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日本に間もなく上陸か?世界で話題の相乗りサービス「UberPool」とは

映画や漫画で未来の世界を表現するとき、必ず出て来るのが「空飛ぶ車」。でも近い未来、当たり前になりそうな「移動手段」は意外と現実的、悪く言えばちょっと夢の無いものになりそうです。メルマガ『IT業界人のための「ビジネス・トレンド・ウイークリー」』では、今世界中で注目を集めている新サービスを紹介しています。

Uberの相乗りサービス”UberPool”:環境にもやさしい?

スマートフォンでタクシーを手配できるシェアリング・エコノミー最右翼のUber Techonlogyですが、既存秩序の破壊者でもあることから各国でタクシー事業者等との軋轢が生じています。そのUberが2014年より推進している相乗りサービスUberpoolは、利用が広まれば走行車両総台数の減少につながる可能性もあり、「排気ガスの削減」「交通渋滞の緩和」「環境保護」など、社会問題の解消に貢献できるとの視点から注目されています。

Uberのサービス

2009年に創業、スマートフォンから手軽にタクシーやハイヤーを手配できるUber Technologyは、現在50カ国300以上の都市で事業を展開している。スマホのGPS機能を活用し、利用者と空車の位置情報から最適な組み合わせを即座にマッチングする。2015年には、グローバルで料金100億ドル分に相当する配車を行ったと推計されており、宿泊手配のAirbnbとともにシェアリングエコノミーの成功事例と認識されている。

米国をはじめほとんどの国では、タクシー/ハイヤーだけでなく、自家用車も営業可能で、料金は平均してタクシーよりも40%程度安い。当然既存のタクシー業界とは軋轢が生じており、訴訟が起こされたり、サービスを中止した国/都市もある。日本では2013年から東京でサービスが開始されたが、自家用車での営業(=白タク)は認められないため、タクシー会社の車両を使ったサービスだけが提供されている。

UberPoolの登場

2014年8月、Uberでは、相乗りサービスUberPoolをサンフランシスコで開始した。同社のサービスには、自家用車が配車される「UberX」、タクシーが来る「UberTAXI」、黒塗りハイヤーの「Uber Black」などのオプションがあるが(全オプションがある都市もあれば、一部しかない地域もある)、これに相乗りの「UberPool」が加わった格好だ。

配車リクエストの際に行き先を入力すると、Uberが同じ方向へ向かう他ユーザーとのマッチングを自動的に行って配車、料金と待ち時間が表示される。価格はおおむねUberXの20-50%引きとなるが、途中の乗車/下車があるため所要時間は長めとなる。現在、UberPoolは、サンフランシスコのほか、LA、ニューヨーク、ロンドン、上海など29都市で提供されており、Uber利用の半数以上がUberPoolになった都市もでてきた。運転手にとっては、売上単価は下がるものの実車の時間が増えるので、売上は下がらないとみられている。

移動手段の認識が変わる?

Uberでは、低価格のUberpoolが広まれば、同社サービスはタクシーやハイヤーとの競争ではなく、自家用車の所有との比較になるだろうとみている。Uberpoolを更に推進する方策として、通勤の相乗りサービスの試行もはじまった。米国では、タクシーなど営業車の総走行距離よりも自家用車を利用した通勤の総走行距離のほうが長いといわれており、そのインパクトは大きい。利用者が増えれば、相乗りの組み合わせも増え使いやすさが増す。

これまで、既存秩序の破壊者とみられていたUberだが、「排気ガスの削減」「交通渋滞の緩和」「環境保護」など、社会問題解消の視点が加わればイメージアップ効果も高い。「自家用車の相乗り」が新時代の移動手段として定着するかどうか、Uberpoolの動向に注目しておきたい。

(参照)

image by: shutterstock

 

IT業界人のための「ビジネス・トレンド・ウイークリー」』より一部抜粋

著者/鈴木 奏(すずきすすむ:Solution Services,Inc President & CEO)
日本IBMで営業、野村総合研究所(NRI)で金融トレーディング・システム事業企画を経験した後、1990年よりロンドン、シリコンバレーにて海外駐在。1998年CSKに入社し、ニューヨークにてCSKソフトウェア(元マイクロノーシス社)の運営に携わる。2006年にソリューション・サービスを設立。日本の情報サービス企業に対する情報提供/コンサルティング事業を行なっている。ニューヨーク在住。神戸市出身。メルマガでは米国を中心とした情報技術活用の新潮流を毎週報告。海外動向の的確な理解を促し、日本のIT企業のビジネス拡大に貢献することを目指している。
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