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大炎上した花見の場所取り騒動。これって違法?弁護士に聞いてみた

今年は桜見物目当てで来日する外国人も多く、「花見の場所取り」が一層加熱したようです。中でも某大手建設会社が公園の半分以上をブルーシートで占拠するという騒動はメディアでも話題となりましたが、これ、違法行為ではないのでしょうか。この件について、無料メルマガ『知らなきゃ損する面白法律講座』で法律のプロが解説してくださっています。

花見の場所取りは犯罪?

ある大企業の社員が横浜市内の掃部山公園の半分以上にブルーシートを敷きつめ、5日間公園を占拠しようとして世間の注目を集めました。ブルーシートには社員が使わない時間帯の朝から夕方までは誰でも「ご自由にお使いください」との断り書きがありましたが、「何様のつもりだ」とちょっとした「炎上」騒ぎになってしまいました。

これほど大規模ではないにしても、花見のために公園の一部を思い思いに占拠し、いわゆる「場所取り」として事前にブルーシートを設置している光景は特に珍しくありません。このような場所取り行為は法的にどのように評価されるのでしょうか?

都市公園法」では、「都市公園に公園施設以外の工作物その他の物件又は施設を設けて都市公園を占用しようとするときは、公園管理者の許可を受けなければならない」(都市公園法6条1項)と規定されています。違反者には六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金」(都市公園法38条2号)が科される可能性もあります。

また、「工作物その他の物件又は施設を設けて都市公園を占用」したとはいえない場合にも、各自治体の条例により独占的な利用行為が制限されており、横浜市公園条例でも「競技会、展示会、博覧会、祭礼、集会その他これらに類する催しのため公園の全部または一部を一時的に独占して使用」しようとする者は、「市長の許可を受けなければならない」とされています(横浜市公園条例6条1項6号)。したがって、公園を独占的に占有利用しようとする場合には許可が必要なようです。

ただし、許可には黙示的なものも含まれますので、ある程度の場所取りについては、黙示的な許可があると評価することができるでしょう。しかし広範囲かつ長時間の場所取りについては、黙示的な許可があると評価することは困難ですので、違法となる可能性があります

今回大企業の社員が場所取りを行った掃部山公園では園内に「通路上(白線内側)の場所取り禁止」「無人の場所取り禁止」との看板が掲げられており、後者に明確に違反していることからも、黙示の許可があったと評価するのは難しいといえるでしょう。

では、不法な占拠があった際に公園の他の利用者がブルーシートを撤去しても問題ないのでしょうか? 都市公園法の違反に対する是正権限は公園の管理者等が行使するものですので、公園の他の利用者が直接行使することはできません。したがって、公園の利用者が直接ブルーシートを撤去した場合には、不法行為民法709条となる可能性がありますので注意が必要です。

なお、一定範囲内の場所取りであっても、対価を支払って場所取りを依頼したり、逆に対価を受け取って場所取りをすると、地域によっては違法行為となります(東京都迷惑防止条例3条参照)。罰則もあり、過去には東京で逮捕された例もあります。面倒でも便利屋などに依頼するのは控えた方が良いでしょう。

花見の場所取りについても、公民館など自治体の施設利用時のように全て事前予約が必要となる日が近いかもしれません。

image by: Tupungato / Shutterstock.com

 

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