよね。こうした日本人のクレーマー気質は、訴訟大国と呼ばれるアメリカで暮らす日本人の目にも異常と映るようです。メルマガ『NEW YORK 摩天楼便り-マンハッタンの最前線から-by 高橋克明』の著者である高橋さんは、日本人のクレーマー気質の「特異性」と「タチの悪さ」をアメリカと比較して解説しています。

驚愕させられた「うどんかるた」へのクレーム

日本の報道番組を動画サイトで観るようにしています。 

アメリカ暮らしですが、ビジネスは基本、日本の方とのやりとりが多いため、“うらしま太郎状態”になるのを避けるために観ているのかもしれません。 

そこで、ど~しても気になった今週の我が母国で起こった2つのニュース。 

日本を離れ「外国に暮らすと日本という国を客観的に見ることが出来る」、とよく言われますが、本当に客観的に見れているのかどうかは、わかりません。 

ただ、少なくとも、この2つのニュースは、僕を驚愕させ、割と涼しい顔をしたコメンテイター等に、「やっぱり日本ってすげえなぁ」と思わされました。 

● 1つ目のニュースはコレ ↓

“ 香川県が作った「うどんかるた」にクレームが寄せられたため、県は15日から予定していた販売を延期した。 問題になったのは「つ」の読み札「強いコシ 色白太目 まるで妻」。 14日、県に「良いイメージで受け取らない人もいるのでは」と電話で指摘があったという ” というニュース。 

マジか!?

空いた口が塞がらないとはこのこと。 まったく理解出来ませんでした。 1から100まで理解出来ませんでした。 いまだに、このニュースが本当なのかどうかさえ、疑ってしまいます。 

どこがクレームになるのか理解不明でした。 

もちろんクレーマー大国ニッポンであれば、こんなヒマなクレーマーが存在することは理解出来ます。 

でも、それを真に受けちゃうの? 行政が?

で、すでに販売計画を変更してまで、延期しちゃうの? 県が? その1本の電話で、販売中止にしちゃうの?

どんなニュースよりも、僕にとっては衝撃的でした。 

どんな凶悪ニュースより、ある意味怖かった。 

この国に暮らすと、日本という国の「お客様は神様です!」感があまりにも行き過ぎているんじゃないかと感じてしまいます。 

企業に対して、個人消費者の幅の効かせ方が尋常じゃない。 

スーツを着た管理者が「申し訳ございません」と頭を下げるほど、ヒマな主婦が電話口でニヤリとしてる。 

そんな勝手な妄想をしてしまいます。 

果たして、このカルタの読み札で誰が傷つくのか。 こんなシニカル(っていうほどのもんでもないけどw)さえ許せない国で、国民みんな平気なのか。 

番組でも、世間の声として「やりすぎだ」「販売中止にする必要はない」「これがダメなら綾小路きみまろは失業だ(笑)」とのネット上の書き込みを取り上げていたけど、その通りだと思います。 

でも、、、結局、販売延期になっちゃうんだよね(笑

そのクレーマーが「イヤな思いをするかもしれない」なら、販売を楽しみにしていた人、プロダクトに関わったデザイナー、コピーライター、そして小麦粉業者、卸業者、その他何十倍の人が販売が中止になったことで「イヤな思いをするかもしれない」とは考えなかったのだろうか。 

「世直し」感覚でクレームする日本人のタチの悪さ

日本では「欧米はスグに個人が企業を訴える」と言われます。 

その通りです(笑)が、その場合は、完全に金銭目当ての「当たり屋」みたいなケースがほとんどです。 

(そっちの方がよっぽどタチ悪いよ!w)

でも、このクレーマーのおばさん(あ、ごめんなさい、クレーマーが男性か女性かもわからないのに、頭の中で勝手にヒマな主婦を想定しちゃってました)は、企業から金をぶんどろうとしてるの? そんな悪人じゃないですよね。 

むしろ、本気で「世直ししよう」と思ってる可能性がある。 

で、それを真に受けて、企業や行政が平謝りする。 

ある意味、法の目をくぐり抜けて金儲けしようとする前者よりよっぽど怖い気がしました。 

たまに出張で母国に行くと、消費者の「オレたちお客様だ!」感が強すぎることに、辟易していました。 

特にサービス業の方々に対して、偉そうにするのなんて、いちばん格好悪いよ。 バカに見えます。 

長距離バスのチケットを購入する列に並んでいた時のこと。 前のおじさんが窓口のお姉さんにむかってヤクザみたいな話し方をしてる。 基本、返事はすべて「おう!おう!」

で、振り向き様、僕にぶつかり、その瞬間「あ、スイマセン、すいません」低頭平身、違う人に変身しちゃってた。 

振り向くだけの動作で、まったく違う人間に。 

ドッキリカメラかと思ったよ。 (“もしも目の前で人がまったくの別人に変身したら? ”的な)

少しだけ話しが逸れましたが、とにかく「お客様さまさま」が常軌を逸してきている感じがします。 

それとも、僕も日本にいた頃は、そうだったのかもしれません。 15年間アメリカに住んでいる間に、僕が一番嫌いな「アメリカかぶれ」になっちゃってるのかもしれません。 

なんてったって、こっちは店員が「オレ様が神様です!」な国なので(笑)

足して2で割るちょうどいい国はこの世にないもんか

image by: Shutterstock

 

NEW YORK 摩天楼便り-マンハッタンの最前線から-by 高橋克明』 より一部抜粋

著者/高橋克明
全米No.1邦字紙「WEEKLY Biz」「ニューヨーク ビズ」CEO 兼発行人。同時にプロインタビュアーとしてハリウッドスターをはじめ400人のインタビュー記事「ガチ!」を世に出す。メルマガでは毎週エキサイティングなNY生活やインタビューのウラ話などほかでは記事にできないイシューを届けてくれる
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